第33話 私と天使(妹)と成長




「お姉ちゃん、みゆ、十二音階全部覚えてできるようになったよ!」


ユーフォパートのパート練習が終わり、ホールの控え室でチューバを吹いていた私に天使(妹)が嬉しそうに報告してくるが……普通、十二音階ってユーフォ始めて数日でできるようにならないからね……私、まだ、チューバで十二音階できないんだけど…


「おー、すごいね。みゆ。よく頑張った」


私が褒めてあげると妹は嬉しそうにえへへ。と微笑む。かわいい。


「みーちゃん、みゆちゃんって本当にユーフォ初心者なの?」

「うん。そうだよ…」


久留美ちゃんが引きつった笑みを浮かべて私に尋ねるので私も呆れた表情で返事をする。妹は天才肌なので……


「宇佐美先輩の教え方がいいってのもあるけど…あれは異常でしょ…」

「そんなにすごいの?」


十二音階できるようになったとは聞いたが、自分の練習で精一杯だったので、妹の音は聞いていないので、どんなものかわからない。


「みゆちゃんからなんて聞いたの?」

「十二音階できるようになった!って嬉しそうにしてた」

「あー、たぶん、みーちゃんはかわいい方で想像してるよ」

「え?」

「みゆちゃん、十二音階全部で十六拍のロングトーンしてたから笑」

「まじ?」

「まじだよ」

「やば…」

「やばいよね」


うん。私の妹やばい…頭おかしいわ……


「そのうち私より上手くなりそうだね…」

「みーちゃんのユーフォ今度聞いてみたい」

「いいよ。よかったら今度一緒に練習しようよ」

「いいね!やろ!」

「うん!じゃあ、今度ユーフォもってくる」

「え、お姉ちゃんユーフォ吹くの?ならみゆも!みゆも一緒に吹きたい」

「いいよ。みゆちゃん、お姉ちゃんに上手くなったところ見せてあげないとねぇ」

「うん!」


久留美ちゃんにそう言われてテンションが上がる妹、めちゃくちゃかわいい。

それに…妹が、私以外の人に懐いているのが、私にはすごく嬉しかった。


「じゃあ、みことちゃん、みゆちゃん、久留美ちゃん、お疲れ様」

「「「お疲れ様です」」」


夜の8時くらいにホールを出て車通学の宇佐美先輩は駐車場に向かうので私たちとは違う道に向かって行った。


「そういえば、久留美ちゃんって下宿なんだっけ?」

「そうだよ。今から夜ご飯作らないとだから大変だよぅ…」

「えー、じゃあ、久留美さんも今日一緒にご飯食べようよ。お姉ちゃん、今日夜ご飯作りすぎちゃったって言ってたし!」


妹が笑顔でそう言ったのを聞いて私は驚いた表情をする。反応に困っていた久留美ちゃんと目が合い。久留美ちゃんがアイコンタクトで大丈夫?と聞いてきたので、私は笑顔で頷いた。


「じゃあ、今日はお邪魔しようかな」

「やったー!」


妹の笑顔を見て、私と久留美ちゃんは微笑む。

嬉しい。本当に…嬉しいよ。






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