第51話 私の罪悪感
「みことちゃん、お疲れ様、今、大丈夫かな?少しお話出来る?」
「お疲れ様…です。ご、ごめんなさい……ちょっと今は……」
どんな表情で、ゆめ先輩と話せばいいのだろう。私は…ゆめ先輩とこう先輩、3人で吹きたいと言ったのに…3人の関係を複雑にしてしまった。どんな顔してゆめ先輩と話せばいいのだろうか…
「こう君から聞いたよ…こう君に伝えたんだね……」
泣きだしそうになってしまう。悪いのは私、なのに、泣きそうになる。ゆめ先輩に謝らないと……
「みことちゃん、大丈夫?こう君がさ、本当に心配して私に助けを求めてきてびっくりしたんだよ。こう君、本当に心配してた。私も、みことちゃんのことが心配…だから、お願い。みことちゃんの口から大丈夫です。って聞かせて…大丈夫じゃないなら、少しお話しよう…」
「ごめんなさい…ちょっと…大丈夫じゃない……です。それに、まだ…誰かと話せる状況では……」
ゆめ先輩の口調から、ゆめ先輩が本気で私を心配してくれていることがわかる。こう先輩にも心配をかけて……私って、本当に愚かだ。
「みことちゃん、明日、ホールに来て。お願い。電話で話そうと思ったけど……やっぱり、直接話したい。お願い…します」
きっと、電話越しに頭を下げていることが伝わってくるような声で私にゆめ先輩は言った。嫌、だった。はっきり言って…嫌、だった。
「ゆめ先輩、その…ご、ごめんなさい……」
「謝らないで、みことちゃんは悪いことはしてないよ。あー、でも…いろんな人に心配かけるようなことしたのはダメ…かな。それで……明日、会ってくれる…かな?」
謝らないで。本当に、謝罪なんて求めていない。と言うことが、私にはっきり伝わる口調だった。
「明日は…無理そう…かな?」
「………大丈夫です。あ、明日…お願いします」
「ありがとう。じゃあ、切るね。落ち着かなかったり何かあれば電話してくれれば話は聞くから…今日はとりあえずゆっくり休むんだよ」
「はい。ありがとうございます。ご心配をおかけして本当に…ごめんなさい」
「大丈夫だよ。明日、よろしくね」
そう言い残してゆめ先輩は電話を切った。電話が切れて私1人だけになると、いろいろな人に心配をかけてしまったことに対する罪悪感が込み上がって来た。
「お姉ちゃん、お外で泣くのはダメだよ。部屋の中で泣きなよ。みゆが慰めてあげるからさ」
外で泣きそうになる私に天使(妹)がそう告げた。部屋にいなさい。って言ったはずなのになぁ…
でも、ありがとう。
妹の優しさが、本当に嬉しくて、温かく感じた。
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