第59話 私と天使(妹)の過去③




その日、妹が友達と買い物に出かけた日、妹の帰りが遅かったみたいだ。妹を見送った後、私は部活に向かい、夕方くらいの部活帰りの時間に駅を歩いていた。


「……あれ、みゆ?」


もう夕方の時間なのに妹が1人で歩いていたのを見た私は違和感を感じた。いや、もしかしたら妹は1人ではなかった。そんな気さえした。すごく嫌な予感がした私はスマホで家に連絡をして、妹がまだ家に帰っていないことを確認した。


家にまだ妹が帰っていないことを確認した私は急いで、先程、妹を見かけた場所に向かう。田舎の薄暗い細道はひと気がなく、夕方でも女の子が1人で歩くには怖い道だ。


正直、私も1人で歩くのは怖かったが妹が心配になったので私は少しだけ足を震えさせながら薄暗い道を歩いた。


「みゆ、いるの?いるなら返事して……」


ちょっと怖いな。と思いながら少し歩いても妹は見つからず、私の見間違いかな。と思い、もしかしたら今頃、妹は家に帰っているかもしれないと思い、私は家に引き換えそうと思い足の向きを180度回転させる。


「え、み…みゆ?」

「………」


私は妹と目が合った。細道から枝分かれした更に細いような道の隅で、妹は男の人に壁ドンされたような状態で、片手で口を押さえられていた。


私は咄嗟にスマホのアラームをマックスで鳴らした。それにびっくりしたのか男は妹を無理矢理引っ張って逃げようとしたが、妹は抵抗して、男は結局1人でその場からいなくなった。


「みゆ、大丈夫?え、えっと…一応確認だけど…彼氏、じゃないよね?」


あの男が妹の彼氏でないことくらい男の見た目年齢を考えれば一瞬でわかった。妹はただただ怖かったのか私に抱きついてきた。


私は妹を抱きしめて妹を落ち着かせながら親に連絡した。私が親に連絡してからしばらくして親と警察官が駆けつけた。


妹が、男の人を特にダメになった理由はこれだろう。だが、こうなるまでに妹は既に人を信じられないような状態になっていた。裏切られ、裏切られた。妹の話とこの現状から、そうなっても仕方ないと思ったのはこれより少し後の話…


もしかしたら、妹が今、私に1番懐いてくれている理由は…あの時、妹を1番最初に助けたのが私だったから。なのかもしれない。







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