第121話 遊撃士動く
「ぐぅ、麻酔をせめて」
「そんなの有りませんよ!」
「いっ!」
「マキウス君、包帯を頼む!」
「先生!駄目です、僕も此方で忙しくて!」
「先生、包帯です!マッキー、手伝おう」
「アン、ありがとう!」
今、アンと共にターシェ・バレタニア連合もう!兎に角、軍の移動式病院とも呼べるトレーラーで設営した夜戦病院である種の戦争をしている。
「一名追加!急患です!」
「容態は!」
「くっ、、、酷い」
急患として運ばれてきた人は全身に大火傷を負いながらも、弱々しいが確かに命の灯火は存在している。
「無駄、、、だ。俺よりも、、仲間を」
「諦めるな!人間は、死ぬ自由があるが。それは今じゃない。看護師、すぐに手術だ!衛生兵達には応急処置させとけ!」
先生は数名の看護師を携え、すぐに手術を始めた。もう、何分たっただろう。
「ねぇ、アン。一体、どれだけの人が」
「、、、内戦でこれだけだもの。もし、フォレスタでこれ程の戦闘が起これば」
正直、想像するのも嫌になった。2万人という大部隊で攻撃して、すでに数百人の怪我人が出ている。何人が死んだんだろ。
「、、、マッキー大丈夫?」
「うん、遊撃士って非力だと思って。僕は、シュウさんの違って特別な力を持ってない。でも、あの人のようになりたいと思って、家族を守る力が欲しいと思って、遊撃士になったのに、、、目の前の殺し合いを止められないし、結局は」
「マッキー、遊撃士は各国の政府組織に関与はできない。それは国の領分だ、諦めろとは言わない。だが、理想を高く持つのは止めた方がいい。それよりも、流石は白衣の天使だ。あの姿。美しい、マッキーも層おもうだろ」
「アン」
この時、もしかしたらアンは僕の心情を察してこんな事を言ったのだろうか。それとも、相変わらずの性格で、看護師さん達をみてそう思ったのか。実のところ!よく分からない。でも、気付いたらそんなアンに感謝を伝えていた。
「ありがとう」
「ん?」
アンは何か言いたそうだったけど、驚くべき報告が来て、みんなの興味はそっちに向かった。
「戦闘が終了した!終わったぞ!勝ったんだ!」
喜ばしい報告だけど、素直を喜べなかった。これ以上の死傷者が出ないのは良いかもしれないけど、今ここの数百人の中には死に瀕する人もいる。
「リジェネジェーション」
何かが聞こえた後、周りが淡い緑の閃光に包まれ、僕は恐ろしいものを見た。足を失った人がそこから新しい足が生えてきたんだ。それだけじゃない、さっきまでの疲れが嘘の様に消えていった。
「死んだのは少ないな。間に合ったか」
「これは、、、バロ。君がやったのか」
「さっき言った治療魔法だ。リジェネジェーションはその治療魔法の最高位に位置する魔法であり、使えるのは四人しかいない」
この時、安堵した。四人だけなら、と。
アンはすぐに看護師さんと話していたけど、今の所そんな気分じゃない。もし、この魔法が何回も使えるのなら、死なない限り無限に回復する軍隊。それが、ターシェが扱えることと同義なのだから。
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