第15話 私と天使(妹)の楽器選び






天使(妹)と別れた私は他のパートを回り始めた。最初に、パーカッション、軽くドラムを叩いて是非パーカッションに来てと言われたがドラム以外のパーカッション楽器ができないためあまり気乗りしなかった。

コントラバスは現在人がいないためチューバの先輩と一緒に軽く練習した。そして、フルートパートに行くがフルートパートはやはり人気で人が多かったため、私は人が少ないユーフォかコンバスでサークルに入った方がいいのかな…と考えていた。


「あ、みことちゃん、どう?何で入るか決まった?」


私が振り向くと優しそうな感じの男性が立っていた。私より2つ歳上の先輩で髪を染めたりしておらず大人しい感じの印象の男性だった。先程、チューバパートの先輩として一緒にコンバスの練習に付き合ってくれていた。先輩は大学から吹奏楽を始めたらしくコンバスと一緒に練習してと言われてわからないことだらけだと思うが、それでも一生懸命練習に付き合ってくれた。


「こう先輩、先程はありがとうございます。いろいろ考えてるんですけど、コンバスかユーフォかなぁ…って感じです」

「そっか…あ、よかったらさ、一回チューバ吹いてみない?」


こう先輩にそう言われて私はチューバの体験をしてみることになった。先輩からチューバを受け取るとユーフォと比べてめちゃくちゃ重かった。重いです〜と私が呟くとこう先輩は私が座る椅子の前にチューバスタンドを置いてくれたので私はチューバを置いてマウスピースに口をつける。

チューバの音は好きだ。重く、合奏のテンポを支配するような役割の低音の核、それがチューバだと私は思う。

しばらくチューバを吹いているとチューバがすごく楽しく感じた。チューバの指はユーフォとほとんど同じなので迷うことはない。吹いていてとても楽しい。こう先輩はそんなに吹けるなら是非チューバで入ってよ。と言ってくださる。チューバは楽しいしこう先輩はとてもいい人だし私はチューバパートで入ろうかと悩んでいた。


「私、チューバパートで入っていいですか?」

「え、大歓迎だよ」


こう先輩は私に即答した。すごく嬉しそうな笑顔と共に…

私はさっそく入部届けに、名前と学籍番号、所属パートを記入した。

サークルに入る手続きが終わった後、私はこう先輩に案内されて妹が練習している場所に戻った。

妹はあれからずっとユーフォを吹いていたみたいでさっきよりだいぶ吹けるようになっていた。ユーフォの先輩と楽しそうに笑っている妹を見て私はとても嬉しかった。

私が妹に話しかけると妹はここでもっとユーフォ吹きたい。もっと上手く吹けるようになりたい。と笑顔で私に言うのだった。ユーフォの先輩やこう先輩は全然問題ないよ。と言ってくれたので妹はこれからもここでユーフォを吹かせてもらえることになった。





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