幕あい Part C どうやらここらしい
【500.4】
あのお方が言うには、未来は大きく2つの道を辿る可能性があるそうだ。
ワールドダイブが発動する未来と、発動しない未来。
ワールドダイブが見たい。
今まで、何をしても満たされなかった。
心の渇きが癒されることはなかった。
未来の分岐点は、どうやらここらしい。
レーリア地下道。
かつてブルータウンと北レーリアを結ぶ地下通路は、3つのルートが計画され、その1つ目は地盤沈下により工事が途中で中止された。
廃線となったこのルートの一画に、以降誰も立ち寄らなくなった小さな小屋がある。
関所と休憩所を兼ねる場所として建てられたものだ。
廃線後の一時期、この小屋に、ある目的を持つ者が住み着いていた。
だが、それも今となっては過去の話だ。
これが、その小屋か。
ずいぶんと小さい。
閉ざされた扉を強引にこじ開け、中に入る。
ベッドや簡素な調理道具の他、机にいくつかの書物と、記録・日記やメモの類が置かれている。
書物からメモに至るまで、紙媒体の資料を残らず外に運び出し、1か所に集める。
そして、火を点ける。
しばらくして火が消える。
灰を丁寧に回収し、地下道を後にする。
途中、町の側を流れる川に寄り、灰を全て流した。
これで、良い。
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