3.どうやら私は転生チートボーナス的な物を貰ったようです
「うわあぁ〜!?本がいっぱいだね!おねえさま!」
無数の本を見てはしゃいでいる我が家の天使はそれはまるで本の妖精のよう……いえ、本から産まれた天使だわ!いや、最早天使という表現ですらこの可愛さを表せない!私の語彙力がないのが口惜しい!?はっ!?そうだわ!せっかく今ウィンドカル王国一の図書館にやって来たのだから、アリーの可愛さを表現する言葉を調べて……
えっ?何か忘れてないかって?……あっ……いや……忘れてないわよ……今日は私の魔力属性に表示された「無」の意味を調べにやって来たのよ。うん。あまりのアリーの可愛さにすっかり忘れてしまったわ。全く、アリーの可愛いさはこういうところは罪よね……まぁ可愛いから無罪だけど♡
「それで、おねえさまはなんのご本をよみにきたの?」
首をコテンと傾げるアリーが今日も超絶可愛くてギュッと抱きしめたくなるけど、突然抱きしめたら変態に思われたらいけないから今は我慢よ!私!
「そうね。私もいつかお父様達の役に立てるようになりたいから今のうちにこの国の歴史とかを調べようと思ってるわ」
私が適当な言葉でアリーにそう説明したら、アリーが大変尊敬の眼差しで私を見つめてきた。
「すごい!さすがは私のおねえさま!!」
純粋度100%のその眼差しに私はクラッと倒れかけるのをなんとか踏み止まる。ダメ……うちの妹の可愛さは最早凶器ね……
とにかく、私はこのウィンドカル王国一の図書館で数々の歴史書を読み漁った。ちなみに、私の可愛い可愛い妹は
「私もおねえさまをみならっていっしょにご本をよむ!!」
なんて可愛らしい事を言っていたけど、やっぱり本が難しすぎたのか、ものの数分でそれは可愛らしい寝息をたてて眠っていた。可愛くて頰をツンツンしたい衝動に駆られたけど、起こしてしまってはいけないと思い必死で調べ物に集中した。
「けど……まさか私の魔力属性が無属性だったなんて……」
自分が知りたかった情報はあっさりと見つかった。というのも、ウィンドカル王国を建国した初代女王であるアイリーン・ウィンドカルも私と同じ無属性だったというのだ。
最初こそ、「無」だけに魔力属性が無いという意味かと思っていたのだけど、それだと魔力数値がかなりあるのは変な話だ。だから、私は気になって私の属性「無」について調べる為に図書館に来たらあっさりと「無」の正体が分かった。
無属性とは、何も無い「無」ではなく、無限の「無」というのが正しい。その力は、あらゆる魔力属性の魔法を使え、多種多様な魔法をも生み出せるという。現代風に言ったチート属性だ。
だが、当然そんなチート属性を使える人はあまりおらず、ウィンドカル王国で無属性使いは、ウィンドカル王国建国者で初代女王のアイリーン・ウィンドカルしかいなかっとされている。
「まさか……悪役令嬢アンナ・ステインローズがそれを手にするなんて……これってやっぱり私がアンナ・ステインローズに転生したから?」
どう考えてもゲームのアンナ・ステインローズの設定と今の私はあまりにかけ離れている。この違いは一体なんだと言うのだろうか……
「う〜ん……おねえさまぁ……だぁいすき……」
寝言でそんな可愛らしい事を言う妹に思わず鼻血が出そうになるのを必死に堪える。そうね。違いなんてどうだっていいわ。きっと!シスコンの神様が妹を守る『パワー』を私に授けてくださったに違いないわ!ありがとうございます!!シスコンの神様!!
「私も貴方が大好きよ。アリー」
私はそう言って微笑んでアリーの髪を優しく撫でた。
私は妹を守る為の『パワー』を得ているのは分かったわ。後は、この『パワー』を活かして妹を守るのよ!!その為に今度私がやるべきことは……
悪役令嬢の姉はヒロインの妹を溺愛す(リニューアル版) 風間 シンヤ @kazamasinya
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