抱きしめて

向き合う私と君の距離は15センチメートル。君の瞳に私の顔が映る。

君は両手を大きく広げる。引き寄せられるように半歩、私は君に近づく。

君はその手を私の背中に回す。君と私の距離は0センチメートルになる。

君に触れている肌全てで君の温もりを感じている。

とっく、とっく、とっく。規則正しい心臓の音が聞こえる。

大きく息を吸い込めば、肺いっぱいに君の匂い。これ以上入らないほど詰め込む。

「愛してる」

君が耳元でそっと囁く。

くすぐったいと思うのは耳に君の息が当たったからか、それともこの気持ちなのか。

君の腕が少し強く私を締付ける。私は君の服をきゅっと握る。

心の底から溶けていく。幸せと言う沼に落ちていく。

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