第1話


急に下界に落とされ軽く先輩女神に呪詛を

送りながら現実逃避をして、しばらく経ち

ようやく少しは立ち直りこれからの事を考えるだけの精神に戻った。


「ふぅ、取り敢えず現在の状況を整理しないと」


まず神様の力は使えるのかを確認する事に

幸い周りには人が居ないからちょうどいい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

うん、天界に居たときと同じ事は大体出来るみたいだな。

でも、なんか違和感があるな、これも先輩が言っていた、自分を神様だと下界の人に

気が付かれない配慮だろうか?

うーん、でもこれなら今すぐに魔王の所に

行ってそのまま魔王を滅ぼす事も出来るだろうけど、そうはいかないから下界に落とされたんだよなぁ。

確か、僕がこの下界に送った転生者が

悪の心を持っているからそれをどうにかしないと世界が滅ぶんだよね。

しかし今になって思うけど、そんなの死者を

この世界に転生させる時に気が付かないはずがないんだけど、そもそも悪の心があるの

ならその時点で転生の儀から弾かれるはずだし。

まぁ今考えた所でしょうがないか。

えーと次は容姿はどうなっているんだ?

確か神様のままの容姿だと色々と問題がある

からこの下界の人レベルに落とすんだよね

なにか確認出来る場所はないものか。

少し辺りを見渡すとちょうど湖があることに

気がついた。

よし、そこの水面で確かめてみるとしますか



・・・・・・・・・・・・・・・


はぁーどうなっていることやら

そんな不安を抱きながら水面を覗いてみる。


「えぇぇぇぇ」


思わずそんな声が出てしまった。

あのキラキラな金髪は日本人の様に黒く染まっていて、前髪のせいで目元は隠れていて

顔もまぁ良くもなくかといって悪くもない

普通の顔でってこれじゃあギャルゲーの主人公じゃないか!!

えぇぇぇぇなんでこんな容姿になってるだよ

もっとあったでしょ。

あ、でも髪をあげるとイケメン?かな?

ってそんなことはどうでもいいわ!

はぁー100人が100人振り替えるあの容姿が

今ではギャルゲーの主人公、落差がありすぎるよ。

なんかへこむなぁ。

それに服装は天界に居たとき着ていた神様ローブではなくなってこの世界の庶民が着る様な服装になってるよ。

まぁあの格好は目立つから仕方ないけど

これじゃあ神様要素が全くないな

いや、ない方がいいのか。


さてと取り敢えずは自分自身の状況は分かったとして持ってる所持品はなにかあるのかな?

まぁあの状況で持っていける物なんてなかったけど一応確認しておくか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ん?ポケットの中に何かある

なんだろうと思って手に持ってみると

これは指輪?

あれ?なんか紙もあるな


『これを読んでるって事は無事に異世界に

行けたって事かな?まぁどうでもいいけど

取り敢えずこの指輪に付いて教えておくよ

この指輪は転生者の悪の心を発見する

便利アイテムだ!悪の心を持つ転生者に会えばその指輪が光るよ!

そっちに行ったらむやみに神様パワー使えないからお姉さんからのプレゼントだよ!

良かったね!これで見つける事が出来るよ!さぁ後は君が頑張って転生者を探してね!まぁ神様(笑)だから見つける事も簡単だよね!それじゃあ頑張ってねぇ~

P.S.あ、後この世界の魔法は全部使えるから

戦闘では困らないね!

q(*・ω・*)pファイト!』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ふざけんな!!!!!」


本日二度目の叫びと共にふざけた手紙を地面に叩きつけた。

なんだよ!神様(笑)って!

あのくそ女神、他人事だと思って楽しみやがって!

無事に帰ったら覚えてろよ!

そんな風にまたあの先輩に対しての憎しみを募らせていると何処からか叫び声が聴こえてきた。


『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


「!?」


なんだ!ここから近い様だけど!

的確な場所まではわからない!

声からして少女の様だ。

流石に神様として見過ごす訳にもいかない

そう思い早速神様パワーで場所を探知する。


・・・・・・・・・・・・・・


あそこか!

どうやらここから近くの森の中の様だ。

場所が分かったのでそこに急いでテレポートする、流石に目の前に現れる訳にはいかないので近くまで!


テレポートをして近くに転移して急いで少女の方へ走っていく。

そして少女の所にたどり着くと正に少女が

獣型モンスターに襲われているところだった。

僕は急いでそのモンスターに魔法を放った。


「ファイア!!」


すると手のひらから、ものすごい大きな火の玉がモンスターへと向かっていき

モンスターに当たると絶叫をあげながら

そのモンスターは塵も残さず消えていった。


あれ?僕が打ったのって下級魔法のはずなんだけど?

あれー?もしかして神様の潜在能力のせい?

少しの間、手のひらとモンスターの居たはずの場所を交互に見ていたが直ぐに気持ちを

切り替えて少女の元に行く。


「大丈夫かい!」


少女は何が起きたのか、いまいち理解が出来ずに唖然としていたが僕が話をかけた事で

目の前の出来事を理解したようでこちらを

向いてお礼を行ってきた。


「あ、あのありがとうございました!」


「いや、偶々通りかかっただけだよ」


「い、いえそれでも本当に助かりました!」


そう言って深々とお礼をしてくる。

うーん神様からしたら当たり前の事をした

だけなんだけどなぁ。


「その、お強いんですね!」


うお!いい笑顔!


「ははは、まぁ偶々だよ」


まさか神様だからとは言えずにここは誤魔化す事に。


「そんな!ご謙遜を!」


「ははは」

そう言って少女は大げさに僕を褒めてくる。

めっちゃ目をキラキラさせてるよ、この子。

そんな少女に思わず苦笑いをしてしまう。

そうやって思っていたらポケットが急に光始めた。


「えっ!」


「んっ!?」


思わず急いで光っている方のポケットから

その原因の物を出す。

するとあの先輩からもらった指輪がこれでもかと光っていた。


「ほへぇなんだか綺麗ですねぇ~」


そんな呑気な事を言う少女。

ん、あれ?

これが光ってるって事は・・・・・・・・


「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


「な、なんですか!」


この子が例の転生者!?

僕は本日三度目の叫びをあげた。







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