第111話バレタニアの日常
帰りは長かった。行きはドラグーンの姿で無理矢理加速してきたから一時間程度でついたのだが、小型飛行挺では三時間はかかった。
あれ?そうするとノア達は援軍として来たのか?まぁ、いいか。バレタニアは既に夜で、空からみる夜景がとても美しい。
「くそ」
俺は軍の飛行場に着き次第、捕虜二人を下ろし、独房に入れた。何度も喚いていたが、知った事じゃない。独房から出たとき、ノア達が何か言いたそうだったから、免罪符をやった。
「24時間体制で二人を監視する。しかし、これは二日後からだ。二日間、自由に出入りしていいが、だすなよ。もし出たら、マーリンの首は吹き飛ぶ」
ノアとエレナは頭を下げているが、どうでもいい。ヘレンは相変わらずだった。
そして、、、
「貴方は!」
「久し振り、受付嬢さん。帰る前で良かった。ディスタの事頼めるか?」
「なっ、ディスタさん大丈夫ですか!」
「寝てるだけだ。頼む、俺も眠いんだ。受け取ってくれ」
俺はディスタを近くの椅子に座らせ、欠伸をしながらアドベンチャーギルドを出た。向かうは第四棟の管理人室だ。途中顔見知りの人に会い、軽く挨拶をしつつ家に着いた。
「あの催涙ガス、効果強すぎだろ」
俺がゲートをくぐり、帰ってくると大きな歓声が起こった。その後、ルシエラが目の前にやって来た。
「戻っんですの!バロ?ねぇ、大丈夫かしら?」
ルシエラが目の前に来た辺りから記憶がない。俺は何故か見知らぬ天井、見知らぬ部屋、そして
「どういう状況だ?」
病衣を着せられ、所々包帯でまかれ手術痕のような物もある、また輸血のチューブに点滴。それに起き上がろうとすると、激しい痛みに襲われる。ナースコールがあり、俺は押した。すると、直ぐに看護師がやって来た。
「はぁ、どうせバグか何かよ。全治3週間の患者がナースコール押すなんて」
「押して悪かったか?」
「それは、、、全治3週間の人間が動けるはずないもの。そんなの」
「動いて悪かったな」
無理矢理体を起こし、現れた看護師に話しかける。
「俺は、バロ・ランバースだ。医療費はいくらだ?直ぐに払うから、ここから出してくれないか?」
「あっ、、!院長!!!!!」
看護師は一旦フリーズしたあと、俺の前から消えた。これじゃあ、良い返事は期待できないな。
「これは」
見舞いの品かわからないが、林檎が置いてあった。ナイフもある。腹が減っていたところだし、ちょうどいい。
「あっ、お兄ちゃん起きてる!ママっ!お兄ちゃん、起きてるよ!」
「ジュリア、病院では静かにね。、、、お久しぶりですね」
「メリエットさんに、ジュリアちゃんか!本当に久し振りだねぇ!林檎、食べる?」
「うん!」
「すみません、貴方にこんなこと」
相変わらずなジュリアちゃんと違い、メリエットさんは何処か暗い様子だ。
「どうしました?」
「それっ」
「ぐぶっ、、、」
メリエットさんに話しかけようとしたら、ジュリアちゃんに脇腹を擽られた。危うく、ナイフを落とす所だった。
「ジュリア、だめでしょう?」
「えへへ、お兄ちゃんごめんなさい」
「あっ、うん大丈夫だよ」
無理だ、力が出ない。
「それよりも、メリエットさんはどうしてここに?」
「あのね、ソルジャーのお兄ちゃんに助けて欲しいの!」
「ジュリア!」
「お姉ちゃん、ママの妹なんだって!私ね、お姉ちゃんととってもなかいいの!」
叔母はお姉ちゃんで、初対面の俺はおじさんだったのか、、、お兄ちゃんに直してくれて良かった。
「それでね、お姉ちゃんが助けてっ」
「ジュリア!、、、バロさん、ごめんなさい。ジュリア、もう行くよ」
メリエットさんはジュリアちゃんを連れ、病室を出ていった。しょうがない、僕も病室から逃げるか。小さな友人の頼みだからな。
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