ある男の物語
あたまかたい
第1話 天才
完璧な人間などいない。
どんな優れた人間でも、必ず何かしら欠点があるものだ。
もしも、完璧な人間がいたとしても、
それは神がお許しにならないだろう。
あるところに、天才と呼ばれる者がいた。
平凡な家庭に生まれ、非凡な才能を持っていた。
彼には、天才的な知能があった。
9歳の頃には世間では神童と呼ばれていた。
そして、社会にも認められ、飛び級で大学まで入り、
15歳の頃には、医者として働きはじめていた。
しかし、働き始めてすぐ、彼はあることに気づく。
なんと、彼は医者には向いていなかったのだ。
厳密に言うと、外科医に向いていなかった。
彼は、自分が手先が不器用であるとは、まったく知らなかった。
故に、自分の能力が生かせるであろう職業として、医者を選んだのだ。
しかし、現実にはまったく向いていなかった。
こればかりは努力ではどうにもならない。
そう思った彼は、絶望しかけたが、製薬会社に就職。
それなりの人生を送ることになる。
天才なんて言われて、本人も勘違いしてしまったのかもしれない。
なんでもできる気になってしまった。
自分が得意なのは、勉強することだけだったのだ。
天才なんて言っても、所詮は人の子。
周囲が期待するほどには、大したことができないものである。
というお話。
ある男の物語 あたまかたい @gorira2020
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