第二十一話 報告と王都への招待


茶色の革製でできたソファーに腰を掛け、真ん中に先輩、左が自分、右側が修哉が座る。

ドアを隔てて誰かが喋っているがよく聞き取れない、多分領主とギルドマスターだろう。


「あのギルドマスター筋肉やばかったよな」

「さては、同類を見つけたと喜んでるな?大丈夫、グレイほど脳筋じゃ無いから」


シャニがグレイの意見を両断するとあからさまに肩を落とす。


「いや、どんなに落胆してるんだよな、そこまで仲間が欲しいのかよ」

「そりゃあ仲間は増えた分だけ楽しくなるもんだろうが、地球の時はまだ現実的な範囲だったけどよ、この身体となっちゃ、まず人が居ないじゃん」

「まあ確かに。でも長時間一緒にいると流石にむさ苦しいんだよな、着脱可能にしてくれ」

「いやなんでボディスーツ式なんだよ、肌色のボディースーツとか吐き気する」

「うん、まずは自分の体を見てからそれを言ってくれないか?俺、今その状況なんだわ」

「賛成、というより修哉立ってよ、さすがに3人は狭いって」

「仕方ないっすね...めんどくせぇ」

「ありがとうね」


渋々、壁にもたれ掛かりため息をつく。


相変わらず体の自己主張が激しいグレイの筋肉について弄っていると、

ドアノブが動きスーツを着た男性と、隊長と副隊長であるカルナ、ライネルがその後に入ってきた。机を介した反対側に領主が座り、その後ろに、騎士二人組が立っている。


爺さんとギルドマスターは、執務室で別件で話があるようだ。


「では先ず。私の名前は『ナイ』この町の領主をさせてもらっている」


というと握手を求め、それに先輩はもちろん応える。

自分たちが端に座ったのは、こんな時は一番年上である先輩に任せるのが一番だと判断したからだ、悪意が無いというと疑惑の判定だが、だってな面倒くさいじゃん。

流石に受け答えは自分が担当もするが。


「此度のスタンピートの件、早期での前兆の報告、そしてあの異形の討伐、実に見事だった」

「いえ、本当に知ったのは偶然ですし、あまり何もしてないというより、倒したのはラミリス様なので...」

「そうだとしても、あのフレア信号を打ち上げたのは君たちだ、お陰で本格的に防衛陣を整えることができた、それだけでもこちらから頭を下げてお礼を言いたい」


膝で拳を作り頭を下げる領主。本当に自分は何もしていない、したと言うなら先輩と修哉を

称えるべきだと思うんだけど...


「いや、お前は詰所に自分たちの応援をひとりで呼びに来たろ、それだけでも十分役には立っている」


その内心を読んだのか、後ろのカルナが口を開く。何かいいことでもあったのか、笑みは柔らかいものだ。


「そこでだ......ああーーもう!止めだやめ、俺にはこんな堅苦しいのはお手上げだっての、そういうのは王都の偉そうな奴等に任せてりゃいいんだよ」


そういうと、先程までの堅苦しい雰囲気が一気になくなり、叫びながら席を立つ。

それとは逆に、じいさんが声をあげて笑い始めた。


「はっはっはっ!相変わらずじゃのお前さんは、そんなにまつりごとが嫌か、せっかく

譲ってやったと云うのに」

「誰のせいだ!誰の!譲るというより嵌めたが正解だろうが!そういうのが嫌いだから冒険者になったって言うのによー!」

「まあまあ一回落ち着いて...」

「落ち着いて居られるか!」


そう言って突っかかろうと飛び出してきたが、ため息をついた爺さんに痺れさせられ白目を剥くが、すぐに意識を取り戻す。


「...一体俺たちは目の前で何を見せられてんだ?」

「...さあ?」

「まあいいじゃん、楽しそうだったら」


これだけ暴れておいて周りの備品などは一つも壊さずに動いているので恐ろしい、もしかしたら領主もSランク冒険者なのだろうか。


————


十分後、自分たちの目の前には髪の毛が中に浮き、右手に剣を持っている、やつれ状態の領主と、どこかわんぱくな孫を見るような目で見ている満足そうな爺さん。


あの後にヒートアップした領主が、

「あのときのリベンジだ!」とそとに剣を持って出て行き、ギルド裏の訓練用の敷地を使って

シングルマッチを始め、自分たちは訳がわからないままそれを眺めていた。


結構言い合っていたが要約すると、この町で当時この街の領主を務めていたレイさんの父親さんが病気で急死した為、レイさんと、隠居生活を送ろうとしたラミリスさんのどちらかが、

領主の席に座るという事になったらしいが、二人ともそれを拒否、結局決闘をしてその負けた方が席につく罰ゲーム的なものをしたらしい。

結局見て分かる通り、領主であるナイさんが、担当する事となった。


それはそれで...


