第86話管理人、絶望する
「うん、帰って来たには良いものの第4棟がこれでは不味いですね。リジェネジェーション」
そういえば、最初の時もこうして直したんでしたっけ。懐かしいな。
「あっ、管理人殿お疲れさまっ?!」
「お疲れ様です」
何故でしょう。魔法で直した事よりも、周りにいる鉄騎隊のメンバーの視線が痛い。花壇の花も後できちんと注文しないと。
「、、、やっぱり調度品がいつくか消滅してますね。流石に再生は困難なものもありましたか」
リジェネジェーションは何でも再生させる魔法なのですが、面白い事にトイレの扉が消滅しています。各部屋の物も確認しないと。いくら、地下基地でもこれじゃあ大変です。それに、地下基地には僕の部屋は有りませんし。
「トイレも注文するとして僕の部屋は、、、」
良かった。クローゼットは無事です、あの中には武器や弾薬が沢山ある。一様、この空間につながる何かを作れば良いのですが面倒臭いんです。とりあえず、地下基地の武器庫に空間に通じるゲートでも出しておきますか。ドアでも良いかも。
「とりあえず、一旦外に」
「ねぇ、バロ。赤ん坊、見せて」
「あっ、セリエにマリン。それにルシエラじゃないですか」
「どうですか、僕の娘た」
「誰の子だ!」
「ゴバァ」
ルシエラとマリンに赤ん坊を渡した瞬間、僕はセリエから腹に蹴りをくらいました。
「何を」
「何をじゃない!」
倒れた所に馬乗りされ、何度も何度も繰り返し殴られる。正直、これぐらいでは血も流れないし、痣もできない。それどころか、傷もつかない。
「止めろ、セリエ。傷なんか付くかよ。元気になったのは嬉しいけどさ、こいつは無いんじゃないの?」
「五月蝿いわね、誰の子供か話したら許したげる」
まさか、いやあの時誰にも見られてはいないはず。それどころか、幻覚魔法で全て、、、
そうか、いや馬鹿正直に話そう。僕の事実を
「ミヒャエル・グッシードを追った帰りにモンスター生息圏に捨てられていたのを保護した。捨ててこいと言うのなら、俺はバレタニアを火の海にするぞ?」
龍に人間が勝てると思うのか?と力を込めた視線をむけるが、セリエは今度は涙を浮かべながら僕の頬をぶった。
「ごめんね、だから泣かないで」
昔からセリエが泣くときは本当に悲しい時だけ、滅多に涙を流さない娘だから余計に解る。
「ほら、ごめんね。だから」
「解ってる、貴方は優しいから。でも、私の婚約者の癖に女ばかり増やして」
「なに?婚約者?待って、セリエ僕はそんな話しは知らない」
「あら、政治的にもオリックス・ランバースとマーリン・ランバースの息子。素晴らしい候補でしょう?それに婚約者じゃなくちゃ私と一緒に過ごして無いわよ。勿論、マリンも娶って貰うわよ。私が正妻として嫁いでマリンが第二夫人、貴方は結婚したら貴族として活動する。当たり前じゃない」
「冗談じゃないぞ、僕はそんな話しは知らない。聞いたこともない。マリン君は、、、知ってたのか?」
「バロ様、すみません。私の結婚の件はお父様とおじ様が決めた事らしく」
「私もそうよ。一般教養に宮廷作法も知り尽くしている。お父様がより英雄と縁を紡ぐために私を利用したのね」
「姫様、マリン様、私もできますか?」
「第三夫人なんて問題ないわ。お父様には非公式の愛人が一体何人いるのか」
目の前で頭の痛い話をしている。悲しいけど、僕に逃げる道はない。でも、それを楽しんでいました。
「全く、龍に恋した人間ですか」
「バロ、私は貴方を許さない。だから私の物にする、愛人は認めるけど誰かに奪われるのは許さないから」
「愛が重いですね」
僕は笑いました。この時間が続けば良いと思いながら。そして、僕が起こした問題がいつ牙を向き、国がどうなるか。それを知りながら。
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