第59話愁い

「なっ、、、。」


私は開いた口を閉じる事ができなかった。話を聞く限り、女性や子供も殺したんだろう。管理人殿には何時も陰りを見せるが、今話したときは陰りなんて無い。純粋な疑問をぶつけたようであった。


「また続けるわよ。バロは私達を助けた、でもカーヴィー師がバロが殺し終わった辺りで来たの。」


「姫様!バロは?!」


「もう、いないわ、、、殺すって、全部」


「直ぐに仲間が来ます。もうしばらくご辛抱ください。」


カーヴィー師はバロを追いかけて行った。救助はバロの父親であるオリックスおじ様が来てくれたわ。泣きじゃくる私達をただあやしてくれた。そう、次は私が聞いただけ。


「僕が関係者、情報を近衛に渡したとしても握り潰されるのは確定でしたし、なら殺してしまった方が速いと思った訳です。あぁ、無駄ですよ。証拠は残してませんし、彼等は法的には事故死ですから。生き残りもいませんし、僕の事がバレる事もありません。」


「そうだ、愁いを無くす。考え方に賛同はしないが、理解はできる。だが、子供まで殺すお前を破門する以外ない。もう一度言う、バロお前は九重に相応しくない。破門だ。」


「、、、九重は活人剣を掲げていましたね。まぁ、良いですよ。破門された所で、これまでの技術が消え去る訳でも無いですし、」


カーヴィー師はそれを最後にターシェ王国を離れた。


「それがまさか、遊撃士協会に所属しているなんて。」


「まぁ、ソルジャーの癖に皆殺しとかできる人じゃぁ、無いのは教え子としては知っていますからね。」


「お前は俺の弟子じゃない。」


「ちっ、まあ良いさ。遊撃士協会に情報を貰おうかと思ってみたが、無駄足だな。いや、料理は良い腕だった、そこは認めるか。」


「バロ?どこ行くの?」


「ソルジャーはソルジャーらしく動くだけですよ。紅き者グラスコーがいるのなら、仲間になってくれそうな人材がいるのでね。君達は遊撃士と戯れていて下さい、、、俺の邪魔はするなよ?」


管理人殿は全体に息が詰まるような殺気をぶつけてきた。遊撃士でも、慣れていない者がいるのだろう。管理人殿が消えたと言うのに震えている。


「姫様、バロ何があった?昔からヤバい奴とは知ってたけど、、、。」


「わからないわ、でもカーヴィー師はインピオロって解る?」


「あぁ、あの犯罪者の街の。それがどうしたたんだ?」


「私に暗殺者を仕向けたのがインピオロの領主なんだけど、インピオロの駐屯兵、警備兵、バロはその大半をたった一人で殺して、インピオロも半壊させたわ。民間人もインピオロの崩壊に伴ってかなりの死傷者が出たって。」


「おいおい、そこまで殺るか?」


「私も良くはないと思うけど、ソルジャーとしては正解なんじゃないかしら?」


「あーくそ、責めてもうちょっとまともに教えれば良かったな。」

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