第122話一時の休息

「良かった。良かった」


「生きてる。助かったんだ」


周囲から喜びの声が巻き起こり、戦勝の叫びが辺りを埋め尽くす。そんな中で、俺は尊敬するアレクサンドル・ケスラー中将に面会を求めていた。


「ケスラー中将、3日振りでしょうか」


「ふむ、意外なほど速い再会じゃな。それでは、まず先の救援感謝する」


「ケスラー中将、自分は救援に半数を向かわせる事を良しとしませんでした。それを行ったのは、オリエ少将です。自分が指揮官なら、被害は更に増えていたでしょう」


悔しいが、オリエ少将の判断が間違っていないのは事実だ。もし、偵察中隊のみだったら、戦闘をしても第2師団へは雀の涙程度の物だっただろう。


「そうか、オリエ少将か。まぁ、良いさ。ランバース大佐、私は両陛下の救出には賛成だ。しかし、難しくはないかね」


「はい、事実難しいでしょう。しかし、此方の方が説明してくれます」


「、、、レン・ブライト技術少将です。お久しぶりです。ケスラー中将」


「おぉ、ブライトのご息女か。それで、ランバース大佐、彼女を連れてきたんじゃ。何か、有るんじゃろ?」


ケスラー中将は顔に面白いと言った表情を浮かべている。俺も内容は書類上で知っているだけだ。案内まではできない。


「こちらです。中将」


レン技術少将は旧第13師団基地の下を通り、軍需工場へと俺達を案内した。


「軍需工場の地下には更に下があります」


「これは」


巧妙に隠されたエレベーター。かなりの速度で降下しているのが解る。12秒程、降りていくと急に何も見えなかった景色が変わった。暗いのは変わらないが、先にうっすらと何かの輪郭が見える。


「シャイン」


到着し、レン技術少将は手元を照らすため照明魔法を展開している。


「これだ」


レン技術少将が何かのスイッチを押した瞬間、辺り一面に激しい閃光が巻き起こる。


「ちっ」


一瞬目が眩んだものの、現れた物に俺は言葉を失った。


「 」


何分間呆けていただろう。言葉なんて出なかった。白く、美しいその姿。そして、ターシェの紋章である〔有翼の乙女〕の描かれた艦。


「この艦はウィングメイデン。反セリエ派が来るべき時に向けて秘密裏に完成させた物であり、、、」


「まて、レン技術少将。先ずは教えてくれ。俺はあんたが協力的だかれセリエの権限で昇格させた。だけどな、この飛行戦艦の存在は教えてもらって無いぞ」


「教える必要は無いでしょ、驚かせようとしてたんだから。(あと、さっきの顔は記録してるから)」


最後の所は聞きそびれたが、俺の興味はウィングメイデンに釘付けだ。


「レン技術少将。スペルはWinged Maidenか」


「流石ね。そう、有翼の乙女を共用語にしたものね」


「この戦艦が、俺達の旗艦になるのか」


「そして、此方が新兵器フレームスーツ。人間の身体能力を補助する物でサイズは自動調整。対弾対刃対魔にもってねぇ聞いてるの!」


この時、俺はこの次の作戦であるオータム砦の攻略が楽しみです仕方なかった。この翼が羽ばたく瞬間をその目に刻みたいそう思っていた。





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