第110話報復
「レン技術准将、この機能と入れ換える事は可能か?」
「できるけど、、、へぇ、性格悪いわね」
「五月蝿い、俺はただ、、、嫌、いい」
「簡単な改造だから済んだわ。後は首に嵌めるだけ、自分でやるでしょ?」
「ふっ、オリックスは絶望するだろうな」
「バロォォォ!」
「パパ、五月蝿い!死んで」
「親父、頼む。静かにしててくれ!兄貴に殺されるぞ!」
「ヘレン!父さんになんて言葉を!ノアも親父じゃなくて父さんと」
「エレナは真面目さんね。でも、良いの。今の私達は捕虜だし、多分生きてるのもバロの温情なのかもしれないわね」
「母さん」
一角でランバース一家が遊んでやがる。どうやら、小型飛行挺まぁ、二時間はたってんだ。いてもおかしくないしな。
「さて、お前らは一度捕虜の扱いを覚えるべきだな。そこまでの感情移入する必要はあるか?」
「兄貴、頼む。親父達を解放してくれ。兄貴!」
「ノア、彼等は俺を殺そうとした。そして返り討ちにあっ」
「卑怯な手を使いやがって!ノア、そいつを殺せ!誰でもいい、バロを殺せ!」
発狂してるな、後で精神安定剤でも投与するか。少しはマシになるだろう。
「ノア、解ったな。解放は無理だ」
「くぅぅぅ」
「さて、マーリン・ランバース。貴女にはこの首輪を着けて頂く。安心しろ、俺が死なない限り問題ない」
周りの、オリックス以外の奴がキョトンとしている。まぁ、これから性能を見せるんだ。
「止めろ!止めてくれ!」
「こいつは、犯罪者だ。処刑するんだから、ちょうどいい」
マーリンに着けた首輪と同じものを着けた犯罪島、死刑囚をディアス連隊の兵士が連れてきた。喚き散らかしているが、兵士たちが鎖に繋いでいるので、逃げることは不可能だ。
「3,,,2,,1,0 ボム」
「ぎぁあぁ!」
死刑囚の首は破裂し、大量の血が流れ出る。
死刑囚は激しく悶え、苦しんだ後、動かなくなった。
「まぁ、首輪にはこの様な効果があってな。無理に外したり、外れたりした瞬間もバァン、首が吹き飛ぶ。俺が死んでも、マーリン、お前の首は吹き飛ぶ」
「貴様ァァァア!」
「オリックス、殺しても良いがマーリンも即死だぞ?マーリンに着けたの特別製でな頭が吹き飛ぶ代物だ、回復魔法。例えば、俺レベルの魔法でないと生き返らない」
オリックスはそれ以来、何も喋らない。マーリンは鳴き始め、ヘレンは傍観、エレナとノアは俺に食って掛かってきた。
「兄貴!これが親にやることか!」
「兄さん、今すぐ止めてください!母さんなんですよ!」
ヘレンは二人を馬鹿を見るように何も言わない。この中では、ヘレンは頭が良いな。
「ノア、エレナ。マーリン及びオリックスの今の立場はな、セリエ・ラ・ターシェ殿下の婚約者を殺そうとした立場だ。詰まりは、死刑囚だ。生憎、これは変えられない」
「なに!」「えっ」
驚いたのはノアとエレナではない。オリックスとマーリンだ。二人は今更理解したのだろう。俺が大罪人と言った訳を。
「国家反逆罪。適用されるんだ、王族への殺人未遂はな」
「そんな、兄貴は結婚なんて」
「まだしていない。だが、王族の婚約者だ。王族への反ありと判断されてもおかしくない。それ以上に殺人は犯罪だぞ?今は内乱中だから、なんて言うなよ。戦闘が終了した場所で俺は殺人未遂を受けた」
実際、正論だ。殺人が犯罪なのは子供でも理解している。例外は、テロリストや犯罪者への殺人。まぁ、俺が子供の頃に起こした殺人は、、、証拠を残してないから問題ない。犯人としては周知の事実だが、決定的証拠もないし、むしろあの件でセリエの安全は保たれていた。すると、バレタニア連合軍旗を掲げた機工師団が来た。
「君がバロ・ランバース大佐だな」
率いて来たのは老練と呼ぶに相応しい風格を宿したお爺さんだ。いや、俺はこの方を知っている。
「第2師団長、アレクサンドル・ケスラー中将、御会いできて光栄です!」
「ふむ、ソルジャーよりも我等の方に近い臭いがするの。後は我が師団に任せよ、セリエ様の為ではない、陛下の為だが結果的には同じことよ。大佐、宜しく頼むぞ」
「yes,commander.」
「ほっほっほ、いい掛け声じゃ。さて、ソチラの大佐はディアス・ミュンベルガー大佐じゃな、命令書じゃ。わしの第2師団の歩兵連隊として頑張って貰うから、そのつもりでの」
「了解です。閣下」
後はケスラー中将に任せて大丈夫だろう。あの方はターシェ軍の勇将、バレタニアに帰って作戦報告だ。
「さて、バレタニアに帰るぞ。捕虜の収容を急げ、騒ぐようなら口を塞げ!レン技術准将、貴女もバレタニアに来て貰います」
「えぇ、了解よ。それじゃ、出発しましょうか」
捕虜と、兄弟、レン技術准将を乗せた飛行挺は最大船足でバレタニアへと帰路についた。
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