③
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発現者――シアラ・アーレンス
漆黒の巨大鎧を纏う魔装。
魔力に対しての圧倒的な耐性を備え、飛行形態への変型が可能である。
防御面だけではなく、その巨体に比例して攻撃面も優れており、動きも鈍重ではない。
狙い通りフィオナの天敵とも言える性能を持っている。
しかし、やはり巨体故に細やかな動きは苦手としており、小回りも利かない。
また操作性も良いとは言えず、マナの消費も大きい。
シアラの才を持ってして初めてまともに動かせる魔装であり、普通の者ならば殆ど棒立ちになってしまうだろう。
汎用性も高いとは言えず、素早く物理に特化したミーナの様な相手は不得手としており、シアラ自身も部分的な発動等で欠点を補っていた。
秘匿能力は〈
ノイルの周囲の女性を全員排除したいという想いが影響した能力。
漆黒の鎧を飛行形態に留まらず、自在に変化させ性質をも変えるという、まさにあらゆる敵や状況に対応する為の万能の力である。
小型化から肉弾戦に特化した形態、さらに防御特化の形態など、応用力は無限の可能性を秘めているが、その分操作難易度は常軌を逸しており、ノイルの《守護者》を遥かに上回る。
とはいえ、使いこなす事さえできれば殆ど弱点の存在しない比類なき力。
実は《白の王》などの極一部の特殊なものを除けば、この能力が覚醒した《魔女を狩る者》は作中では最強の魔装。
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発現者――シアラ・アーレンス
漆黒の鎖を発現させる魔装。
その能力は対象の捕縛、拘束であり、ノイルを二度と離さないという願いから生まれた能力である。
そのためノイル以外には丈夫な鎖程度の力となるが、彼に対してだけは絶大な力を誇る。
その力は捕縛されなければ対処可能ではあるが、一度絡め取られてしまえば全盛期の全力のノイルでも自力の脱出が不可能となる程。
言ってしまえば、彼の力を完全に無効化してしまう魔装である。
また、鎖には自動追尾機能が備わっており、効果範囲は広くないが、操作せずともノイルを感知し彼の元へ向かうようにできているため、隠れても無駄。
複数本発現させられるが、長さ本数に上限は存在する。
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発現者――テセア・アーレンス(歴代神子)
視たものの情報を読み取る魔装。
テセアの場合は黒縁の眼鏡が発現する。
愛称はアナちゃん。
人、物を選ばずあらゆる情報を読み取り、対象に近づけば近づくほど、その情報量は詳細な物になる。
ただし使用者の力を大きく超える対象の情報は読み取る事が出来ず、また、使用者の知識量によりそれに合わせ情報の伝え方が変化する。
テセアの場合は人物の情報には【称号】という欄が存在し、これは《解析》が感じ取った、謂わば魔装の直感のようなものから与えられる。
秘匿能力は〈
まともな話し相手が欲しいという想いが影響した能力。
これは魔装に意思が宿るというものであったが、当初はテセアが《解析》自体に少なからず忌避感を覚えていたため気づくことはなかった。
この力に気づいてからは、テセアは《解析》に愛着を持つようになり、アナちゃんという愛称をつけている。
また、それまでは機械的に伝えられていた情報も、人間らしくなり、より親しげにされど敬意を込めるかのように表示されている。
あくまでも情報を読み取る魔装であるため、自由に対話が可能なわけではないが、アナちゃんの気分は眼鏡の曇り具合でわかるという。
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発現者――テセア・アーレンス
シアラと自信を繋ぐペンダントを発現させる魔装。
雫型のペンダントの形状はノイルがノエルへと贈った物に酷似しているが、その意匠は双子の姉妹の姿となっている。
アリスが魔導具を造形するように、ノエルがノイルへと力を貸すように、シアラの魔装を整え力を与える能力であり、《解析》との併用が前提。
《解析》で読み取ったシアラの魔装の乱れを自身の力を注ぐ事で正確に修正し、彼女の全力を引き出す事ができるようにした、自身よりも余程強く、されど未熟で手のかかる愛する妹のためだけの力である。
二人が揃うことで、〈千姿万態〉はその真価を発揮した。
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発現者――アイゾン・スゲハルゲン
自身の心から欲するものとそれに関係するものを感知する魔装。
使用時は瞳の色が白く変化する。
効果範囲は非常に広く、アイゾンは『
しかし、元々その能力故に使用制限のあった魔装は、『転魂珠』、『分魂珠』の影響で更に力を失っており、年に数回程しか行使できない程に劣化。
挙げ句の果てには『分魂珠』の影響を受けた『六重奏』の宿るノイルを、自らの信仰する想像上の神だと誤認するに至った。
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発現者――レイガス・リウォール・イーリスト(歴代イーリスト王)
王都イーリストをまるごと覆ってしまう程の結界を発現させる魔装。
王家の血を引いた者のみが発現させる特殊な力であり、この魔装を十全に扱える者のみに王位継承権は与えられる。
