灰色

そこに心など必要なかった。

リモコンの指示通りに動けば、全て上手くいくのだ。何故博士はこんな不要なプログラムを組み込んだのだろうか。

目下に広がる灰色の街。高さの違う直方体がところ狭しと刺さっている。

冷たい風が吹いて、空を覆う雲を少し動かす。すると、光が降りてきた。真っ直ぐな光の帯が灰色の街に降りてくる。まるで、天女の羽衣のよう。

ああ、綺麗だな。

僕は灰色の街を見てそう思った。

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