第14話

ついに、校外授業の時間がやって来た。


シュトュルは外で生徒たちが全員揃うのを待っていた。他の女子生徒たちは、ソワソワと、ある人物に視線を向けていた。


女子生徒の視線を集める人物は、レイディエ殿下だ。レイディエ殿下は相変わらず、いろんな生徒から声をかけられ、太陽の様な笑みを浮かべていた。

今日はシュトュルたちの学年全員で授業をするため、レイディエ殿下も一緒だ。

そうこうしている内に生徒が全員揃い、先生が説明を始める。


「今日の校外授業は、先生たちが決めた、班で、活動してもらう。今から渡す必要な道具が入った、ウエストポーチの中に今日、採取してもらう薬草の資料が入っている。あとで各自確認するように。それでは、今から班を発表する!」



「よろしくお願いいたしますね、シュトュル様」

ネーベルは笑顔でこちらに挨拶する。

「え、えぇ。よろしくお願いいたしますわ…ネーベル様」

シュトュルもなんとか笑顔で挨拶する。

(よりにもよって、ネーベル様と同じ班…そして残り二人もネーベル様の取り巻き…)

「それでは、各班、班長を決めるように!班長が決まったら班長は、魔獣除けと、薬草を容れるカゴを取りにきてくれ」

先生がそう言うと、ネーベルがシュトュルを見る。

「シュトュル様、私が班長でもいいかしら?」

「えぇ、お願いしますわ…」

シュトュルがそう答えるとネーベルはニヤリと笑った様な気がした。

ネーベルは、先生から人数分の魔獣除けとカゴの受け取り、班のメンバーに配る。

魔獣除けは、香り袋の様な物で、表面には、学校の校章がデザインされていた。

「その、魔獣除けは、肌身離さず持つ様に!一様、この森には人を襲う様な狂暴な魔獣は居ないが、安全の為、持つ様に!そして、採取した薬草は、種類別にしてカゴに容れる様に。ちゃんと分けてないで提出した場合は、その場で種類別に分けてもらうからなー!時間が来たら、各自が持っている魔道タイマーが鳴る、そしたら今いるこの場所に帰って来る様に。それでは…採取開始!」

先生の合図で生徒たち動きだす。

「皆さん、ちょっといいかしら?」

ネーベルが、班のメンバーに声をかける。

「今回、集める薬草は二種類、二人ずつに別れて採取した方がいいと思うんです」

「さすが、ネーベル様!いい考えですね!」

「その考え賛成ですわ!」

取り巻き二人は賛成である。

「シュトュル様はどうですか?」

「私も、それでいいと思います」

シュトュルもネーベルの考えに賛成である。

「それじゃあ、決まりですわね。私とベリルがこの薬草を採取しますわ。シュトュル様とリスタでこちらの薬草を集めてもらってもいいかしら?」

「わかりましたわ」

「それでは、またあとで会いましょう」

ネーベルは満面の笑みを見せ、ベリルと共に去っていく。

「シュトュル様、私たちも行きましょうか」

「え、えぇ。そうですね」

シュトュルはリスタと共に薬草を探しに行く。シュトュルはさっきのネーベルの笑顔になんだか違和感を感じた。

(あんな、満面な笑みを浮かべるネーベル様…何だか嫌な予感がするわ…杞憂に終われば良いけれど…)


ふと、空を見れば、光り輝く太陽をちょうど雲が隠し、辺りが少し薄暗くなった。

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