第6話 ドラゴンの少女エル


「しかしのぅ、またユニーク個体とは言え、人型になるとはのぅ」


「ベルも同じだろ」


「ワイバーンのユニークなぞと一緒にするな!ばかもの!」


「そ、そうか」


 そして、先程まで暴れていたホーリードラゴンは墜落してみるみるうちに小さくなり人型へとなったのだった。

 小さな白髪の女の子になり泣きじゃっていた。


「お、おい、、大丈夫か?」


「大丈夫じゃないのだ!痛いのだぁ!うわぁーーーん!!」


 号泣するホーリードラゴンをなんとか落ち着かせた。


「なんなのだ、もぅ背中が痛いのだぁ」


 勇士の攻撃を受け続け、背中は赤く腫れ上がっていた。


「ベル、回復ってできるか?」


 そう勇士が言うと、ベルの回復魔法であっという間に背中の腫れは引いていった。


「痛くなくなったのだ!」


 元気を取り戻したようだった。


「お前、仲間にならないか?」


勇士はそう切り出した。


「またいじめるのか?」


目をうるうるとさせながら少女は言う。


「もうしないから、だから一緒にこないか?また背中に乗せて欲しいんだ!乗り心地最高だったならな!」


「また乗せて欲しいのか?そうなんだな?」


フンフンと褒められたのが嬉しかったのかドヤ顔で胸をはっていた。


「おう!また乗せてくれ!」


「そこまで言うのなら、仕方ないな!負けたし付いていくのだ!」


 思いの外、あっさりと快諾したのだった。

 ドラゴンに限らず、魔物は倒された相手には服従か素材になる道しかなかったのだ。 

 つまり、ホーリードラゴンはそもそも選ぶ選択肢など無いも同然だった。


「俺は、勇士だ。そしてこいつがベルだ!」


「ワシがベルじゃ、精々役に立つがいいぞ」


なんなのだこの女はと少女が言った瞬間にベルの威圧により上下関係を一瞬にして構築したのだった。


「そして、お前は今日からエルだ!」


それは、天使の様な見た目と光属性と言う事で勇士が知っていた名前から文字って付けたのだった。


「エル!エル!エル!」


 ご機嫌そうにエルは自分の名前を連呼したいた。


「エルは仲間いないのか?」


「居ないのだ!エルは1人なのだ!」


 そう、ユニーク個体の天才型は生まれる時に、母体から生命力と魔力を全て奪いとり、その身に宿すのであった。

 そしてその生まれた個体は、周りの個体とは全てにおいて常軌を逸しており誰も近寄らず孤独に生きて行くのだった。


「そうか、ならこれからは一緒だな」


「ユージもベルも一緒なのだ!!」


と、満開の笑顔で答えたエルだった。


 倒したワイバーンの素材を回収していたのだが、素材を入れる物がない事に気付く勇士だったが、ベルの空間魔法により事なきを得た。


「それにしても、ベルは何でもできるな」


「ククク、ワシにとってはこのような事はちょちょいのちょいよの」


 褒められて喜ぶベルだった。

 そして、エルの背中に乗りドルフ王国に戻る3人だった。


「ワイバーン!!?!?!」


 仰天のアリシアだった。

 言うまでもなく、Gランクの冒険者の最初のクエストがBランクの討伐だったのだから当然の反応だった。


「ど、ど、どうやって討伐したのですか?」


 と、ついつい確認してしまうアリシアだった


「いや、普通になっ」


 殴ったと言う前に、ベルに口を押さえられる勇士だった。

 信じられるはずない事を言う前に何とか阻止し、咳払いをしてベルが説明をする。


「と、言うわけじゃ、ワシの魔法と連携してやったのじゃよ小娘」


「そうだったんですね、それでそちらの子供は?」


「あっ、これはホワイっ!!」


 再び、口を塞がれる勇士。

 もう喋るなと言わんばかりの視線で見てくるベルだった。


(次、余計な事を口にしたらわかるの?)

(フンフンと上下に首を振る勇士)


「ワシの弟子なんじゃよ、色々経験させたいからのギルドに連れて来ただけじゃ」


「そうなんですね、それにとても可愛い女の子ですね!」


「そうなのだ!エルって言うのだ!」


「そう言う事じゃからの、早速ワイバーンの素材を渡したいのじゃが」


「そうしましたら、素材の一部を確認させてもらってもよろしいですか?小さいワイバーンと分かれば結構ですので、残りの素材は確認が取れ次第、隣の解体場に運んでもらえれば完了になります」


そして、ベルはワイバーンの鱗を数枚渡し、残りを解体場へと運び報酬を受け取ったのだった。

 報酬は、討伐金の金貨2枚と素材代の銀貨5枚と小銀貨5枚だった。

 日本の価値と比較すると金貨は十万円、そこから銀貨、小銀貨、銅貨、小銅貨と桁が一つずつ減っていく。勘定計算は簡単のようだった。


 勇士も興奮していたのだった。

いやらしい意味ではなく、ワクワクの意味で、遂に宿屋に泊まるのだった。


「ついにきたーー!!!」


 爆発するテンションが勇士を迎える、転移してからと言うもの、野宿のみで生活をしていた勇士、疲れる事は無いものの、やはり人間だった。今まで染み付いていた暮らしに有り付けるとら思うともう止まらないのだった。


「きたきたきたー!ついにきたぞぉ、当たり前の生活がっ!」


歓喜っ!!!圧倒的歓喜っ!!!!


「ありがてぇええなぁぁおい!」


「ありがてぇ!!」


便乗するエル


「えらい、騒いどるのぉユージよ」


「当たり前だろ?ベットだぞ?布団だぞ?そして、手料理だぞ????喜ぶ以外にないだろ?」


 また、これも魔物には無い感覚なのだ。

そしてこの世界で野宿はごくありふれていた事なのだ。勇士の喜びに置いて行かれるベルだった。

 以外にも、高級な宿屋を取るかと思いきや普通の宿屋を選ぶ辺りしっかりとした部分も持ち合わせていたのだった。

 小銀貨6枚で朝晩のご飯付きの宿屋、エルは子供なので1枚分だった。

 物価は高くなく、それこそ安いぐらいだった。


「風呂はあるのか?」


「そんなもんないじゃろ貴族じゃないのにから」


「な、なんだってぇ」


と、膝から砕け落ちる勇士がいた。

先程の喜びの舞と打って変わって、凹む男の姿がそこにあった。

 なぜか、隣でエルも同じポーズを取っていたのは誰も突っ込まなかった。


「まぁいい!今日は山ほど食って寝るぞ!」


「食って寝るぞ!」


 切り替えた、勇士とそれに続くエルだった。


 テーブルにつき、配膳されるご飯


「いただきますっ!」


 野宿の時に食べていた、魔豚マトンや魔牛マギューの焼いただけの肉とは違い、しっかりと味付けが施されており、その味わいは、日本食のトンテキに酷使しており、マギューのステーキも格別だった。

 そして、ビールは無かったものの、それに違い酒があった。


「ユージよ、いただきますはなんじゃ?」


「あぁ、これは俺の育った所では、これを作ってくれた人や、食べられる為に亡くなった命や、沢山の物に感謝する挨拶みたいな物だ。だべさせてくれてありがとうって事だな!」


「ほぉ、なかなか面白い考えじゃのぅ」


「どんな時でも感謝する気持ちは忘れちゃいかねぇからな!」


「そんなもんかの、どれいただきます」


「いただきますのだ!!」


 ベルに続いて、エルも感謝を述べた。

それを見た勇士は、受け入れてくれる2人にも心の中で感謝し、大切に守っていこうと強く思うのだった。

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