第38話 私と天使(妹)と電話




『もしもし、お姉ちゃん?どうしたの?』


こう先輩を見送った後、私はアパートにいる天使(妹)に電話する。幸い、妹はタブレットを触っていたみたいですぐに電話に出てくれた。


「私、またバカなことしちゃったかも」

『大丈夫。お姉ちゃんはいつもばかだから』


妹の言葉が辛辣すぎる。え?私、そんなにバカなのかな…


『まあ、そういうばかなところがお姉ちゃんのいいところだと思うよ。で、今回は何をしたの?』


『お姉ちゃんは間違ったことしてないよ。お姉ちゃんらしくていいと思う。チューバパートの関係…良くなるといいね。お姉ちゃんが失恋したら私がちゃんと慰めてあげるからさ、安心して』

「ありがとう…帰ったら慰めて…」

『なさけないお姉ちゃんだなぁ…』

「うるさい」

『元気出た?』

「少し…」


昔からいつもこうだ。私が何かやらかしたり、失恋したりしてショックを受けたり落ち込んだりすると、私は妹に電話したり、直接妹に泣きながら抱きついて慰めてもらったり、話を聞いてもらったり…完全に妹に依存してしまっている。

今日もきっと、私は帰ったら妹に泣きながら抱きつくのだろうな。なさけないお姉ちゃんだ。でも、妹は優しく私を受け止めてくれる。ちょっと帰るのが楽しみ……と、少しだけニヤニヤしていることは妹には黙っておこう。シスコンお姉ちゃん嫌いとか言われたら耐えられないし……


『いいの?そろそろ戻らなくて……』


妹と電話を始めてから10分くらい経過すると妹が私に尋ねる。そろそろ、休憩終わる時間……


「みゆ、ありがとう。練習戻るね」

『はーい。きっと泣きながら帰ってくるお姉ちゃんを慰める準備してアパートで大人しく待ってまーす』

「ありがとう。大好き」

『みゆもお姉ちゃんのこと大好きだよ。頑張ってね』


妹に電話を切られて私は発狂した。天使に…妹に大好きと言われた。幸せすぎる。やばい、今なら死んでもいい。

こんなことばかり言ってるからシスコンって言われるのか…まあ、いいや。はいはい。私はシスコンです。


ホールでは、どうなっているのかな…

こう先輩とゆめ先輩は、話したりできてるかな。

いきなり、あの2人が恋仲になるわけない。わかってはいるが、不安だ。

こう先輩はゆめ先輩のこと大好きだし、ゆめ先輩はなんだかんだで後輩としてこう先輩のこと心配している。たぶん、何か、きっかけがあれば2人はすぐに仲良くなれると思う。


そうやって2人の仲が良くなればこう先輩の恋は…


そうなってしまったら私の恋は……


少しだけ憂鬱な気持ちで私はホールに戻った。





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