第14話 私と天使(妹)とユーフォニアム
「ユーフォ体験したい子だよね?私は宇佐美百合子、ユーフォパートのパートリーダーです。よろしくお願いします」
優しそうでほんわかした雰囲気の女性が私と天使(妹)に話しかける。妹は私の後ろに隠れるようにして様子を伺う。私は、自分の名前と妹の紹介をしてよろしくお願いします。と頭を下げた。
「みことちゃんとみゆちゃんね。よろしく。みことちゃんはユーフォやってたんだよね?みゆちゃんはどうなのかな?」
「みゆは吹奏楽は初心者ですけど、ピアノはやっていたので譜読みはできます」
私は先輩の質問に答える。先輩はピアノ弾けるんだ。すごいね。と反応して、じゃあバジングとかマウスピースの練習からかな…と呟く。とりあえず私についてきてと言われ私と妹は先輩の後についていく。ホールの奥に進み客席の真ん中にあるスペースにユーフォニアムが3つ置いてあった。
「みことちゃんはユーフォ持ってきてくれたんだよね。自分のユーフォ用意してもらっていいかな?」
「分かりました」
「みゆちゃんは、このユーフォ使おうか、一応初心者向けのマウスピースを選んでおいたから一旦マウスピースの練習しよう」
私が楽器ケースから楽器を取り出している間に先輩は妹にユーフォのマウスピースを渡す。妹は丁寧に受け取りマウスピースを口につけて音を鳴らす。
「え?」
私は驚いてつい声を出してしまった。妹はマウスピースできちんと音をならせていた。バジングもできているようだった。
「えへへ、お姉ちゃんの真似してバジングしてたらバジングできるようになってお姉ちゃんが使ってなかったマウスピースで遊んだりしてたら音鳴るようになってたの」
全く知らなかった。妹にピアノを教えることはあったがユーフォは教えたことなかったのでいろいろ教えておげようかな、と思っていたのにマウスピースは十分吹けていた。
「うん。マウスピースはいい感じだね。じゃあ、楽器につけてみようか。構え方わかる?」
「えっと、わからないです…」
「じゃあ、ちょっとごめんね」
先輩は妹の横に座って実際にユーフォを構える。真似してみてと言われて妹も真似をしてユーフォを構えた。そしてそのまま、ユーフォ本体に付けたマウスピースに口を当てて息を吸い息を吹き込む。
ユーフォ独特の綺麗な音色がホールに鳴り響いた。
「おー、初めてでこれはすごいよ」
先輩にそう言われて妹は照れくさそうにほっぺたに手を当てる。あぁ、かわいい。
そんなことを思いながら私はユーフォを構える。久しぶりに感じるユーフォの感触、私は深く息を吸い音を響かせた。
「おー、みことちゃん音めちゃくちゃ綺麗だね。うん。2人ともいい感じだし少し音階やろうか」
先輩は妹の正面に座り私が押したピストンと同じピストンを推してね。下の音から上の音に上がる音階をするから音をしっかりイメージして、高い音上がる時は息の勢いを上げる感覚で…といいさっそく音階をやってみた。
「はぁ…はぁ…」
音階が終わり妹はめちゃくちゃバテていた。初めてだとこうなるのは仕方ないと思う。その様子を見て先輩が大丈夫?と優しい声で尋ねているがこの先輩めちゃくちゃ上手い…音がめちゃくちゃ綺麗だし音量すごいしめちゃくちゃ音響くしすごいとしか言えない。
しばらく一緒にユーフォを吹いた後、私は他のパートを回ることにした。妹はもっとユーフォが吹きたいと言ったので先輩と一緒にユーフォを吹くようだ。
私がいなくても大丈夫と言われ私は嬉しかった。先輩と一緒に楽しそうにユーフォを吹く妹を見て連れてきてよかった。と思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます