第58話遊撃士協会で
「いっっ、、、」
「バロ様、大丈夫ですか?」
「マリンは優しいな。副長、セリエよりもマリンを支えてやって下さい。」
「いや、それは良いんだが。管理人殿、我々は見られていないか?」
確かに、性格はどうであれ美女3人が一つの席に座っているのです。気になりはするでしょう、まぁアドベンチャーギルドならここで何人かが血を流しますが、流石は遊撃士協会。男性も紳士が多いですね。
「キャッ!」
目の前でウェイターの女性が躓いて運んでいた料理が僕の頭に降り注ぐ。
「、、、。」
頭から熱々のスープが流れ落ち、誰かが頼んだであろうステーキが肩に乗っている。
目の前ではセリエが大笑いし、マリンはハンカチで僕の顔を拭いている。
「あの、大丈夫ですか?」
「いえ、大丈夫です。オニキス起動。」
服が無いため、オニキスを起動して装備に着替えました。するとですね、回りで僕を笑っていた遊撃士達が立って武器に手を当てていました。
「ソルジャーか!」
「武器から手を外せ、ウェイター。新しく料理を頼んで良いかい、君のキスを」
「ぐば!」
「馬鹿やってんじゃ無いわよ。ウェイターさん、新しく料理を作って。こいつ、まともに食べれてはいないから。」
「はっ、はい。」
セリエに殴られた事で、回りの緊張は溶けたようです。まぁ、殴られた身としては文句の一つは言いたいですが。
「すまない、ソルジャーとこの頃問題ばかり起きていてな。」
一人、礼儀正しい遊撃士が僕の方に近付いて顔を拭いている僕に話しかけて来ました。
「いえ、大丈夫で、、、す、、よ。貴様は!」
「バロ?!」
「「何故ここにいる!」」
その遊撃士は僕の師の一人で、ターシェ王国いや、ソルジャーの裏切り者。カーヴィー師その人だった。取り敢えず、料理を食べてはいるが邪険な空気は変わらない。
「あっあの、カーヴィーって事はオニキス・カーヴィー主任の親族?」
この場の空気が不味いと思ったのかセリエが唐突にそんな事を言った。
「息子だ、しかし父からは勘当されているがな。」
「ソルジャーに戻れば主任も赦してくれるんじゃないのか?」
「「、、、。」」
「マリン、もしかしてこれって、、、」
「はい。5年前のあの事件からですし、はぁ。」
「隊長、事件とは一体?」
「 話して良いかしら?」
「俺は構わん、悪くないしな。」
「ふん、お前の悪行を知って貰うべきだしな。」
「話すわね。
私は5年前、マリンセリエと共にバロとよく遊んでいたの。バロはその頃、カーヴィー師に刀を教わっていたのよ。カーヴィー師はね、九重一刀流の剣聖と呼ばれているの。そんな人に刀を教えて貰えたことを、当時彼は本気で喜んでいたわ。で、何時も通り私の護衛を撒いて、城下町に遊びに出たの。バロは誘わなかった。喧嘩してて仲直りできてなくてね。そんな時、本当に偶然だった。私達は人拐いの一味に襲われたの。近衛がリーダーをしていた屑どもね。そこにバロが現れて助けてくれた。以上よ。」
「?しかし、それでは何故仲がここまで悪くなったのかは、、、」
「、、、副長、バロ様は皆殺しにしたんです。」
「!、、、しかし、伝説のソルジャーの御子息ですね、私もそれは出来ない。」
「違う、犯人達の皆殺しだけなら問題は有ったが破門まではしなかった。こいつは、、、」
「どうしたのです?」
そうよね、こんな事言いたくないわよ。誰だって、でも。私が言おう。そう、決心した時、一番辛いであろうバロ本人が口を開いた。
「セリエ、勝手に僕の事を過小評価しないでほしい。悔やんでなんかいない、むしろアレで良かったとも思っている。皆殺しにしただけだよ、たった一つの愁いも無くね。」
「愁いも無く?!まさか、」
「そうさ、皆殺しだ。家族もろともね、ククッくははは!王族に手を上げた塵芥に等しい存在。僕はセリエ達の愁いを消しただけだよ、それでこの男は破門にした。まったく、甘いよね。」
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