第99話己が信じる物
「バロ、熱いよ」
外は獄炎が支配するフィールドになっているだろう。この師団の壊滅までが作戦だ。
「ディスタ、俺が龍になって師団の大半を引き付ける。軍需工場の制圧と残りは仕留めてくれ」
もっと面倒な作戦だと思うけど、僕が聞かされたのはこれだけだ。実にシンプルで明確、鉄騎隊と呼ばれる女性騎士の部隊から何人か手伝いも来ているし、楽に終わるだろう。
「ディスタ・マクレイン殿」
「鉄騎隊だね、首尾はどうだい?」
装飾を纏った鎧は動きやすい上に、ぶつかり合った時の音が出ないよう加工してあるみたいだ。誰の発案かな?もしかしたら、バロかな?
(俺じゃねぇ)
「(まぁ、どうでも良いけど)君が偵察隊のリーダーだよね?軍需工場はやっぱり?」
「はい、地上部も確かに軍需工場として機能していますが、本命は地下です。どうやらシェルターの機能も有しているようで、、、」
「解った。取りあえず、ある程度は偵察したんでしょ。案内頼むよ」
僕は女性騎士と一緒に第13師団の駐屯地から軍需工場地下へと向う。敵はあまりいない、まぁ厄災クラスの龍(バロ)がいるんだ。ここにいるのは精々臆病者か民間人位だね。
「待て、人の気配だ 」
先行していた女性騎士が小声で伝えてくる。
確かに声がする。しかし、詳しくは聞こえない。僕は騎士達に魔法で先行すると言い、雷纏いを使った。
「あっ」「なっ!」
剣の鞘ごと使って二人を切る。まぁ、斬れてはいないし、痛いだけでしょ。二人は壁に吹き飛んで起き上がろとするところで女性騎士達に拘束された。
「ディスタ殿、バロ様なら最初に気絶させたと思うのですが」
「僕さ、放出系の魔法使えないんだ。付与魔法だけなんだよ」
「付与魔法でもその鞘は鉄製ですね?それに雷を付与して殴るだけで雷撃で気絶したのでは?」
そう言われて何も言えないな。確かに、使えるものは何でも使わないと、良い教訓だね。
「さて、何を話してたんだい?」
「おっお前、私達に手を出したらどうなるか解っているのか!」
「そうだ!こっこの国の敵になるぞ!」
「はぁ」
僕は女性騎士達と視線を交わし、彼等に僕たちの立場を教えてあげた。
「僕はね、いや僕達は既にこの国の半分が敵なんだよ。だって、セリエ様の兵士だから」
二人は顔を青く変色させている。どうやら自分たちの言葉が無意味だと悟ったようだね。
「さて、援軍は来ないよ。凄いんだ、外にね厄災クラスの龍ドラグーンが襲っていてね。第13師団はほぼ壊滅状態、どう思う?」
「あっ悪魔が!貴様らがミヒャエル・グッシード男爵を殺したのが始まりだと言うのに!龍で民まで殺すと言うのか!」
「う~ん、あっ、これ聞いてよ。全方面一斉通信だよ。まぁ、一般端末にも流れる様に細工したまたいだけど、ハーファシー辺境伯爵が何したかは僕もバロも知らないんだけどね。さぁ聞いてよ」
僕はそう言ってオニキスの通信を開いた。
「私は、ミヒャエル・グッシード男爵夫人であるサラ・リードルム・グッシードです。皆様、聞いてください。私の夫はセリエ様暗殺の為にバレタニアに送られました。しかし、セリエ様の暗殺が失敗したとみると、ディーン殿下はソルジャーを暗殺者として送り、、、私の夫、そして三人の子供を殺した、、、て、、、私は許せない。夫は確かに罪人です、いつか裁かれるのはわかります。しかし、、、子供まで殺したのです。私は、許せない。良識ある方、私はサラ・リードルム・グッシードです。私は、、、」
二人は顔を見合わせていた。まぁ、どちらが正義か決めるのは自分。どちらを信じる?
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