ズレてる。。。(話せば長くなるけど)
前回ちょっと触れた、夫のM夫くんの誕生日の日の話。
私たちの誕生日はとても近いので、去年かおととしくらいから合同で豪華ディナーへ行こうってことになってたんだけど、今年はコロナ禍の自粛もあって、私の誕生日には豪華テイクアウトオードブルと、ホテルの特製フルーツタルトをホールでオーダーして、私の分のろうそくだけ立てて……と、うっかり私だけの仕様で執り行ってしまい、あとでM夫くんのことを忘れていたことに気づくという大失態だったわけで。
で、どうしようかとなった時に、M夫くんは以前からそうだったように、自分の誕生日はお祝い的な特別なことは何もしなくていいってまた言ったんだけど、そうは言っても……ということで、以前同様、私がM夫くんの好物を作って、ホームベーカリー任せのなんちゃってケーキ的なものを焼くというパターンを発動させました。
ちなみに、今回はメニューのリクエストを受け付けたら、「みさえくんの、”豆腐よりもひき肉の方が多い麻婆豆腐” がいいな」って言ってきまして、「そんなんでいいの!?」って思ったんだけど、まあ、もともとメンドーなことは言ってこない人です。
なので、実家にいたころからわりと評判がよかったそちらを作りました(味付けは小林カツ代さんのレシピがベース)。
あとは、ケーキを泣きながら作りました。
いや、わかってはいるんだけど、ケーキたるもの、いかにバターやら砂糖やらが大量に入ってるかを、自分で作るとあからさまに突き付けられるので、永遠のダイエット中のわたくしとしては、ひぇ〜ん💦と泣きながら、それらを機械に投入したわけです。。。(結局、食べるのは私なので)
そして、出来上がったものたちをテーブルに並べ、食べたり飲んだり宴もたけなわ、M夫くんも機嫌よくしゃべって……いたはずなのに、実に下らない話から、だんだん険悪に。。。
うちは、滅多にケンカしません。てか、したことない。
話をしてて議論が白熱し過ぎたり、M夫くんが不機嫌になったり、私が拗ねたりすることはあるけど、そういうのはケンカにカウントしてません。すぐに仲良しモードに戻すので。
そもそも、M夫くんが愛すべきかわいい繊細な人なので、こっちも本気で怒れないし。。。(あら、ノロケ!?)
なのに、この日は私たち夫婦史上、一二を争う感じの険悪なムードになったのでした。
そして、いつも通り、どうしようもなくなると布団に逃げ込むM夫くん(もともと寝るのも早いし)。
そのそばで、いつも通り、話をやめないわたくし。
この時の話の内容ってのは単純で、「公共交通機関が事故等で動かない時、学校に遅刻したら、受けられなかった授業を欠席扱いにされるのは納得いかない」ってことだったんだけど、現に先生やってるM夫くんが、そりゃ当然欠席だって言い張るので、私が「でも、●●な場合は特別に欠席にならなかったりするじゃん」とか「不可抗力なのに!」とか「じゃあ、忌引きは何なの!?」的なことをいろいろ言い続けてたのです。
で、最後の最後に、もし自分が学生でその状況になって、そのせいで単位が取れないとかなっても、M夫くんは黙って引き下がるの!? と詰め寄ったら、「一応、食い下がってみると思う」ってアッサリ言うんですよ。。。
だからぁ〜〜!!
こっちは、そういうことを言ってんの!!!
って、なったわけですよ。
なんか、いつもM夫くんは一歩引いたような、俯瞰したような立ち位置からモノを言うんですよ。
なので、会話が盛り上がらなかったりするわけですよ。
「だよね、だよね〜!?」「わかる、わかるぅ」っていう共感が足りないっていうか。。。
で、私が「つまり、どうにもならないとしても、スンナリ納得はできないよねってことが言いたかっただけなのに」ってゲンナリしていたら、「(話がこじれたことを)どうしたら許してくれる?」って言って来て、そこで私が「せっかくM夫くんのお誕生日だったのに、こんなムードになっちゃって」と悲しい気持ちになってしまい、「こんな日にごめんねっっっ」と言い捨てて寝室から出てきて、自分にも腹が立ってミョーにムシャクシャした気分に陥り、モノにあたりそうになったので、頭を冷やそうと思ってダウンだけを羽織って外に出たんです(23時)。気付けば、携帯も持たずに。
何やってんだ……って思ったし、明日も早くから仕事のM夫くんが心配して眠れなくなったり、あるいはこの極寒の中を探しにくるかもしれない。それは申し訳ないので早めに帰ろうって、しばし川を眺めてから帰途に。
途中、でも、M夫くんって人はこういう時にどうしたらいいかわからなくて混乱して、わからないことを考えようとすると頭がショートして眠ってしまうようなところがあるから、もうグゥグゥ寝てるかもな。。。と思いました。
そこで私は「心配してくれないんだ……」と拗ねてはいけない、と肝に銘じた。考えても答えが出なくて、降参して寝ちゃってるだけなので。
てか逆に、今回はもしかしたら、「たまには心配させてやろう」という気持ちが私の中に無意識にでもあったの!? と、ちょっと自分で自分にビックリしたんだけど(そんなの初めてだったので)。
そして、鍵を開けて玄関に入ると、えっ!? M夫くんの靴がない!?
