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発現者――フィオナ・メーベル
フィオナがノイルの要望に応え創造した、飛行能力と様々な属性の魔法を行使可能な魔装。
耀く一対の銀翼と魔法を放つ二挺の短銃、標的をマークするゴーグルが発現する。
元々は各地から迅速に魚を新鮮なまま輸送するための魔装である。
なお、別にノイルはこういう魔装を創って欲しいと頼んだわけではない。
二挺の短銃からは使用者の意思に沿った魔弾が連射可能であり、飛行速度もノイルの《馬車》を上回る。
非常に強力な魔装である反面、元々が戦闘を考慮して創造されたものではなく、また本人の能力の限界もあり、放たれる魔弾の威力は調整可能であるが上限が存在する。
秘匿能力は〈
これは放つ魔弾の形状、性質を自在に変化させるものであり、変化し募るフィオナの恋心が影響した能力。
込めたマナを消費し尽くすまで連続で魔法を放ち、貫通力に特化した形状の魔弾を更に風の魔法でコントロールする事で、フィオナは火力不足を補う事に成功した。
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発現者――フィオナ・メーベル
フィオナがノイルのどんな要望にも応えるため発現させた首輪の魔装。
その副産物として、半魔人故に低いフィオナの身体能力は強化され、常にノイルの居場所と存在を感じることができる。
本人はそうとは露程も思っておらず、むしろそれが望みで発現させたが、他者の命令に絶対服従、対象から離れすぎると時間経過で徐々に自動で首が締まり死に至る、任意の解除は不可、という絶大なデメリットを抱えているため、本来ならばあり得ないほどの効果を生み出している。
この魔装を発現させている場合、フィオナは純粋に考えられないほど強化されているだけではなく、易々と意識を失わなくなり、加えてノイルからの命令があれば、それに合わせて更に能力が強化される。
狂気の沙汰でありネタのような魔装であるが、実のところ作中で登場する魔装の中でも一際強力な部類。
非常に頑強な上燃費も頗る良く、マナ不足で維持が不可能になる事など殆どない。
ただし、フィオナは死の淵寸前まで自らマナを多量に消費する事で、状況に応じて解除する手段をいつの間にか身に着けていた。
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発現者――ミーナ・キャラット
肘まで覆う黒い爪のついた
非常にシンプルな能力を持っており、純粋な身体能力の強化に加え、速度か威力、どちらかを任意で向上させる事ができる使い勝手の良い魔装。
ただし、速度を向上させれば威力は落ち、逆に威力を向上させると速度は落ちるため、使いこなすには修練が必要となる。
ミーナは速度を常時向上させ、インパクトの瞬間のみ威力の向上に切り換えるという使い方をしていたが、完璧には至っていない。
とはいえそれでも充分な破壊力と驚異的な速度を誇っていた。
四肢の内一部のみに、全てのリソースを割き威力を向上させる事で、尋常ならざる破壊力を生みだすことも可能ではあるが、ミーナ一人ではあまり役に立つ技にはならない。
秘匿能力は〈
これはミーナの感情を魔装に伝播させ能力を向上させる力であり、彼女の情熱的な部分が影響した能力。
想いの強さがそのまま力となるため、理論上はミーナの感情が高まれば高まる程能力は向上し、そこに上限は存在しない。
シンプル故に無限に強くなれる能力である。
《獅子の牙》
発現者――ガルフ・コーディアス
一振りの大剣の魔装。
これといった特徴はなく、通常の剣よりは強度と切れ味が優れているといった程度の力しかない。
言ってしまえば凡庸な魔装である。
しかし癖がないため非常に扱いやすく、マナの消費も少ない。
ソフィの評価の通り、良くはないが決して悪くはない能力。
実は極めてシンプルな魔装のため、破壊された場合の回復が早い。
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発現者――クライス・ティアルエ
自身の分身体を創り出す魔装。
クライス自身が重要なのは心と言っている通り、本人の精神状態次第で人数は変化し、マナの許す限り分身体を創り出せる。
ただし実は一日に一度しか使用できず、その日の内に消された分身体を再び創り出す事はできない。
戦闘能力も本人より遥かに劣化するが、それでも近接戦闘を不得手としていた頃のレットが接近戦ならば辛いと言うほどの力を持っている。
分身体にはそれぞれに意思が存在し、好き勝手に動くが本体の指示には従う。
恐るべきは、後述するクライスのもう一つの魔装を分身体全員も使用してくる点であり、その能力自体は劣化していない事である。
しかし逆に言えば、もう一つ魔装が発動可能でなければ、分身体の力は大きく低下すると言える。
この魔装を目にした者は、大抵が夢に出そうだといろんな意味で頭を抱えるという。
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発現者――クライス・ティアルエ
非常にきらびやかなマントと一振りの剣を創造する魔装。
能力は極めてシンプルであり、身体能力の向上である。
しかしその剣は抜群の切れ味と強度を誇り、マントは自身の剣で突き刺しても直ぐに修復される。
そのため、クライスの扱うシソウ流と非常に相性が良く、まさに理想の魔装の発現といえるだろう。
