第5話 ワイバーン討伐
そして、山岳地帯を縄張りとするワイバーン。竜種ではある物の、個体は小さく全長2メートルから3メートル程で、硬く黒い鱗でその身を守り、地域によって鱗の色は変化する。気性は荒く、縄張り付近に近づけば攻撃してくるのだ。
そして、なんといっても連携を取りながら複数の個体で攻撃してくるのがランクBに格付けされた要因でもあり、単体であればランクCほどなのだ。
頂上付近に近づくやいなや、複数の個体が勇士とベルを襲った。
「くっ、一体じゃないのかよ」
「まっ、ワイバーンじゃからの弱いなりに知恵を使うとるんじゃろ」
「知ってたなら教えろよ!」
ベルも中々、性格が悪く肝心な事を言わないのだった。
勿論、聞かれてないからであった。
そして、勇士にとって脅威にはならないだろうと言う判断もあったのだ。
「そう、かっかするでないユージ、ワシも援護するからの」
「当たり前だ!飛んでるのが厄介だから、落とせないか?」
「たやすいの」
ワイバーンは五体、広がった正三角形の様な配置で、前方に三体、二体、一体と並んでいる。
ブレスによる風系統の攻撃により近づく事さえできない。
「ほれ、アースバインド」
その直後、地面の岩が土へと変化し、ワイバーンに巻き付く様に拘束した。
五体全てが、ベルの魔法により身動き出来なくなり、丘へと落ちる。
流石だなと勇士はいい、落ちたワイバーンに向かって特攻した。
そして、ワイバーンに対しても拳による鉄拳をお見舞いした。
外殻は硬く一撃での破壊は難しく数回の攻撃により破壊し戦闘不能にしたのだった。
「かたかったな、こいつら」
「そりゃ、ワイバーンは魔法で倒すのが基本じゃからのぉ、そもそもその外殻を叩き割る事じたいおかしいんじゃよ」
「まぁ、結果オーライだろ?倒したんだしな」
「それもそうじゃーーーー後ろ向いて拳を振り抜け!!!!」
ベルの叫びと同時に、勇士は言われた通り振り抜く。
先程の風系統のブレスではなく、光系統のレーザーの様な攻撃が勇士を襲ったのだが、その拳で何とか無力化した。
「なんだ、こいつ??危ないな」
「ほぉ、珍しいのぉユニーク個体じゃの」
ユニーク個体とは、遺伝子異常か個体の年齢と能力による異常進化の2種類があり、どちらも他の個体とは遥かに凌ぐ強さを誇る。
また、遺伝異常であれば天才型、異常進化であれば努力型になり、努力型より天才型はさらに強くなるのだった。
そして、今目の前にいるのは天才型のワイバーン、外殻の鱗のは白く光を放ち、他のワイバーンと比べて一回り以上大きいのだ。
「ホーリードラゴンかのぉ」
「ワイバーンじゃねーのか?」
「ワイバーンは、竜種じゃからの進化すればドラゴンになるのじゃよ。そんな事より、いいのか?お喋りしていても?」
その移動速度は、比べ物にならないぐらい速く、大きな体だが、スタイリッシュなフォルムでそのスピードを実現していた。
「よし、あいつ捕まえよう」
「は?」
ベルは、勇士の目的をうっかり忘れていたのだった。
ワイバーンを捕獲すると言う目的を
「よーし、いくぞっ!ベル!」
「まてまてまてまて!待つのじゃ!」
慌てるベル、まさかワイバーンではなくドラゴンを捕まえるとは思わなかったのだ。
「なんだ?無理なのか?」
「無理ではないじゃろうがのぅ」
「ならアイツ捕まえて仲間にしよう」
そういい、ホーリードラゴンに突っ込んでいく勇士。
(あのバカは正気なんじゃろか?しかも仲間とか言うておったが....)
溜息をつくベルだったが、勇士が突っ込んで行ったからには背に腹は変えられなく、援護せざるを得なかった。
ベルによる魔法でレーザーを防ぎつつ拘束魔法をかけるが、相性が悪かった。
ベルは光属性の弱点である闇属性魔法は使えないのだった。
「厄介じゃのぅ」
「おい、ベル!俺をアイツの上に飛ばせないか?背中に乗ってシバけば何とかなるだろ?」
まさに、喧嘩の発想だった。マウントポジションからの連打。
しかし、勇士の拳であれば可能かとベルは思い勇士に向かって風魔法を飛ばす。
「ほれ!ワシの事は気にせずにやるんじゃ」
すると、勇士の足元に一陣の風が巻き起こり、それが竜巻の様に舞い上がりドラゴンに向かって勇士を乗せて運ぶ。
「おぉ、すげぇ!サーフィンみたいだ!」
「遊んどる場合か!!!」
しかし、その間も止むことのない、ホーリードラゴンのレーザーを難なく交わす勇士。
それを見たベルも喝を入れながらも感心するしかなかった。
(天賦の才かの.......)
そして背中に乗った勇士だが、それによりホーリードラゴンは暴れだし、勇士を振り落とそうと飛行する。
「ぐっ、Gがすげぇな、ジェットコースター乗ってるみてぇだ」
片手で鱗に捕まりながら、その拳を何度も打ち込む。
何度も何度も打ち込み、その外殻を破壊していく勇士
「痛いのだ!!!!!!やめるのだ!!!!」
そう叫び声がした。
「ん?お前喋れるのか?」
そう言いながらも打ち込む拳は止まらない
「痛いのだ痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
みるみる速度を落とし、ワイバーンが倒れている頂上へと墜落する。
「もうやめてくれ!!痛いのは嫌なのだ!」
先程までの、狂乱ぶりとはうってかわり、その目から涙を流すホーリードラゴンがそこにあった。
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