第7話 旅立ちの始まり

 ふかふかのベットでエルが大はしゃぎしていたが、戦闘もあり直ぐに眠りについていた。

 そして、ユージもベットに横になり、今日までの事を振り返るのだった。

 この世界の常識について、そしてこれからの事について。

 この世界は広く、大きな大陸1つで、様々な国に分かれている。

 そして、大陸の端には海があり、その先に小さな島国があるのだ。

 色々な国に行ってみるのも悪くないなと、勇士は思う。

 魔法に関しては、風、土、水、火、木の5つの属性に光と闇が存在する事もベルは5大属性は使えるが光と闇は使えない事、光と闇属性は特別と言う事。

 色々なベルからの教えが頭に蘇る。

 そんな事を考えているうちにいつのまにか眠りについ当ていた。


 そこからは、クエストを繰り返し受けてお金の確保に勤しんだ。

 武器は必要なかったが、それぞれに防具や服を買い揃えて、細かい注文をする内にドワーフの職人とも仲良くなり、楽しい日々を過ごしていた。


「よし、そろそろ行くか」


「もう良いのかの?」


「あぁ、金もある程度貯まって、装備も整ったからな、早く次の街に行きてぇ」


「行くのだ!」


「次はどこに行くのじゃ?」


「人間の街だな」


「ほぅ、と言っても結構あるんじゃがどうするんじゃ?」


「近い所から行ってみるか」


「それならギルドに行ってアリシアに聞いてみるのが早いんじゃなかろうかの?」


善は急げ、勇士達はギルドへと向かった


「と、言う事なんだが、どこが近いんだ?」


「もう、行ってしまうのですか?寂しくなりますね」


「そう言うなよ、また会いにくるしな」


 ハッと頬を赤く染めるアリシアだった。

 しかし、アリシアも冒険者は沢山見てきたから出会いがあれば別れもある事は百も承知なのだ。

 そして、また会える可能性が低いことも、それが冒険者なのだ。だからこそ、その言葉はアリシアには感じるものがあった。


「そ、そうですね」


コホンとアリシア


「近いところですと、エリシオン王国が1番近いですね。1週間程度で到着すると思いますよ」


「そうか、ならそこにしよう。じゃあ今日まで色々世話になったなアリシア」


 えぇ、ではまた。とアリシアはお辞儀をして返事した。

 そして、勇士の耳元に顔を近づけて


「絶対また来てくださいね。待ってます」


と小さな声で耳打ちしてきたが、ポーカーフェイスを貫き、ベルやエルにバレないように

平常心で返事した。


「お、お、おぅ」と


「何を耳赤くしとんじゃい!」


「耳真っ赤なのだ!」


と2人に突っ込まれたのは無視することにしたのだった。

 その足で、解体場、防具屋などに挨拶周りを行った。

 みんな愛想よく、「がんばれや!またいつでも来い!」と送り出してくれたのだった。

 そして、意外にも鉄拳制裁でお灸を据えた4人組も噂を聞きつけて挨拶に来たのだった。


「あの時は、悪かったな」


「「「「さっせんしたっ!あざっしたっ!」」」」


 反省しているようで、すこし嬉しく思えた勇士。

 意味のない事など、無いんだと、それを見たベルも同じく驚きを覚えていた。

 ベルも少しずつ分かってもらえれば良いなと改めて思えたのだった。

 勇士の育った、この世界では有り得ない価値観や感情、心意気がこれからベルに、そしてエルにも伝播していき、それが理解し行動していければいいなと思う勇士であった。

 そして、この世界の仕組みをより痛感する事になるとは、まだ勇士は知らないのであった。



エリシオン王国


 それはヒューゲリア帝国が誕生した後に、誕生した三国の1つだった。

 人間が統治する大陸の1つエリシオンだが、その国の勢力は帝国にも迫るとされている。国王により統制が整えられ、民の区分まで明確に定めらた国家であった。

 そして、国王の名前こそ、この国家の名前エリシオンなのだ。

 誕生してから変わる事なく王家の血を引き継いだ純血の血統王なのだ。

 そして、それを支える武を賜る騎士団と知を賜る元老院が構えており揺るぎない国家を築き上げていたのだった。


「エルに乗ると気持ちぃな!」


勇士は気持ちよさそうに、エルの背中に捕まり、エリシオンへと向かっていた。


「エルも飛ぶの好きなのだ!」


「そうか、そうか!俺も好きだぞ!」


「「えへへ」」


「気持ち悪いんじゃよ主ら、ちっとは静かにできんのかの?」


 ベルがご立腹なのには原因があった。

道中、勇士とエルはひたすら喋り続けテンションが高く、そこに混じっていけずに置いてけぼりだったのだ。

 つまり、ヤキモチを妬いていたのだった。


「怒るなよ〜ベルも気持ちいだろ?」


「普通じゃ!さっさと行かんかエル!」


 こんな時にベルはどうして、なかなか素直になれない性なのだ。

 そして、ムスッとしたままエリシオンに辿り着くことになるのだった。

歩けば1週間の距離を5時間の飛行で辿り着いたのだった。

 そして、エリシオン近くの森に、ドラゴンを連れていることがバレないように降りて、残りの距離を徒歩で移動する3人


「なんじゃいの!主らだけ楽しそうにしおってからに」


「ベルもそんな怒るなよ、な?」


「ベル怒るの?」


2人は目をうるうるさせながらベルを見つめる


「怒っとらん!もういいわい!そんなに怒っとったら主らとは別行動するわい!」


「「「えへへへ」」」


 3人は馬鹿だった。


「それにしても、すげぇ城壁?って言うのかあれ」


「そうじゃの、あれじゃ飛行する魔物以外は寄り付かんじゃろうの、それに飛行であっても壁の上に設置しておる魔道具が何かで撃ち落とすんじゃろうの」


「さすが人間って感じだな、こう用心深いのが顕著にでてるな。ドワーフの国も凄かったが、ここまで厳重な感じはしなかったしな」


「そうじゃの、ま、最弱故の知恵じゃろうな」


「人間ってそんなに弱いのか?」


「そうじゃの、持ってる魔力がそもそも小さいからの、単騎の勝負になると苦労するじゃろ、ユージが相手した奴らも4人組じゃったろ?そーゆーことじゃよ」


 ワシにとってはどうでもよいがのと小さく呟くベル

 そして、エリシオン王国へと足を踏み入れる3人だった。

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