第3話 キャラメイク
「 わっ!? 真っ暗だ… 」
モンバスFD(モンスタバスター・フルダイブ)の世界(ゲーム内)にフルダイブした花梨は…暗闇の空間に立っていた。
自分の姿すら見えない暗闇だった。
…が、その2~3秒後、暗闇の空間に青白く光る横長の長方形のメッセージウインドウとキーボードとマウスが浮かび上がり、同時に機械音声のガイダンスが流れはじめた。
『 はじめまして。 モンスタバスター・フルダイブの世界にようこそ。 これより、アナタのプレイヤーキャラクター作成のお手伝いをさせて頂きます。 目の前のキーボードとマウスを使用して、まず、キャラクターネームと性別を入力してください。 』
「 ん? あぁ、キャラメイクね…。 名前かぁ…。 愛留は『アイニャン』って名前でプレイしてるって言ってたな…。 私も自分の名前を文字って付けてみるか…。 花梨(かりん)だから…りんか…『リンカ』にしよう! 性別は…まぁ、そのまま『女』でいっか。 」
花梨は、今決めた名前と性別を、目の前のキーボードで入力した。
『 次に、キャラクターの外見を決めます。 それでは、デフォルトキャラを表示します。 』
そして、花梨の目の前にグレー色のボディースーツを着たデフォルトキャラが出現したのだが…
目の前に現れたデフォルトキャラを見て、花梨は驚きを隠せなかった。
「 えっ!? アタシと同じ顔…!?? 」
花梨の目の前に現れたデフォルトキャラは黒髪のロングヘアで、ツインテールの花梨とは髪型こそ違うのだが、顔のパーツ(眉毛・目・鼻・口)の形状・サイズ・配置や、頬から顎にかけての輪郭は、リアル(現実)の花梨の顔とそっくりだった。
『 FDヘルメット内蔵カメラでアナタのお顔をスキャンし、デフォルトキャラの顔に反映しています。 』
「 あぁ…そういうことか…。 なんでアタシそっくりな顔してるのかと思ったよ…。 」
『 顔のパーツや輪郭や髪型や髪の色など、細部まで変更できます。 また、現在は、身長160cm、スリーサイズは上から80・60・80に設定されています。 こちらも変更できます。 それでは、目の前のキーボードとマウスを使用して変更してください。 』
「 ん~…とりま、現実(リアル)のアタシの容姿そっくりにしてみるか…。 髪型はツインテールにして、ツインテの付け根に赤いリボンを付けて…。 身長は160cmのままで、スリーサイズは… 」
そう呟きながら、花梨は4月の身体測定で測定した時のスリーサイズを入力した。 ( ちなみに、今は5月である。 )
そうして出来上がったキャラは、現実(リアル)の花梨と瓜二つだった。
服装以外。 ( 現実の花梨は今は水色のパジャマを着ているが、このデフォルトキャラはグレーのボディースーツを着ている。 )
「 …ここまで自分そっくりの姿だと、メッチャ感情移入はしやすいけど、オンラインでプレイするのはちょっと抵抗あるな…。 オンラインでフルネームの本名を名乗りながらプレイするのと似た怖さがあるかも… 」
ここで、花梨は少し考え、
「 髪と眉と瞳の色…それとリボンの色を変えてみよう。 あと、ツインテールとリボンをもっと長くしてみるか… 」
花梨は、キャラの髪と眉と瞳を赤色に、リボンを黄色にしてみた。
更に、髪を縛っているリボン(ツインテールの付け根のリボン)を思いっきり長く伸ばし、ツインテールの先端を(現実では肩甲骨あたりまでの長さなのだが)お尻のあたりまで伸ばしてみた。
どことなく、『近未来SF学園バトル物』のメインヒロインっぽい雰囲気になった。
「 …うん! いい感じかも!? 」
そして、キャラメイクを完了した。
「 じゃあ、これで完了で♪ 」
『 キャラクターメイキングの完了、承りました。 』
すると、それまでグレーのボディースーツのみだったキャラの上に、くすんだ赤銅色(古い十円玉の色)をした胸宛て(肩部分は無し)・腕宛て(手首から肘にかけて)・脛宛てが装着された状態になった。
これが、このゲームの初期防具ということなのだろう。
…と、次の瞬間、それまで俯瞰視点でそのリンカ(目の前のプレイヤーキャラ)を眺めていた花梨の意識は、リンカの中に吸い込まれた!
そして、花梨=リンカとなった。
「 うわっ!? …って、これアタシ…? アタシ自身がリンカになったってことか? 」
花梨…いや、リンカの視界の端には、先ほどは見えなかったゲージやらレーダーのようなものが映っている。
左上の方には緑色の横棒ゲージと黄色の横棒ゲージと青色の横棒ゲージが(おそらくは体力ゲージか何かだろう)、そして、左下には円形のレーダーのようなものが映っている。
「 まぁ、後でチュートリアルかなんかで説明されるだろう… 」
リンカはそう呟きながら自身の両手を目の前でグー・パーを繰り返すようにニギニギしていた。
「 すごいな…ゲームの中とは思えない、本当に自分の身体みたいな感覚だな… 」
続いて、ガイダンスが流れた。
『 キャラクターメイキングが完了しましたので、ゲームが開始されます。 今からアナタはハンターギルドのカウンター前に転移されます。 受付嬢に話しかけて、チュートリアルクエストを受注してください。 それでは、ご武運を祈ります。 』
そのガイダンスが終わった瞬間リンカの姿は消え、次の瞬間にはハンターギルドの建物の内部のカウンター前に立っていた。 ( ちなみに、ハンターギルドの内装は、いわゆるファンタジーRPG風≒中世ヨーロッパ風の内装である。 )
「 おぉ~っ!! いよいよはじまりかぁ~っ!! …ってか、FD(フルダイブ)ってマジでスゴイな…本当にゲームの中の世界に入り込んじゃったみたいだ… 」
リンカは10秒くらい、自身の手足や身体を動かしてみたり、周囲の風景(ハンターギルド内)を見て感動していたが…
「 …っと! いつまでも眺めて感動してるだけじゃしゃーないな…さっそくチュートリアルを受けるか! 」
そう呟き、目の前、数メートル先のカウンターに向かうのだった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます