第13話 私と天使(妹)とサークル活動




「え、行きたい!お姉ちゃんと一緒に楽器吹きたい!」


私は一度帰って先生が提案してくださったことを天使(妹)に説明した。すると妹はすごく嬉しそうに返事をした。


「みゆ、一応言っておくけど、サークルには当然男の人もいるし、たくさんの人と関わらなきゃいけないんだよ。大丈夫?」


私が真剣な表情で尋ねると妹は少し震えながら大丈夫。と答えた。私は妹の大丈夫という言葉を信じて一緒にサークルの体験に行くことにした。


先生に妹も一緒に参加させていただきたいです。とLINEを送ると数分で了解しました。サークルのメンバーには話を通しておくので練習場所のホールに来てください。お待ちしてます。と返信をいただいた。


私はさっそく楽器を持って妹と一緒に大学に向かう。妹はすごく嬉しそうにしていたが、私の中に少し不安が残っていた。でも、こうして私と一緒に人と関わる機会を作ってあげれば妹はやがて普通の生活に戻ることができるのではないか、とも思っていた。




「あ、みことさんだよね?先生から話聞いて待ってたよ〜」


私と妹が吹奏楽サークルが練習している大学内のホールに入ると優しそうな女性が出迎えてくれた。


「私は橋口由希、このサークルで団長の役職を務めてます。担当はトランペットパートだからよろしくね。みんなからはゆきちゃんとか呼ばれてるから適当に呼んでくれて大丈夫だよ」

「よろしくお願いします。黒神みことです。こっちが妹のみゆです」

「よろしくね。みことちゃんもみゆちゃんも、めっちゃかわいいね。さて、さっそくだけどどうする?みことちゃんは経験者なんだよね?」

「はい。小学校でフルートを習っていて中学校でコンバス、高校でユーフォとドラムやってました」

「おぉ、すごいハイスペックだね…えっと、どの楽器でサークル入りたい?」

「いろいろ悩んでます…」

「そっかぁ、じゃあ一回パート回ってもらう感じがいいかな…みゆちゃんはどうする?」


私の後ろに隠れるように立っていた妹にゆき先輩が優しく尋ねる。


「みゆ、ユーフォ吹いてみたいです」

「そっかぁ、いいよ。じゃあ、みことちゃんとみゆちゃんは最初にユーフォパート行ってもらおうかな…」

「はい。それでお願いします」

「了解、じゃあ、ユーフォの子呼んでくるからここで少し待っててもらっていい?」

「はい。よろしくお願いします」


私の返事を聞いてゆきさんがホールの奥に入っていった。それにしても、まさか妹がユーフォ吹きたいと言うとは思わなかった。妹がやりたいと言えたこと、自分の意思を伝えられたことが姉として本当に嬉しかったのだ。






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