その護りは非常に堅固であり、並大抵の攻撃では破る事は出来ない。
また、驚異的な点はマナ効率が抜群に良い所。
巨大な魔装でありながら、攻撃を受ければ話は変わるが、基本はその燃費はノイルの《馬車》よりも上。
まさに「民を護れぬ者に、王たる資格なし」という言葉を体現した魔装である。
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発現者――エイミー・フリアン
一冊の分厚い革張りの装丁の本を発現させる魔装。
自身の血を使い本に記した事の可能性を高める能力であり、運命すらも書き換える力を秘めている。
ただし本来はあくまでも可能性を高めるだけのものであるため、書いた文章により自身や他者の傷を癒やしたり、身体能力を高めたり、周囲を完璧にコントロールする事は出来ない。
また、対象がはっきりとしていなければその効果はボヤけ、大した影響は及ぼさなくなる。
一度書いてしまった文章は取り消す事は不可であり、ページが全て埋まってしまうと新たな書き込みも出来ないという使用制限もある非常に特殊な魔装。
一応他者も書き込む事は可能ではあるが、その場合は文章を消す事も可能であり、何の影響も及ぼさない。
しかしエイミーはノイルの書いた小さな文字を生涯消していない。
何もかもが規格外の他に類を見ない魔装であり、効果も未知数かつ半ば自身でも制御不可という不安定で歪なものだが、同一の文章を重複して書き込む事でその力は奇跡すらも引き起こし、ノイルの死の運命を書き換え彼を救うきっかけを生み出すと同時に、エイミーと結ばれる可能性を手繰り寄せた。
余談ではあるが、エイミーがもしも「ノイル・アーレンスは、エイミー・フリアン
不規則に記憶を失ったノイルが、ミリスへの想いを忘却してしまったのも実はこの魔装の影響。
つまり、エイミーは彼が複数の女性と結ばれる未来を創り出した人物と言っても過言ではなく、その道しか存在しなかった。
なお《夢物語》の真の驚異的な部分は、発動していない間も効果が持続する所。
一度書き込めば永遠に影響を与え続ける。
秘匿能力は〈
少々向こう見ずで妄想癖があり、発想も行動も暴走しがちな部分が影響した能力。
単純に魔装の力を時に破格のものにし、大きく運命を書き換えられる事と引き換えに、使用者はそれに応じた傷を負うというもの。
想いの強さが関わっており、強く願えば願う程、文章を書こうとするだけでも不可視の力に襲われ、治癒を施す者が近くに居なければ最悪は死に至る。
しかし、エイミーの願いは彼女の生存なくしてはあり得ないため、エイミー自身の生命力も実は高められおり、かつ心臓などの致命的な部分への直接的なダメージは幸い抑えられていた。
《双璧》
発現者――べステケット・アメリアム(一号)
巨大な二枚の盾を発現させる魔装。
頑強さに重きを置いた魔装であり、その盾の強度は並の攻撃では傷一つ付けられない程。
特殊な能力は備わっていないが、純粋に武器としても扱う事ができる。
《獅子の牙》同様、極シンプルな魔装であるため、破壊された場合の回復は早い。
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発現者――新二号
巨大な突撃槍を発現させる魔装。
一号が盾となるならば、自分は矛にとの思いから新二号が修練の末に創造した力であり、自身の身長を優に上回る程の大槍であるが、彼女は片手でこの魔装を扱う事ができる。
マナを注ぎ溜める事で破壊力を増す事が可能であり、フルチャージから繰り出される
柄の部分に美化されすぎた女神の如きアリスの彫刻が施されている。
《自然回帰》
発現者――バリィ・ザイラー
四肢に強固な剛毛を纏う魔装。
その効果は単純な身体能力の強化であり、ミーナに似たタイプの能力ではあるが、より荒々しく洗練されていない。
通常であれば速度も力も彼女よりも遥かに劣り、応用も利かず、特殊な能力なども保たない。
半獣人の身体能力に任せるだけの力押しのものであり、暴力を振るうためだけの粗雑な魔装。
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発現者――ベルツ・マークハイム
自身の身の丈程の大盾と長剣を発現させる魔装。
その名の通り、非常に堅固な大盾に、甚大な破壊力を秘めた長剣が収まる形となっている。
長剣は並の者ならば一撃で防御や魔装もろとも斬り伏せる事のできる威力を誇り、大盾はべステケット(一号)の《双璧》を遥かに凌ぐ堅牢さを有している。
堅崩流を扱うにおいて、これ以上ない程に理想的な魔装。
その盾に傷を付けられた者ですら少数であり、剣を防げた者も数える程しか居なかった。
なお長剣と大盾を打ち合わせようとした場合、不可視の力が働き双方は接触しない。
《
発現者――ベルツ・マークハイム
体内のマナを急速に燃焼させる事と引き換えに、爆発的に身体能力を高める魔装。
使用時は身体から研ぎ澄まされた鋼の刃の如き冷光が溢れ出し、瞳も同色に染まる。
その性質上、長時間の力の行使は不可であり、短期決戦用のベルツの切り札。
また、使用後はしばしの間常人ならば立つことも不可能な程の疲労感が押し寄せ、途中で解除してもマナを限界寸前まで消費してしまう。
限界を突破する対価に余力を残す事を許さない魔装。
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