いや、まさか、私を探しにくるなんてあり得ない。もしかして靴を隠して、いないフリをして、私をビックリさせようという作戦かも(←その思い方も大概だが 笑)
で、そぉっと寝室を開けたら、なんと!
パジャマを着替えて、オーバーを着て出て行った形跡が。。。
じゃあ、なんで私が帰ってくる時に会わなかったんだろう!?
「心配して探しに出てくれた」
……のかもしれないという、半ばうれしいような気持ちと、じゃあどこへ行ったんだろう? っていう疑問がグルグルしながら、私は考えた。
もう私が帰ってることを知らないM夫くんは、極寒の空の下、いつまでもウロウロ探し続けて、風邪引いちゃうかもしれない。
見ると、スマホは持って出たみたいだ。
そこで、私がもう帰ってることをラインで知らせる。
でも、音沙汰なし。既読もつかない。
逆に心配になって、今度はもっとあったかい格好をして(ダウン、帽子、手袋、マスク、マフラー、ブーツの完全装備)、私の方が探しに出るハメに。。。
さっき私が行ったのと別の方向へ。
いない。
しばらく待つけど、歩いてくる気配もない。
ぐるっと回って逆方向から、さっき私が行った方へ行ったのかもと、来た道を戻って、また川の方へ。
いない。
さすがにこれ以上捜索したら、こっちが風邪引くよ〜って感じになって、どうせ出ないだろうけどと、一応電話をかけてみる。
すると、応答してくれたんだけど、なんと、全っ然関係ないあさっての方を歩いてるとのこと。
なんで!?
だって、探しにきてくれるなら、私が行くのって川の方に決まってるのに。。。
そこで、ハタと気付いた私。
私を心配して探しに出たんじゃない。
M夫くんは、自分のために外に出たんだ、って。
もう、私は内心で大笑いしましたよ。。。
M夫くんは、自分の気持ちと闘うのに精一杯で、私の心配をすることなんて思いもつかないってことですよ……_| ̄|○
ったく、こっちの想定の上を行くにも程がある。
「風邪引くから、早く帰っておいで。わかった? 絶対だよ!」
そう言って、私はトボトボと家路につき、それから寒々しい蛍光灯の下で粛々と茶わん洗いをしたわけです。
これは笑い話だ。
たまに心配させるのもありかも、と、外に飛び出したら、探しにきてもらえないどころか、こっちが心配して、逆に探しに出るハメになった。
そう思いながら、普通に茶わん洗いしてる私って。。。
でも、待てど暮らせどM夫くんは帰ってこない。
もう一度、探しに行った方がいいだろうか。。。
そう思ったら、今度は悲しくなった。
なんでなの、M夫くん? 家出したら、家出し返してくるなんて。
それで、こっちがもっと心配することになるって、どういうことなの!?
そんなのあり!? って。
ややしばらくしてやっと帰ってきて、「ずいぶん遅かったね」って言ったら、「ゆっくり歩いていたからね」だって。。。(どんだけ心配させるんだっ!?)
「なんで外に出たの? ●●通りを歩いてたってことは、私を心配して探しにきてくれたんじゃないってことだよね?」
「みさえくんが外に出た、ってわかって、みさえくんをそうさせてしまった自分をどうしようかって考えたら、頭を冷やしたくなったから」
それが理由らしい(本人談)。
M夫くんったら。。。
ズレてる。
相変わらず、ズレてる。。。
でも、それとて私の側から見れば、ということであって、結局M夫くんはM夫くんのド真ん中を生きて歩いているだけなのだ。
そういうありのままのM夫くんが愛おしくもあり、「ごめんね」って私は言った。
そして、お誕生日、おめでとう。
M夫くんがM夫くんであることにありがとう、だわ。
日記には、そう書いておきました。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます