戦場のメリークリスマス

外は雪が降っていた。灰色の長方形が生えているその隙間を、誰もがコートの前のボタンをしっかり閉めて、忙しそうに、早足で歩いている。僕はそれを喫茶店の中から温かいコーヒーを飲みながら見ている。

レコードからピアノの音色が流れる。音楽に詳しくない僕はそれがなんの曲なのかはわからないけれど、とても静かで寂しそうな曲だ。暗い曲ではない。美しい音色が寂しそうに奏でられる。

雪の降るこの街が誰もいなくなったら、きっとこんな曲が似合うだろうな。

四角い空から降ってくる雪をみて僕はそんな事を考えた。コーヒーは少しだけ苦かった。

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