きらびやか過ぎる魔装には更に目くらましの効果もあり、回避と防戦においては抜きん出るノイルでも初見では分身体に追い詰められた程。
変幻自在、意外性を重視するシソウ流の中でも、これ程の魔装を発現させた者は数える程しかおらず、クライスは更に《俺がいっぱい》と組み合わせる事で新たな技を次々と生み出している。
もはやクライスの流派は、殆ど彼独自のものへと昇華していると言っても過言ではない。
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発現者――ソフィ・シャルミル
ソフィがあまりの苦痛から創造してしまった魔装。
命を対価に、異常な能力向上と休息不要かつ痛みや苦しみを一切感じないという効果を持っていた。
正式な名称はなく、何もかもが規格外の歪んだまさに呪いのような魔装。
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発現者――ソフィ・シャルミル
ノイルの《変革者》によって《呪い》を克服したソフィが創造した絆と愛の魔装。
これを発動させるとソフィの手の甲には風を纏う乙女の紋章が出現し、辺りを優しい風が包む。
その効果はソフィの愛する仲間たち――『
『精霊の風』全員が揃った状態であれば、それは破格の力を発揮し、傷つくことを恐れずに全員での戦闘が可能になる。
深い絆があってこそ成立する、ソフィの望んだ彼女の願いの形。
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発現者――ソフィ・シャルミル
他者を演じる事で、その能力の一部を再現する魔装。
お芝居好きのソフィが創造したユーモアに富んだ強力な能力である。
身近な人間をよく観察し、ソフィ独自の解釈を踏まえて演じる事で、理論上は無制限に能力の一部コピーが可能。
つまり、この魔装において決まった形は存在せず、また、能力の再現であるため、その力の及ぶ所は魔装のみではない。
あらゆる魔法、魔装、能力、果ては精霊の力に至るまで、自力で発揮することができる。
ただしコピーするには長い観察期間が必要であり、オリジナルよりは劣化したものとなる。
また、ソフィ独自の解釈が入っているため、本物に比べると首を傾げる出来栄えになる場合が多く、ミーナはキレた。
この魔装の真の脅威的な部分はコピーした能力を何時でも自由に引き出せる事にあり、その対応力は誰よりも上であると言えるだろう。
しかしコピーしても意味のない能力は存在し、ミリス等の魔針や魔力派を再現したところでマナの綻びは視えないため無駄となり、純粋な身体強化ならば自身で身に着けた方が早い。
また、ノイルのように複数の能力を持つものは、その者の象徴的な力を捉えにくいため、再現出来ず、元より《白の王》などの複数人で扱う力はコピー不可である。
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発現者――ノエル・シアルサ
ノエルがノイルの為だけに発現させた、エンゲージリングで二人を繋ぐ魔装。
効果はノイルの能力向上と代わりに自身が受け持つ事での負担の軽減であり、本来ならばこれを発動している場合、ノエル自身は無防備となる。
とはいえノイルのみが対象という限定条件があるためその効果は非常に大きく、『六重奏』の負担をも打ち消す程。
つまりこの魔装の効果範囲内であれば、ノイルは全力の戦闘が可能となる。
ただしノエル自身の消耗もノイルが力を奮う程激しくなり、『アステル』との初戦にはついていけず、一時意識を失った。
この魔装を発現している間ノエルは花嫁衣裳を身に纏うが、それは特に何かの効果があるわけではない。
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発現者――ノエル・シアルサ
ノエルが一度だけ使用した『神具』――『
発動すればノエルは正常な思考力を失い、狂気的な本能に支配される代わりに、爆発的に身体能力を高める。
また、ノイルの血液を摂取する事で更に能力は向上し、理論上は上限が存在しない。
しかし直接ノイルの身体から摂取した方がその効果は高く、一度保存した物になると能力の向上は抑えられたものとなる。
更に血を摂取すればするほど狂気に呑まれ、過剰な摂取は完全なる暴走状態を引き起こす。
メリットとデメリットが非常に大きい魔装であったが、後に不可能と思われていた《伴侶》と組み合わせる事で《
これは自身に取り込んだノイルの血液を彼自身とみなし強化するという、ノエルにしか理解の及ばぬ境地である。
《披露宴》になれば二つのドレスは混ざり合い、赤と白の花嫁衣裳と化す。
秘匿能力は〈
血を流す事を厭わぬ覚悟が影響した能力である。
その能力は自身の血液を自由自在に操作する事。
形状、性質を自在に変化させ操られるノエルの血液は、守りに用いれば堅固かつ、液体であるため、その汎用性は非常に高い。
また一滴でも付着させるだけで傷口や隙間から相手の内部に入り込み脅威になり得るなど、恐ろしい力を秘めている。
しかし自身の血液という関係上、体外に多量の放出は不可。
摂取したノイルの血液がその分を肩代わりしてくれるとはいえ、元々本人の身体を流れる血液量以上は操作出来ない。
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