第100話第13師団の奮闘

ディスタが尋問をしている頃、外は既に灼熱地獄と化していた。街並みは既に焦土と化し、所々に砲撃の後が見られる。そう街を破壊したのはドラグーンだけではない。砲撃で死んだ民間人もいるだろう。それでも、ドラグーンと戦い続ける部隊があった。


「対空砲火甘いぞ!」


「連隊長、07小隊との通信、、、途絶生存は絶望的かと」


「そうか、だが今は厄災の対処が先決だ。06小隊を07小隊の位置に再配置、包囲網を絶対に崩すな。」


「くぅ、、、我が国はまた奴に負けるのか!また!」


「レン技術准将、何か兵器はありませんか?魔法でも良い、あのデカ物に一矢報いる物は!」


「ディアス大佐、、、ない。見たろ、我々の最新兵器が悉く無に帰した。魔法?ない、マーリン・ランバースを連れてこい!彼女以上に魔法が得意な人はいない、だがな無理だろう」


「しかし、厄災が元に今!」


「なっ!厄災が此方に向かって来ています!包囲網は、、、壊滅しました」


「糞がっ!」


私語は禁止されていた。しかし、通信兵だけでない、全ての兵士が何か喋っていないと気が狂いそうになる。それだけの恐怖の対象が仮作戦本部へと向かってきている。


「俺が出る!最後の命令を伝える。お前達、持てる全兵力を使って技術准将を安全な所へお連れしろ」


「連隊長!しかし!」


「命令だ。行け!」


「「yes,sir!」」


ディアス大佐は最後の命令に希望を託した。レン技術准将は女性でありながら、優秀な技術士官だ。この内戦を終わらせ、そして厄災を討伐するのは彼女が必要だと、ディアス大佐はそう思っていた。だが、足りなかった。

大佐が出現しようとした時、血だらけの連絡兵が会議室に入ってきた。まだ少年とも思える顔つきは配属されたばかりの新兵だとディアス大佐は結論付けた。


「どうした!何があった、、、」


「連、、、隊長、」


倒れ込む少年兵をディアス大佐は支えた。しかし、その瞬間


パン!


「ぐぅ!」


一発の銃声が鳴り響き、ディアス大佐はうめき声をあげながら崩れ落ちた。


「貴様!」


警備兵が銃を撃とうとするが、既に少年の姿はない。出た形跡もない、会議室にいる三人警備兵、レン技術准将、通信兵、誰も少年を見ていない。


「連隊長!大丈夫ですか!」


警備兵は消えた少年よりも、自分の上官の安否確認を優先した。


「うし、、、ろだ」


ディアス大佐は警備兵に危険を伝えたが、遅かった。


「チェーンバインド」


魔力で造られた鎖が警備兵だけでなく他の人員の身動きをも一瞬で封じた。


「ふぅ、動脈を貫通したんだ。仕留めたと思ったんだが。中々タフだな。あんた」


少年は先程と同じ姿をし、銃口をディアス大佐へと向けている。そして


「優秀な人材は嫌いじゃない」


少年はそう言いながらディアス大佐の傷を魔法で癒した。


「お前は、なんだ」


「バロ・ランバース。ソルジャークラス1st。そして、君達の言う厄災こと、龍神ドラグーンです。死にたくなければ色々教えてね?」


警備兵、通信兵、は勿論ディアス大佐とレン技術准将も驚きを隠すことはできなかった。


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