第十四話 戦闘


続きです


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「それで?例のものは準備できてるんだろうな」

「はいファロナ様、焼夷爆薬をこの森の各地に配置し、約八割の設置が完了したところでございます」

「そうか、ここに生息する魔物たちを森を焼き払うことで追い出し、それをあの街に仕掛ければ、さぞ魔王様もお喜びになることだろう。クックック」

「はい、誠にその通りでございます...」


そういい二人は笑い声をあげる、フードをかぶっている男のほうはすこし畏怖の混じっている顔だが...


どうする...あの魔物か魔人のやつに、こちらの位置がバレると先ず勝ち目はない。

かといって居なくなったところで、あいつの配下たちが焼夷爆薬を設置してる以上、時間もない...


「幸運ロール発生...生き物の心に干渉する為、確率を半減...40以下成功...43...失敗...」


「では引き続き作業を続けろ、私は一旦戻る」


そういうと、その場所から空へ飛び、こちら側の方向を向き始める。


「嘘だろ!?頼む!こっちを見ないでくれ...」


そう思うとそいつは一瞬で姿を消す。何十人いた配下たちは、すぐに設置に向かうため森の中に消えていく。最後の残りの四人ほどがその後についていこうとすると、一人がコソコソと耳打ちをし、こちらの丘をにらめつけてくる。


「...おい、そこに隠れているのは分かっている、姿を表せ」

「...」


どうやらこちらの位置はバレていたらしい、かといって、すごすごと姿を出すわけにはいかない。

バレないよう、すぐに這って二人の元に戻ろうとするが、四人の中の一人が土魔法をこちらの丘側に射ってくる。


「中級土魔法『ロックガン』ロール...対象を叩き出すため確率減少...18以下成功...17、成功」

「くっそ!キックで『回避』ロール!」


魔法が飛んできたのを視認し、伏せたままではどうやってもこれは避けれないことを察し、

仕方なくその場で立ち上がり、両足で地面を蹴る。


「戦闘開始...DEX値順に、ミレイより行動開始。地面をキックすることにより回避を代用ロール...

成功率減少、50以下成功...86失敗」


ロックガンが丘の壁に衝突し、足場を崩しミレイは崩れた足場に落っこち、滑り落ちる。


「身動きが取れるかの幸運ロール...18成功...」


崩れた瓦礫が起こした砂埃が晴れると、辺りに20センチほどの岩が散乱しているのが見える。

それを見て残りのフードの男たちは懐から投げナイフを投げる。


「なんて物を仕込んでんだよ!!」

「...投擲それぞれ25以下で成功...19、68、7、二つ成功...」


距離が少し離れているところからの投擲ナイフの一つ目を、腕の防具で弾き飛ばす。


「回避ができるかの対抗ロール...投擲側のSTR、回避側のDEX...70以上で成功...

50成功」

「なんのこれしき!」


右に振り払った後に腰を屈め、2投目を避ける。


「2ラウンドに入ります」


ミレイが避けた後に一瞬世界が遅くなると、頭でそれを理解する。

すると、ミレイが戦闘に入ったことに気付いているシャニとグレイは、草むらから飛び出し

後ろに着くと、三対四の状況に入る。


「健斗!大丈夫だった?」

「ええ大丈夫です、でも気をつけてください。あいつら魔法だけじゃなくて投擲ナイフとか

の仕込み武器も持っていたので、何をして来るか分かりませんから。」

「分かった!後ろから援護するね」


相手側を向きながら後退し、約十メートル離れたところで杖を腰から抜き取り、構える


「じゃあ俺が前衛で、お前がその後で追撃してくれ」

「オッケー、じゃ行くぞ!」


合図と共に一気に相手の集団に飛び込み、一番手前に居た土魔法を射ってきた男に斬りかかる


「ミレイの刀を使用...60以下成功...15、成功...ダメージロール1D8ダメージボーナス1D4...

ダメージ値7...半分以上のダメージを負ったため、気絶するかどうかのCONロール...

