第3話 私の天使(妹)への誓い
「ママ…勝手にお姉ちゃんの家来てごめんなさい」
ママとの電話が始まってすぐに天使(妹)がママに謝罪する。妹が突然家から居なくなって本当に心配していたママは当然怒ってはいたがあまりきつくは言わなかった。
「それにしてもみゆちゃんよくみことの家まで行けたわね。大丈夫だったの?」
「うん。大丈夫だよ」
実家から私の下宿先までは約5時間ほどかかる。そんな時間をかけてまで妹が私の部屋まで来た理由…それは妹が私以外の人間を受け付けれない状態だからだ。ママはまだマシなのだがパパや弟とは顔を合わせるだけでパニック状態になってしまう。
妹がそうなってしまった原因は妹が中学校に入学した年の出来事、その出来事以来、妹は学校に行っていない。妹は今年で中学校3年生になる。将来の進路を考えないといけない時期なのだが、妹は学校に行ける状態ではなくカウンセリングに通っている状態だった。
家では基本ひきこもりになっていて私が下宿生活を始める前までは時間のある時は私が勉強を教えたり一緒に遊んだりしてあげてずっと妹の側にいてあげた。
私が下宿生活を始めてからずっと妹は部屋で泣きまくり家族誰とも会話をすることなく部屋にひきこもっていたみたいだった。そんな妹が部屋を飛び出して私の元まで来てくれたことを外に出られるようになって成長したと捉えるべきか私に依存しているだけと捉えるべきなのか私にはわからなかった。
「とりあえず、いつまでもそっちにいたらみことにも迷惑だから今週末迎えに行くからね」
「嫌、帰りたくない。お姉ちゃんと一緒にいたい。お姉ちゃん、ずっとお姉ちゃんの家にいていいって言ってくれたもん」
たしかに私は妹にいつまでもいていいよ。と言ったことがあるが妹のためを思うとそれが正しい選択なのかわからない…
ただ…姉としてこの可愛い天使を私が支えてあげたい。天使が成長できる力になってあげたいとは思う。
「ママ、とりあえず私はみゆがいても迷惑じゃないよ。私がバイトの時とかに家事やってくれたりするから本当に助かってる。みゆはさ…まだ、学校に行ける状態じゃないよね。みゆは今年3年生だからとても大事な時期、みゆが将来どうしたいかはみゆが決めることだけど、みゆがもし夢を持つことがあって夢を持った時にはその夢が叶えられない夢になってるのは嫌だ。だからさ、私がここでみゆの勉強の面倒みるよ。みゆに勉強教えれるの私しかいないしさ、カウンセリングがある時はみゆと一緒に帰るようにするからさ…」
「勉強を教えるって…みこと、下宿生活だけでも大変でしょう…」
「大丈夫だよ。私はみゆのお姉ちゃんだからみゆの力になってあげたいの。お願いします。みゆを私に預けてください」
私は真剣な声でママに頼んだ。私の言葉を聞いた妹は何も言わずにママの返事を待っていた。しばらくしてママがわかった。と返事をする。
少なくともみゆは私といれば精神的に安定している。その事実を考慮しての判断だった。その後、今後の話をしてママとの電話を終えた。電話が終わるとすぐに妹は私に抱きついてきた。
「お姉ちゃん。ありがとう。」
「うん。これからずっとお姉ちゃんと一緒だよ。だから安心して」
「うん。ありがとう。」
私はそっと妹を抱きしめる。そして、これからずっと妹と生活していくと心に誓った。
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