第11話 いきなり初期装備から最強装備へ…?
リンカ(=狩野花梨)は、『大甲虫の森林』の草原地帯でのチュートリアルクエストをクリア後に遭遇した乱入モンスター『レッド・ドラゴンイーター』をどうにか倒した!
その後、レッド・ドラゴンイーターのドロップアイテムを回収したリンカは、ギルドへの帰路に着くのだった…。
まずは、徒歩で戦場(草原)から数百メートル離れた『大甲虫の森林』の『拠点』に戻って来た。
拠点の門を(内側から)開けてもらって中に入ると、担当受付嬢のジョセフィーヌが出迎えてくれた。
「 おかえりなさい、リンカさん! 」
「 あぁ、ただいま~ 」
「 いやぁ~…コール(遠隔通信魔法)で戦いを拝見してましたし会話(通話)もしてはいたものの、いまだに夢見たいです… 」
「 いや…まぁ、現実だけどね… 」
「 では、早速ですが、チュートリアルクエストのクリア報酬の清算等を済ませたいので、【テレポート】を使って(ここから)『セントラルの街』の『ギルド受付』に移動しましょう。 」
「 うん、それじゃ、【テレポート・オープン】! 」
リンカの目の前の空中に【テレポート・リスト】が現れたので、言われた通り『セントラルの街』の『ギルド受付』を右手人差し指で選択した。
次の瞬間、リンカと(そのすぐそばにいた)ジョセフィーヌの身体は『ギルド受付』へと空間転移した。
( ちなみに、【テレポート】は街や拠点などの主要施設間を空間転移(瞬間移動)するシステムである。 なので、草原での戦闘中にヤバくなったから【テレポート】で緊急脱出…みたいな使い方はできない。 )
ギルド受付に戻って来た二人。
ジョセフィーヌは早速カウンターの向こう側に入った。
カウンターを挟んで、リンカとジョセフィーヌは改めて対面した…。
「 では、『 【チュートリアルクエスト】 モブサウルスを5匹退治せよ! 』のクリアを確認しましたので、報酬金1,000[GLD](ゴールド)をお支払いします♪ 」
リンカのステータス画面が自然に(勝手に)開き、『ピピピピピピピピ…ッ』という音と共に所持金の表示(数値)が0→1,000[GLD]まで上がった。
「 おぉっ! これがアタシの、ある意味『初任給』!? 」
「 そんな…サラリーマンじゃないんですから…(笑) 」
「 …まぁ、報酬入ったのは嬉しいけど、一番最初のクエの…しかもチュートリアルクエストの報酬だし…この1,000[GLD]って金額はどうせ大した額じゃあないんでしょ…? 」
最初は『初任給』とか(半ばふざけてだが)喜んでいたリンカだったが、一番最初のクエスト(しかもチュートリアルクエスト)の報酬なので大した額ではないのだろう…と改めて気付き、若干ではあるがテンションが下がったようだ…。
「 え~…ちょっとテンションが下がってしまったリンカさんに朗報があります! チュートリアルクエストをクリアしたことで、従来は『ソード&シールド』一択でしたが、新たに『グレートソード』と『サムライソード』と『デュアルソード』が追加され、武器屋で購入や素材からの生産ができるようになりました! 」
「 マジでっ!? じゃあ、早速買いに行かなきゃ…ってか、どの武器がいいんだろ…? 」
「 リンカさんは【ジャスト・パリィ】を使いこなせるプロハンですので、ガードは不要だと思います。 ガード可能な『ソード&シールド』や『グレートソード』ではなく、ガードはできませんが その分 攻撃速度に特化した『サムライソード』や『デュアルソード』などがいいかと…。 特に『サムライソード』は【パリィ】や【ジャスト・パリィ】が『しやすい』とか『相性がいい』と評判のようです。 」
「 そうなんだ? じゃあ、『サムライソード』がよさそうだな… 」
「 え~…では、この後の流れに関してなのですが…普通にチュートリアルクエストだけクリアしたプレイヤーは、モブサウルスの素材と報酬金の1,000[GLD]を武器屋や防具屋に持ち込んでモブサウルス素材の武器や防具を生産して装備する…という流れになります。 当然ながら、素材が最弱のモブサウルスですし お金も1,000[GLD]しかないので、初期装備に毛が生えた程度の弱い装備しか作れません…。 」
「 ん…? でも、アタシの場合は成り行きでレッド・ドラゴンイーターを倒しちゃってるわけだよね…? 」
「 ええ…。 なので、素材は最強クラスのレッド・ドラゴンイーター素材を使用できることになります。 ぶっちゃけ、チート級の強さになります。 」
「 マジでっ!? …って言っても、肝心のお金が1,000[GLD]しかないんじゃなぁ~…。 たぶんだけど、レッド・ドラゴンイーター素材の装備作るのって、モブサウルス装備作るのに比べて、桁違いに金がかかるんでしょ…? 結局、しばらくは地道にお金稼いで、お金溜まったらレッド・ドラゴンイーター装備を作るって感じかなぁ…? 」
「 いえ、ところがですねぇ…今回のレッド・ドラゴンイーターのドロップアイテム54個中、素材は47個もあったじゃないですか? しかも、レア素材であるレッド・ドラゴンイーターの『心臓』と『尻尾』が6個づつと『瞳』が7個…。 はっきり言って、レッド・ドラゴンイーター装備一式を揃えても素材は余ります! なので…装備一式揃えるのに必要な素材を残しつつ、装備一式揃えるのに必要な金額を事前に計算して、その金額を捻出できる程度に余剰素材を先に売っぱらってしまえばいいわけです。 リンカさんの予想通り、レッド・ドラゴンイーター装備の生産には多額のお金がかかります。 ですが、レッド・ドラゴンイーターの素材もまた高額で売却できるんです。 特に、先ほど言った『心臓』と『尻尾』と『瞳』は超高額で引き取ってもらえます! 」
「 そっか…必要素材を残しつつ余剰素材を先に売って、装備生産代金を捻出しちゃえばいいのか♪ 」
リンカは、なるほどなぁ~と感心した。
「 …にしても…このゲーム(MBFD)は発売から約一ヶ月半経ちましたが、レッド・ドラゴンイーター装備を断片的に揃えた人…例えば、胸部と腰と脚の防具だけ揃えたとか…そういう人は見かけますけど、武器・頭部・胸部・腕部・腰部・脚部を全て一式揃えた人ってまだいないかもしれません…。 もしかしたら、リンカさんがレッド・ドラゴンイーター装備一式を揃えた一人目ってことになるかもしれませんよっ!! 」
話してる内にジョセフィーヌはテンションが上がってきたようだ。 ( まぁ、自分の担当しているハンターがスゴイことになりそうなのだから、テンションが上がるのも無理はないかもしれない。 )
それに合わせて、リンカもテンションが上がってきた。
「 マジでっ!!? アタシが、レッド・ドラゴンイーター装備一式の最初の一人目になっちゃうのかぁ~♪ まだ、ギルドランク1なのになぁ~w ってか、話してたら益々早く作りたくなってきちゃったよ! 」
「 じゃあ、行きましょうか!! 」
こうして、ハイテンションな二人は武器屋に向かうのだった…
狩りゲーって初めてなんだけど、どうやらアタシってばプロハンだったみたいです!? @kaburaki-dios
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