第60話 私と天使(妹)の過去④
翌日、妹は私を離してくれなかった。前日に警察署で事情聴取されたり、学校へ連絡したりと、妹と家族は疲れきっていた。今も、お母さんは妹の学校に行っている。私は、学校を休んで妹の側にいてあげた。
昨日の夜遅い時間に帰宅してから昼過ぎまで、妹は妹の部屋に私を連れて引きこもり、私をぎゅっと抱きしめて私を離してくれなかった。今頃、お母さんは妹の学校で昨日の件についていろいろ話をしているだろう。昨日、妹から少しずつだが、聞いた。妹は怖くて震えて、まともに話せなくて、一言ずつ、泣きながら私に話してくれた。許せる話ではなかった。だが、私では何もしてあげられない。このケジメは大人に任せることにした。今、私が出来ることは私を求めてくれているこの子の側にいてあげること…
「みゆ、お腹、空いてない?」
「食欲ない……」
昨日の夜から妹は何も食べていない。私は、お母さんが買ってきて妹の部屋の前に置いてくれていたパンとかお菓子を軽くつまんだりしていて、妹にも食べさせようとしたが、食べてくれなかった。
「お、お姉ちゃんお腹空いちゃったな。久しぶりにさ、2人で料理しない?今、家に私とみゆしかいないからさ、安心していいよ」
「嫌、部屋から出たくない…」
「じゃ、じゃあさ、お姉ちゃんと一緒に何か食べよう。お菓子とかいろいろあるよ」
「食欲ない……」
「何でもいいから食べてくれないと、お姉ちゃん心配だなぁ…」
「食欲ないの…」
こんなに弱りきっていた妹を見るのは初めてだった。心配だが、無理矢理食べさせるのはよくないし、まだ、1日も絶食していないから、そのうちお腹空いて何か食べたい。と言い出すかもしれないから私は待つことにした。
結局、その日、妹は何も食べなかった。何をするわけでもなく、ボーっと私の横に私を抱きしめて座りたまに震えたり泣きながら1日を過ごしていた。お喋りをしたりするわけでもなく、私は、妹が震えたり泣いたりしたら妹をぎゅっと抱きしめてあげることしかできなかった。
結局、その日、妹は何もせずに寝てしまった。寝た。と言っても、昨日は恐怖心で寝れず、今日もすでに日付けが変わっていて4時くらいまで起きていた。
さすがに、疲れが溜まり限界だったのか妹は眠った。私は妹を妹の部屋のベッドに寝かしつけて、妹の部屋を出る。
妹の部屋を出て、私はリビングに向かった。
「ママ、みゆ、寝たよ」
「そう…ありがとうね。何か食べる?」
「あまり重くないものつくって…」
「ちょっと待っててね」
お母さんだけでなく、お父さんも起きていた。それほど妹が心配だったのだろう。
お母さんが夜食をつくってくれている間に私はシャワーを浴びる。明日は、妹をちゃんとお風呂に入れないとな…と思いながら身体を洗い、リビングに戻り私が夜食を食べ終わるとお母さんとお父さんが私と向かい合うように席に着いた。何の話かは、わかっている。
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