第57話朝食へ
「嫌な夢。」
最悪な目覚めよ。子供の頃の夢を見るなんて、昨日の思い込みのせいかしら?回りを見渡し、私以外が起きていない事を確認すると、着替えを持ってバスルームに入る。
寝巻きを脱ぎ、熱いシャワーを全身に浴びる。シャワーから流れ落ちるお湯の一つ一つが私の全てを洗い流している。そんな気分になる。
「私の護衛なら、離れるんじゃないわよ。」
私自身、口ずさんだ言葉で驚きを隠せない。
この言葉、まるで私が彼奴が居なくて寂しいみたいじゃない。そんな訳絶対にない。そう、彼奴が暴走したら止められるのは私しかいないから。そう、何度も言い聞かせてバスルームから出た。
「あっ、セリエ様おはようございます。」
「セリエ様、マリン様、私が最後とは、、、護衛として一生の不覚です。」
「まったく、堅いわね。バロ並みに砕けても、、、やっぱり駄目ね。」
「アハハ、、、ハァ。」
マリンが苦笑いしている。でも、そうだろう。今のバロの様になられたりしたら、、、
実際、あの馬鹿は何をしているのかしら。
「朝食を食べに行きませんか?」
「は?」「え?」「何時から?」
「おや、何を呆けているのです?まだ6時ですがアドベンチャーギルドか遊撃士協会は開いていますよ。どちらで朝食としましょうか、個人的には遊撃士協会のメニューも気になりますが、、、ふっ!」
私はバロに向かって回し蹴りをした。怒りに身を任せた訳じゃない。ただ、素っぴんを見られた女性達の恥ずかしさによるもの。うん、これは見たバロが悪い。
「避けるな!」
「セリエ、バスローブなんだから考えなさい。恥ずかしさは無いんですか!」
バロは目隠しをした状態で私の攻撃を防ぎ、回避さえした。ホテルに迷惑がかからないよう、最大限の配慮もしたと後から言ってきた。
「まず、女の部屋にノック無しで入るとか、デリカシー無さすぎでしょうが!」
「!ワインを投げるな!」
「ハァ!」
「グラス?」
バロの馬鹿は目の前でワインのコルク栓を抜き、グラスに注いで飲み始めた。
「ホットパンチにしたら美味しいね、僕は好みの味だ。」
「もう、良いわよ。あんたの相手は疲れるわ、まったく。ほら、行くわよ。」
「おや、セリエその服装で行くのかい?王女としては問題しか無いのだが。」
そこで思い出した。私はバスローブを羽織っただけであることを。そして、もしかしたら下着をバロに見られた可能性があることも。
「!!!」
幼馴染、もとい悪友でも異性に見られたかも知れないと言う恥ずかしさが心の底から沸き上がる。うん、もういい。殴ろう、きっと一発殴ればすっきりするはずだ。
「ほら、遊撃士協会に行きま!」
「決まった。」
「、、、セリエ様」
「え?」
「さぁ、朝食に行こ!マリン、バロを回収しといてね。」
「、、、殴ったんなら責任持って下さいよ。副長、手伝って。」
「ハッはい。」
バロも殴れたし、天気も良いし、うん、
「良い朝!」
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