第10話 私の天使(妹)と入学式






部屋の中で鳴り響くアラームを止めて私はベッドから起き上がる。私の横では天使(妹)がまだ寝ているので起こさないように気をつけながら起き上がり洗面台で歯を磨いて顔を洗う。


そして私はパジャマを脱いでクローゼットの中のスーツに着替え始める。 


「お姉ちゃん…おはよ……」

「あ、みゆ、ちょうどよかった。スーツに着替えてるんだけどさ、スカートとズボンどっちの方がいいと思う?」

「うーん。スカートの方が絶対いいと思う」

「了解。ありがとう」


私は迷うことなく妹の言う通りにスカートを履いた。


着替えが終わり髪の毛をスーツに合うように髪を整える。その後、普段はしないのだが薄く化粧をした。


私が化粧をしている間に妹も歯磨きや着替えを済ませていた。


「準備できた?」

「うん。できたよ」


妹の準備ができたのを確認して私は軽く朝ごはんを作る。そして2人で朝ごはんを食べて2人で部屋をでる。


しっかりと部屋の鍵を閉めて妹と手を繋いで歩く。

今日は私の入学式なのだ。妹は私の部屋でお留守番させてようかと思ったが、一緒に行きたいと言い出した。一応入学式には家族席があるため連れて行っても良さそうだったので今日だけは連れて行くことにした。




私は入学式の会場である体育館で手続きを済ませる。


妹を体育館の後ろに用意された家族席に座らせて入学式が終わった後の待ち合わせ場所を決めてから私は新入生用の席に向かう。新入生は学部ごとに席が割り振られていた。


「お隣失礼しますね」


私は見た感じチャラそうな男の人に声をかけて隣に座る。係の人の案内通り席の間を空けずに奥から詰めていった結果がこれだったのだ。


「お、君可愛いね。え、めっちゃ俺の好みの顔なんだけど、ねえ、彼氏とかいるの?」


チャラい感じの男の人が私に尋ねる。いきなり失礼すぎないかなと思いながら今後のことを考えて軽く返事をすることにした。


「いえ、いないですよ」

「へー、いないんだ。俺も今彼女いないんだよね。君、下宿?」

「ええ、一応…」

「そっかぁ、俺も下宿なんだよね。なあ、よかったら今度遊びに来てよ。泊まりでもいいからさ、君いい体してるし一晩中たっぷり遊んであげるよ」


私の体をじろじろと見ながら私に言う。はっきり言ってセクハラだろこれ…と思いもう関わらないようにしようと適当に対応していた。それでも男の人は私にアタックし続けてきた。はっきり言って鬱陶しい。


「ちょっと、その子嫌がってるじゃない。そんなこともわからないの?」


私の隣に座りながら気の強そうな女の子がそう言ってくれた。それを聞いた男の人が軽く舌打ちした後ごめんごめん。と言って私への絡みをやめた。


そうこうしているうちに入学式が始まる時間になった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る