第六話 これからについて

パーティー登録を済ませ、ギルドの一つの席を陣取り約二十分、先程の解体屋のおっさんがやって来た、包みにくるっていた物体は熊の皮部分で、五十センチほどの束が2つほど、これを加工専門の武具屋に持っていけば銀貨二十枚ほどになるらしい。


この世界での通貨は


石貨1枚=1円 

粗銅貨1枚=10円

銅貨1枚=100円

鉄貨1枚=1,000円

銀貨1枚=5,000円

金貨1枚=10,000円

大金貨1枚=100,000円

他にも、七星貨1枚=10,000,000円


と、国同士の貿易や、大型の取引でしか使用されない貨幣があるらしいが、ここ10年で回ってはいないという。


物価が違うからなんとも言えないんだけどね


包みを手渡すと、まだ解体作業が終わっていないのかすぐに工房へと戻っていく


「すぐにお金が欲しいとは言ったけど、日本円で約十万か...結構な額で安心したよ...」


「俺のラノベ知識からして、これで二週間は持つはずだぞ」


ほっと心を落ち着かせる布津那と、その性格と図体から予想できないオタク知識が修哉から飛び出す。


「でもこの額が即換金できるやつだから...全体でいけばもっとあるって事だよね。修哉ひとりでよく倒せたねそんな化け物...」


心からの感嘆に修哉も流石に笑みを深め、少し恥ずかしそうなそぶりを見せる。


「もういいっすよそういうのは、ほらさっさと換金しましょ、今夜の宿見つけないといけないでしょ?」


「それもそうだな、俺が換金しに行くから、二人で風呂がある宿探しといてくれよ、汗かいて結構臭いんだよこれ」


なんでもないように振る舞ってはいたが、健斗は少し綺麗好きの部門に入る。

仕事の休暇には温泉街に出向き、六種類ほどの風呂を絶対に巡るのが恒例行事で、楽しみの一つであった


「...うっわ、くっさこの服...やばい、凄くお風呂が恋しくなってきたわ...」


お風呂好き度合いが高すぎるのが玉にきずだが。


「わかった、けどよ、そんな宿ってないところに比べて大体二、三倍はするのが定石だぜ?」


「初日くらい少しは気を休める時間が必要だろ?まぁ少し甘えがあるけどな」


「ほえー、堅苦しいお前からそんな言葉が出るとは思わなかったぞ」


「...うるせぇ」


ギルドの扉のドアノブに手をかけ、そそくさと武器防具の店へ向かう。


通りを歩き、気になる商品ついてみると店頭に腰の高さほどのところに青銅などの比較的安価な武器類が、店の中には

金属類でできた少し高額な商品が展示されている


...うっわ、すげーファンタジーしてる...なにこの俺が予想してたのとほぼ変わらない武具店、

予想とほぼ一緒すぎて感動よりヤラセ感が否めない...


思わず心の中で感動が湧き出し、逆に仕組んでるんじゃと思うが、そんなわけがあるはずもない


「すみませーん、この革の売却を行いたいのですがー」


店のカウンター的な場所に人が立っていなかった為、店の奥に聞こえるよう声を張り上げる。

すると奥から、これまた大きな体つきの初老の金槌を持った男が顔を出す


「なんだー、安物だったら容赦しねーぞ」


そう口では怖く言っているが、包みを優しく腫れ物を扱うように下から優しく受け取ると、その中身をカウンターに置き、確認する。

すると少し感嘆したかのように「ほぅ...」と吐息を少し漏らした


「これはお前一人で?」


「...いや、まぁパーティーの一人が素手で頑張ってくれて」


「素手でか?」


「...信用を使用...ダイスAPP補正値+10...40以下成功...1D100...25通常成功...」


パーティー三人の手柄として言おうと少し魔が刺したが、今の修哉の容体と鑑みて真実を言うと

驚いたように目を見開き、何か嬉しかったのか不敵な笑みを少し浮かべる。


「そうかそうか、で、その仲間の容体は大丈夫なんだろうな」


「身体中に切り傷があって、一回応急で回復させましたけど自然治癒に時間が必要かもしれません...」


「そうか...じゃあ少しおまけしといてやるよ」


そういうと代金である銀貨二十枚に、追加で銀貨を5枚、手に持たせてくれる


「銀貨5枚!?いや、そんな大金もらえないですって」


少し焦り気味に返そうとすると、強くその手を握られ、大切に持たせるように再度強く握らせる


「大丈夫だ、この5枚で中級回復薬ぐらいなら買えるだろ」


呆気に取られているうちに、店の奥に戻ろうとする。


「まあ、気前の良いおじさんがお金を追加してくれたって事にしといてくれ、自分で言うのもなんだけどな」


「...本当にありがとうございます!」


「ああ、グラシャ・ミグナット武具店を贔屓にしてくれることを願ってるぜ。」


綺麗な45°お辞儀を決め、店の奥に彼が消えるまでその体勢を続けた


店を立ち退いて、10分ほどのところにあるポーション専門店で中級回復薬を購入する


「よっしゃ!これであいつの怪我も治る」


中級回復薬の効果だが、4D4の瞬間回復で、相当な回復量と共に異常状態も多少軽減してくれるらしい


回復薬にもちゃんとグレードがあり、

初級回復薬が、2D3の1秒間に1ポイントの瞬時回復、で価格は鉄貨2枚

中級回復薬は上記の通り、で価格は銀貨5枚

上級は6D5の瞬時回復に加え、異常状態全回復に、欠損部位も治るとかいう化け物、

しかしそれに伴い価格も化け物の、大金貨3枚


おれそれと手を出せる代物ではなく、相当儲けている上位のパーティーも、

危険な依頼の時に念を入れて購入する薬である。


店を出て通りに出たときに重要なことを思い出す。


「...そういえば、二人と集合する場所決めるの忘れてた...」


まあまあな広さを誇る街で、電池の切れた友達とディ○ニーランドで探しあうと似たようなイベントが発生するのだった...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る