「本当に自分たちは何を見せられてたんだ??」

「仲いいのかな?師匠と領主さん」


つい口からそんな言葉が漏れ出してしまう。同じ気持ちなのかグレイの頭が縦に動いている、と思ってよく見てみると本人は眠たそうにしているだけだった。というか寝るな。


「ほれ、いつまでいじけてるんじゃ、職務を全うせんか」

「あんたには絶対に言われたくなかった言葉だよ...はあ」


部屋に戻ってきた二人が開口一番そう言う。戦闘中にスーツに傷が入ったのか違うやつになっている。


ため息をついた後、仕事モードに移った、視線が細くなり空気が堅くなる。


「すまなかった、本題だが、今回の件で王都の冒険者ギルドから誘致が君たちのチームとして

かかっている」

「...そうなんですか、私はラミリス様と修行に行くことになっているのですが」

「ああ大丈夫だ、この事は強制ではないのでな、よくチームの中の何人かが行かないなんてことがざらにある」

「というより、なぜ今になって王都から誘致が来るんですか?それこそ都市レベルとなると溢れる位居そうなんですが」


今、自分たちがいるこの街の冒険者ギルドでも目を剥くほど広い、それがまだというレベルなのだから、王都という都市レベルとなると、想像もつかない。どんなに広いのだろう。


「ああその質問を待っていた。確かにお前の言う通りだ。しかし、冒険者というのは通常、冒険者登録をしたところから拠点を移す事はできなくなっている。

そして、一定以上の功績やレベルがもし移転しようとなる時に必要となる。そしてそれをクリアすれば、王都の冒険者ギルドから誘致が来て、ここから比べほどにならない依頼も、受けれるようになり、王都で起こったそれ以下の依頼は支店の方に多めに依頼が回るようになっているな」


「つまり、自分たちはそのレベルに到達したからそれが来たと?」

「まあ、そういう事だな、俺は言ったほうがいいと思うぞ、実際、あそこは金の湧く泉だ、

行った方が為になるのは保証するぞ、しかもダンジョン、、、、、があるしな」


ダンジョンとその口から聞くと夢の世界に旅かけていたグレイが反応を示す。


「ダンジョンか...ダンジョン!?よしミレイ直ぐ行くぞ、今すぐ!」

「ちょい待て、判断が早すぎるだろうが、そこまで楽しみなのかよ」

「あったりまえだろうが、こんなに据え膳されて食わぬは男の恥だろうが、よし、ナイさん手続きよろしくお願いします!」


獲物を目の前に置かれた肉食獣のように勢いよく捲し立てるグレイ。

それをシャニが微笑ましいものを見るような目をしている。


「...まあそこまで否定することでも無いな、しかしそこまで興奮するか普通...」

「そりゃ、目の前にやっていきたいものがあったら飛び込んでいくだろ、これこそ普通だ」


当たり前かのように、左を向いて前傾姿勢になりながらそういうグレイ。

まあ、あいつがよく持ってくるラノベもダンジョンの探索系の小説が結構多かったような気がしたけど、そういう事なら確かにそうなんだろうな、趣味といより知的好奇心だろうけど。


「よし、意見はまとまったようだな、明日にはいく準備が整うんで、明朝、第一関所に集まっててくれ」


そう締めくくると部屋をでていくナイ、その後に続いていく騎士たち。


「すまないが明日は非番じゃ無いので送りはできないからな今のうちに言っておく、そっちでも頑張ってくれよ。一個人として応援している」

「まあ、死なないようにぼちぼち頑張るとするよ、まだ死ぬには早いしな」


そう言って握手をし、冒険者ギルドを後にした。



———————————



あとがき



第一章これにて完結です!!

やったね自分!まだ6万字しかかけてないよ!今更書いてて思う、あれ?この文章力、雀の涙程だな?..と。

いや本当に内容薄くてすみません、いかんせん頭がバカなのです、いくらでも頭の中で殴ってください。罵ってもいいです(いいとは言っていない)

一回この後書きを見てみろ、やばい、何がって、勢いで描いた感じがやばい。ハズカシイ!!


もうすぐPV数も1000超えそうですし、趣味程度に書いてたら毎回ハートくれる方もいますし...自分いつか死ぬのって?

ありそう...それはそうと、この話が書き終わったのも、応援してくれる方々がいてくれたおかげです!本当にありがとうございます!


↑これが②に入ってました、さっきまで笑


もう一度言います!ここまで見てくださっている方ありがとうございます!いつも励みになっています!!


改稿しながら書いてないので誤字あったら教えて...m(__)m


上手くしまらない...苦悶

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