第52話 私と先輩と宣誓
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
こう先輩に想いを伝えた翌日、私は天使(妹)を連れて大学のホールに向かっていた。私1人で行こうとしたのだが、妹は私を心配してくれて私についてきてくれた。
「みゆ、大人しくユーフォ吹いて待っててね」
「うん。何かあったらすぐに来るんだよ。昨日みたいに勝手に1人で帰ったら怒るからね」
「う、うん。わかってる」
たぶん、妹は私を心配してくれてはいるが、私が昨日のように逃げられないようにするために私についてきたような気がする。私に1番優しくて私に1番厳しいのが私の妹だ。
「みゆ、ありがと」
「え?何が?」
ちょっとだけ嬉しそうな表情をした後、すぐ何でお礼言われたかわからない。と言うような表情に切り替えた妹を見て、私の推測は正しかったと思った。
「じゃあ、お姉ちゃん、頑張って」
「うん」
私は妹と一緒にホールに入る。
「ゆめ先輩…お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「みことちゃん、みゆちゃん、お疲れ様。わざわざ来てくれてありがとう。………みことちゃん、2人でお話できるかな?」
私の横にいた妹を見てゆめ先輩は申し訳なさそうに言う。
「はい。みゆはここでユーフォ吹いて待っているみたいなので…」
「そっか、みゆちゃん、悪いけどお姉ちゃん少し借りるね」
ゆめ先輩は笑顔で妹にそう言った後、私を連れてホールの控え室に入る。
「立ってないで座りなよ。私、重い雰囲気苦手だし気楽にしてよ」
「あ、はい…」
ゆめ先輩に言われて私はゆめ先輩と向かい合って座る。
「こう君から、聞いたよ」
私がゆめ先輩と向かい合って座ってから静寂な時間が流れてから、ゆめ先輩は口を開いた。
「こう先輩…なんて言ってました?」
「それは私の口から言うことじゃない。こう君から聞きなさい。だけど、こう君はね。ずっとみことちゃんのこと心配してたよ。ずっと、みことちゃんを傷つけたかなって不安に思ってたよ。それを私に相談してくるところはこう君らしくて面白いけどね」
たしかに…相談する相手にゆめ先輩を選ぶのはちょっとアレな気がする。でも、きっと、こう先輩はゆめ先輩ならわかってくれると思っていたのだと思う。ゆめ先輩はこう先輩と同じ状況を味わったのだから…
「さて、じゃあ、そろそろ私とみことちゃん、2人の話はおしまいね。私たち2人で話しても何も状況は変わらないから…もう、私もこう君も逃げないよ」
ゆめ先輩がそう言った直後、ガチャという音がして控え室の扉が開いてこう先輩が控え室に入ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます