第47話 私がすること
「お姉ちゃん、寝ないの?」
妹(天使)とゆめ先輩と練習をした日、私は明日もゆめ先輩に練習を教えてもらうことになった。だから、私にはやらないといけないことがある。
「うん。もう少しだけ起きてるよ。みゆ、もう眠いでしょ?先に寝てて、後でお姉ちゃんもみゆの隣で寝るからさ」
「う、うん。じゃあ…ごめんね。先に寝る」
妹は眠たそうに目を擦りながらお布団に入る。かわいい。私は妹の頭を撫でておやすみ。と言って妹が眠るのを見守る。さて、じゃあ、もうひと頑張りしますか。
次の日、私はゆめ先輩とホールで練習をする。妹は久留美ちゃんが控え室でユーフォニアムを教えてくれているので今日は私たちの側にいない。
「………みことちゃん、気のせいだったらごめんだけどさっきから私の苦手なところばかりできない。って言ってない?」
露骨にゆめ先輩が苦手なところを聞きすぎたからかゆめ先輩が私に尋ねる。私はそんなことないですよ〜と内心ヒヤヒヤしながら答えた。
昨日の夜、コンクール曲の合奏の録音をひたすら聴きまくった。そして、ゆめ先輩が苦手なところ、チューバパートがあっていないところをひたすら洗い出した。チューバは初心者だが、吹奏楽はずっとやっているから、これくらいのことは容易に出来る。
私が、ゆめ先輩との練習でするべきこと、それは…ゆめ先輩がいつでも戻って来れるようにゆめ先輩に教えてもらいながら、ゆめ先輩にも苦手の克服や、チューバパートの音が合うようにしてもらうことだ。そのためにゆめ先輩が苦手なところを聞いたり合っていなかったところを合わせてもらったりする。ぶっちゃけ、ゆめ先輩が苦手なところは私もできないので教えてもらいたいのは本音だから嘘はついていない。
「みことちゃん、ありがとう」
「え?何がですか?」
白々しく答えておこう。私は私ができないところを教えてもらってるだけでーす。
「ゆめ先輩〜みーちゃん〜助けて〜」
私とゆめ先輩が休憩をしていると久留美ちゃんが私とゆめ先輩に助けを求めて来た。
「え、久留美ちゃん?どうしたの?」
「うぅ…ゆめ先輩、みゆちゃんの上達速度が異常で手に負えないです〜」
「う、うん。頑張って。久留美ちゃんの教え方が上手いんだよ。うん。だから、頑張れ!久留美ちゃんならできる!」
ゆめ先輩、かわいい顔しながら結構適当なこと言うよなぁ…そういうところもゆめ先輩の魅力なのだろうか…
と、私が、ゆめ先輩の女性としての魅力もきちんと学びとろうとしていたことにはゆめ先輩は気づいていなかった。
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