第15話
「あ、あの!リスタ様!どちらまで行かれるのですか?」
シュトュルは、ズンズンと進むリスタの後を追うので必死だった。リスタはくるりと振り向きにっこりと笑う。
「ふふ、知ってます?シュトュル様、この先に、私たちが探している薬草が沢山、生えている場所があるんですよ!あと、もう少しで到着すると思います」
そう言ってリスタはまた、先へと進む。シュトュルはまた、リスタを追いかけるのであった。
そうして歩いていると…
「シュトュル様!到着しましたよ!」
開けた場所にたどり着き、リスタが言った通り、シュトュルたちが探している薬草が沢山、生えていた。
「わぁ…すごい、こんな場所があったんだ…」
シュトュルはしゃがみ、薬草を摘む。どれも質の良い薬草だった。シュトュルは何本か摘むと、リスタが持っているカゴに入れる。
「シュトュル様、私は、こちらの方で薬草を採取してますね」
「わかりました。では、私はあちらの方で採取しますわ」
場所が広いので、二人は手分けして薬草を採取する。
「これ…あ、これは違う…こっちの方が綺麗…」
シュトュルはブツブツと言いながら薬草を採取する。そんな時だった…体がピリピリと痛む。
(シュトー、何か嫌な気配を感じる…!)
レヴィアタンの切迫した声が響く。
「え…?」
シュトュルの近くの木々がザワザワと揺れる。全身に張り付く様なじっとりとした風がシュトュルの辺りで吹く。自然とシュトュルも緊張する。
バキッ!!ガサガサッ!
枝が折れる音が聞こえ、木々の間から何かが現れシュトュルを殴りかかろうとする。
シュトュルは、避ける。
現れたのはシュトュルの何倍も大きい熊の魔獣だった。口からダラダラと唾液を垂らし目は虚ろだった。
「ひゅっ…!?」
瞬く間にシュトュルの全身が縄で縛られた様な痛みがはしり、自由が奪われる。
そこで、はっとリスタの事を思い出す。
「リスタ様!!逃げ、え!?」
振り向けば、リスタはもう逃げ出していた。
しかし、いつまでもリスタに気をとられているわけにはいかなかった。熊の魔獣はシュトュルを襲い続ける。
『ファイア・シャルム・シュトュル!燃え上がれ!焼き尽くせ!』
レヴィアタンがシュトュルを操り魔法を使用する。森に生息する魔獣のほとんどが炎の魔法が苦手だ。
(これで、少しは時間稼ぎにっ!!)
シュトュルは、走り出そうとするが
ドサッ!!
シュトュルの目の前に木がなぎ倒される。熊の魔獣は炎など気にせずシュトュルを襲い続けた。
「な、何でっ!?」
シュトュルはかろうじて避けるが制服の長いスカートで足が縺れる。
それでも何とか体制を立て直し走り出した。
シュトュルはがむしゃらに走った。時々、長い自分の髪が木々に引っ掛かったり地面に転んだりしながらも走り続けた。
(どうして!?どうしよう!?ここがどこかもわかんないっ!地図も見てられないっ…!)
シュトュルは、パニックだった。
「しゅ、シュトー…落ち着いてっ…あんたがパニックになると、体力がっ」
(で、でもレヴィアタン!どうしたらっ!?)
「だ、大丈夫よっ!目的を果たす為にはっ…絶対にシュトーの命は…助けるからっ!!」
空は、今にも雨が降りそうな曇り空だった。
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