第90話東門の攻防
「総員、一斉射撃。敵を近づけてはいけません!」
「「yes,commander」」
マリン隊長の指示に従い、私は迫り来る兵士に向かって引き金を引く。そこで、私の隣にいる少女と目があった。
「大丈夫?」
「はっ、はい。すぐに撃ちますので」
いや、大丈夫じゃない。この子は震えている、私だってこれが初めてなら震えていたかもしれない。でも、バロがいたもの。
「大丈夫、私達がここで踏ん張れば戦いは終わるわ。だから、一緒に生き残りましょう」
「戦車だ!」
「伏せて!」
戦車だ!という叫び声と同時に私達のバリケードに向かって砲弾が撃ち込まれ、バラバラになる。それどころか、私の知り合いの姿が何人か見えない。着弾地点で撃ってたんだもの、身体が全てバラバラになっていても、、
駄目、ここは戦場。自分の身は自分で守るの。それしか生き残る術はない。でも、この娘ぐらいは
「ルシエラ!」
「マリン隊長?」
「ここは放棄します。第二防衛ラインに移行。此方も対戦車兵器が後ろにしかありませんし、ここではじり貧です」
「了解しました。ほら、いくよ立って」
「ルシエラさん!」
名前を叫ばれ、振り向くと私達に照準を向けた戦車がいた。避けられないと思った矢先、聞き慣れた声がした。
「九重一刀石の型玄武陣」
刀を持ったバロが私達の前に立ち、戦車の砲弾を受ける。しかし、ダメージなど受けていないような姿でそこに立っていた。
「石の型は守り。如何なる攻撃でも、貫く事など不可能。さて、捕虜は既にいる。皆殺しの始まりだ」
最後の台詞はマリン隊長に向けて言ったんだ。これから皆殺しにするが文句は言わせない。それを伝えるために。
「火の型烈火業刃」
燃え盛る刀が横に振られると、戦車と回りにいた兵士が一瞬にして灰になる。私達がやって来たのはなんだったの。仲間が死んだのに、、、これじゃあ、無意味じゃない。
「九重一刀流奥義火龍剣」
焔を纏いし龍が燃え盛り、荒れ狂いながら敵の部隊に突撃していく。そして、獲物を喰らうがごとく、一人また一人と斬り殺し、燃やし殺す。それは既に地獄でした。かつて夢で見た火を吐く龍が、人を喰らう夢。私は、それを改めて彼に見た。
「龍神ドラグーン。人間でもその強さは変わらずか」
バロは相変わらず強い、いえ私を助けた時よりも強い。でも、今は獣のような強さ、恐怖などなくて、ただ殺すため。キリングマシーンのような冷たい表情で、血の海を作っている。
「ちっ、こちたら後詰めで来たってのに」
「ソルジャー1stかよ、まぁ3人居れば何とか殺せるだろ」
「バロ・ランバース。先日までソルジャー2ndだった男。実力は彼方が数段上だ、気を引き締めるのを推奨」
バロが敵を殲滅したところで、3人のソルジャーが表れた。私には誰かなど解らないけど、バロはただ睨み付けていた。
「失せろ、雑魚に用はない」
「あっ?んだとガキが」
大剣を持っているソルジャーがバロに向かって振り下ろす。が、バロは避ける事をせず、ただその一撃を受けた。
「てめぇ、、、人間か?」
「生憎だな。俺は、、、悪魔だ。マリン、ルシエラ、ここは任せて引け。皆殺しと言ったからには、このソルジャーも殺さなくちゃいけないからな」
刀をソルジャー達にむけてバロが挑発する。私達はその隙にせっせと逃げ出した。
「バロ、生きてかえってね」
「あれ?身体しか取り柄のない女が何か言ってるよ」
「死ね!馬鹿!さっさと皆殺しにして殴られろ!」
もうやです!本当、私の初めて奪った癖に
「ルシエラ、後で話があります」
あっ、マリン隊長が御立腹だ。はぁ、逃げながらどうやって取り成すか、それだけを考えていました。
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