50以下成功...60...気絶します」

 

「よし、まずは一人目...うっぷ...」

「おい!無理するな!」


「ミレイ、グレイのSAN値減少...0/1D3...それぞれ80、55以下成功...50、33成功」


正面から切り込みを深く入れると、フードの男の腹から大量の血が吹き出す。

そのまま相手は地面にひっ伏し、動かなくなった。


ミレイは、自分が切った、その手に伝わる感触や血が吹き出す光景を見て、吐き気が身体中から漏れ出し、胃液が喉元まで迫り上がってくるが、それをなんとか飲み込み深呼吸をしながら後ろに跳ねる。


そんな吐き気を催しているミレイに喝を入れるグレイ、そんな彼も少しその光景を見て気持ち悪くしている。だがゾンビ系ホラー映画を娯楽として、たまに見ている彼は少し耐性があるので、

直ぐに平常心を取り戻す。


ミレイの後について来ているグレイが、ミレイの攻撃し終わった時に追いつく。


「跳躍...35以下成功...47、失敗...続いてこぶし判定...13成功...ダメージ判定1D3プラス1、ダメ1D6...8ダメージ...強制気絶です」


空中に跳躍し追加のダメージボーナスを狙おうとするが、そうは問屋が許さないのか、跳躍失敗。

だが、グレイの単体で出すダメージがミレイよりも大きく、二人で一気に人数差を埋めた。


即二人も気絶に持ち込まれたフードの男たちの中から、動揺している雰囲気が漂い、

危険だと判断したのかすぐに逃げようとするが、未だターンは回ってきていないため、足が動かない。


「何の魔法使えるんだろ...まあ分からないし、さっきの土魔法使ってみよ、『ロックガン』」

「『ロックガン』...成功確率初期値...5以下で成功...97、ファンブル」


魔法名を唱え、体から透明な何かが放出され、黄色に変化していき、七センチほどの弾丸状に固まっていく。普通はそこで発射されるものなのだが、そのまま飛んで行かず、どんどん肥大していき、15センチ程になると中からヒビが入り、暴発する。


「ファンブル効果の1D3のダメージロール...1ダメージ」

「くっそ、ごめん二人とも!ファンブル出しちゃった!」

「大丈夫です!二人で残りをなんとかしてみます!」

「本当にごめん!」


三人の行動ターンが終了し、次は相手側のターンだ。DEX的には一緒なのか次も二人同時に動き出す。


「こんな化け物たちに秘密を知られてたまるか!俺は逃げるぞ!」

「おい!お前それはやめろ!」


一人は逃走を選択し、懐から白い玉を取り出し地面に叩きつける。


「逃げさせるかよ!」

「煙幕を刀で薙ぐことで視界が戻るかのロール...01、クリティカル」

「チィ!」


すぐに煙幕が十メートル程広がり視界を遮る。そのままだと逃げられると感じた。

ミレイは、反射的にその刀を横になぎ、煙の濃度を下げ、姿勢を低く森に消えようとしたフードの男を目視出来るところまで持っていくことができた。


「逃走できるかの対抗ロール、逃走側のDEX値12、追跡側のDEX値11...55以下成功...66、失敗」

「逃げさせる訳ねーだろがこの野郎!」


そのまま逃走を続行しようとするそいつの背後についたグレイは、走っているその足を引っ掛け、

その場で転倒させ、逃げようとさせないため背中に乗り、腕を背中に押さえつける。


「組付の対抗ロール...STR差と体制の不利により自動成功」

「よし。絶対離さないからな、大人しくしろ」

「...俺は何があっても絶対に話さないぞ、あの方の願いが完遂するまではな!」

「はえー、その願いがどんなのかは知らないが、先ずは自分の身を案じたらどうだ?」

「私が捕まろうとも、他の者たちがきっと大望を達成してくれるだろうな、ハハハハ!」


そう錯乱した目で妄言を吐く男。


...ダメだこいつ、精神を完全に持っていかれてやがる。

そういえば健斗からこいつらの目的について聞いてなかったな。


そう考えているグレイのもとに、残った一人を縛り付け、地面に放置した二人が駆けつけてくる


「修哉!大丈夫か?」

「ああ!生け捕りにはしたぞ!」

「生け捕りって...まぁそんなことは後にしよう、そいつからあの魔族について聞き出せそうか?」

「いや、コイツ目がイッてるからな、正気に戻すぐらいなんかしないと聞けだしそうに無い。

それはそうと、お前あいつらの話を聞き耳して何が聞こえたんだよ?」

「...そうだった!二人とも時間がない、端的にいうと、魔物をあの街に仕向けられそうだ!」


そう言うと二人は事の盛大さに二人は息を詰まらせ、すぐに行動に移す。


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他者様の作品を読んでいると、自分の作品で会話の括弧が一行開いていると少しペースが遅くなるような感じがしたので、開けずに書いてみました。

元のままがいいっていう人がいれば、コメントで言ってくれるとありがたいです。

誤字脱字報告の方もコメントなどで言ってくれると有り難いです、宜しくです。

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