めっちゃ気になるんですけどぉ!?

ちょっと前のこと。

救急車を呼ぶ人の8割が「来る時にサイレンを鳴らさないでほしい」って言う、って話を聞いて、一刻も早く来てほしいということよりも、世間体(?)を気にするもんなの!? と思いました。


でも、救急車側としては、規則だか法律だか知らないけど、鳴らさないわけにいかないらしく、「それはできない」って言うと、相手と押し問答みたいになるのだそう。

で、通話時間がムダに長くなって、手間はかかるわ、ほかの電話は受けられないわ、すぐに出動もできないわ……しまいには「だったら、来なくていい」って言う人もいるらしく、ナンなん!? そんなに急を争うような大変な事態じゃなかったってこと!? って、その話を聞いたわたくしも軽くご立腹したくらいです。


そんなこんなの、この前の土曜日のこと。


夫のM夫くんとしゃべりながら夜ごはんを食べてると、かすかに遠〜くの方でピーポーピーポー言ってるような言ってないような。。。

かすかな音だったのであまり気にせずにいたんだけど、ふと、うちの居間の遮光じゃないカーテンの向こうに、一瞬、赤色灯の煌めきが見えたような見えないような。。。


何となく気になって、気のせいじゃなかったとしても、もう行っちゃったよねぇ〜と思いながらカーテンを開けて覗いてみると……な、な、なんと、うちのマンションの駐車場の前に停まっておる。


「M夫くん! ピーポーがどう見てもうちのマンションに来てる!」


そう言うと、M夫くんも飛んできて、ベランダに出ようとしたんだけど、ちょうどその日の昼間に私はM夫くんのベランダ用サンダルをしまい込んだばかり(もう冬なので)。


「えぇ〜っ!?」

M夫くんはがっかりしながらも、急いで玄関に向かう。

玄関から履き物を持ってくるのね!? って思ったら、なんと、そのまま玄関で靴を履いてるじゃあ、ありませんか。


「え。外に出て見るの!? それじゃあ野次馬になっちゃうじゃん!」


そう言うと、「だって、すでに野次馬でしょ」とM夫くんは答えて、外に出て行った。


そうなると、もちろん私もあとを追うわけで、でも、私は建物の玄関からは出ずに、ドアのガラスを透かして内側からコトの次第を見守ったのでした。


ところが。

待てど暮らせど何も起こらず……M夫くんはパジャマ兼用の部屋着一枚で外にいたので「風邪引くよ〜」と中に入れて、二人で家に戻りました。


で、「靴持ってきて、あったかいもの着込んで、ベランダからいっしょに見届けよう」って言ったら、「もういい」って言うんですよ。

あんなに寒い中粘ってたのに!? って言ったら、M夫くんは私があとから出て来ると思ったから待ってただけで、そこまで興味はない、みたいな態度。


えー、何!? その置き去り感。。。


でも、私は知ってる人かもしれないと思って、心配だったってのもあるんですよね。

うちのマンションには玄関が二つあるんだけど、うちじゃない方の玄関側に一軒だけ、何度か言葉を交わしたことがある人が住んでて、その人、今年の夏前までうちの上階に住んでた人のおばあちゃんなのです。

もしもその人だったら……と、気になったんです。


なので、コートを着込んでベランダに出て、フェンスに隠れるようにして見てました。

すると、程なくして作業着(?)みたいな上下を着た男の人が二人、デッカい鞄を肩からかけて出てきまして、いよいよか!? とゴックンと喉を鳴らして、ストレッチャー的なものが続いて出てくるのを待つも、二人が救急車の後部(ハッチじゃなくてサイドの)を開けて、ゴソゴソやってるだけなんですよ。。。


そのあと、一人が車から出てきて、手ぶらでまたマンションに入って行って、またしばらく戻ってこず、その間、赤色灯も切られ。


ジリジリして待つと、やっとまたその人が外に出てきたんだけど、ストレッチャー的なものや傷病人らしき人の姿もなく、救急車に乗り込んじゃった。


「あ、車が動き出した」

「ん? でも、切り返してこっち向きになって、うちの玄関の前に止まってハザード出してる」


私は一部始終をM夫くんに実況してたんだけど、今度はそういう状況でずっとうちのベランダの前に停まってるんです。


「なんか、電話かけてるみたい」


そこから私も食卓に戻って、二人で謎解き開始。


いたずらだったのかな?

それとも、救急車を呼んだ人がドアをドンドンされても病気かケガで動けなくて鍵を開けられなかったとか!? だから、消防とか警察とか、応援を呼んでるのかも??


と、私が言うと、M夫くんは「どっちにしても、一刻を争うような事態じゃないってことかも?? あるいは、もう死んでた……とか」と、怖いことを言う。


それから、「あ!」と言って、すぐに「でも、だったらとっくに警察が来るか……」と言うので、何!? と訊くと「いや、 押入れから生きてるのか死んでるのかわからない人が発見されたのかと思ったんだけど」って。

アホな。。。


そうこうしてると、来客用の駐車スペースに車のテールランプが(カーテン越しに)見えたので、私はまた窓に駆け寄って覗いてみました。

すると、デッカいバンが停まってて、また作業服みたいな男性が降りてきて、あっちの玄関に入っていくわけですよ。


そう実況すると、M夫くんが「警察車両!? 鑑識!?」と。

暗くてわからないと答えると、自分で見にきて、違うっぽいなってなった。


さらにしばらくすると、そのバンに人が戻ってきて、走り去ってしまった。そして、いつの間にか救急車もいなくなっていたことが判明。


えっ!? これで終わり!?


いったい全体、な・ん・だ・っ・た・ん・で・す・かぁ〜!?


めっちゃ気になるんですけどぉ!?


お騒がせすぎる。。。

っていうか、この生殺しのようなお預け感、どうしてくれるの!?


と、どうにもこうにも納得がいかない気分のまま、夜は更けて。。。


寝る前に私たちは、「こういう野次馬がいるから、『サイレン鳴らさないで来てほしい』って、みんな思うんだろうね」ってうなずき合ったのでした。


いや、でも、あのおばあちゃんに何かあったのかって、そこが本当に心配だったので。。。

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