英雄の息子が英雄とは限らない！

第54話フォレスタの安泰

「以外ですな、貴殿方の口からフォレスタの安泰とは。」

「以外ですか？しかし、それはどうでも良いことです。どうですか？貴国へのメリットも提唱した。ご不満がお有りか？」

「えぇ、大いにあります。ランバース殿、貴殿が言う者達は言わばフォレスタ進行を仄めかし、更に理由付けでターシェ王国の領土としたい者達なのでしょう？第一王子殿下が王位を継承した場合、我々は侵略されるのでは無いでしょうか？」

「えぇ、しかし、物理的にその様な者達は消えてもらいます。」

「どんな力か？なんて不粋なことは聞きません。しかし、相手も同じような力を持ち合わせていた場合はどうしますか？」

「力には常に優劣が存在します。我々が優なる力を手にすれば良いだけでは？」

「しかし、その力の何名かは現在フォレスタに来ています。どうお考えですか？」

力、この場合はソルジャーだ。そして何名か、確実にソルジャークラス1stの彼奴等の事だろう。ジークは問題を起こさないとしても、グラスコー奴は駄目だ。始末するしかないか？ いや、それよりも何故ソルジャークラス1stがここに来ているんだ？そして、俺はまだ一人、クラス1stを見ていない。

「さぁ、単なる偶然では？」

「我々の会見では貴殿方の国家がフォレスタ侵略の為の情報収集に来たと」

「それは」

「違います！」

それは違う。そうカール市長に伝えようとした時、黙っていて欲しかったセリエが声を上げた。

「我が国は確かに貴国との関係は微妙です。しかし、お兄様は」

「お兄様？そのお兄様がフォレスタ侵略である筆頭になるかもしれないのです。我々は確固たる保証が欲しい。 」

「なっ、なら私が進言し」

「他国や貴族との政略結婚の道具である貴女様に何ができるのです！」

「、、、さい、、、五月蝿い！私がやるって言ったらやるの！その為なら国だって取ってやるわ！」

「ほぉ、それはセリエ王女殿下のお言葉で？」

「勿論よ！」

「おっ、、、おま、セリエ！」

言った。言いやがった、激情するとふざけた事を言う癖が直ってないから喋っていて欲しくなかったのに。 しかも、セリエ王女殿下の言葉だと？

「セリエ様！よりにもよって謀叛ですか！」

「あっ、、、」

「副長、、、セリエ様のお言葉です。口を慎みなさい。」

「しかし！」

「ランバース殿、ではこうしましょう。セリエ王女の王位継承。それが契約の条件です。録音も完了しております。」

詰んだ、セリエの言葉は変えられない。まさか、こいつを連れてきたのが最悪なバッドストーリーを紡ぐ事になるなんて。

「しかし、我々にも協力させて頂きます。」

「貴様！オニキス起動！」

俺はオニキスを起動し、装備を装着する。そして、ダガーを首へと突き付けた。

「「バロ(様)(管理人殿)！」」

「我々フォレスタはセリエ王女殿下に対しての支援を。」

「口を閉じろ、今貴様は。」

「それがどうした。少年！君にも有るだろう。主君を守ると言う意志が！私にも、フォレスタを守ると言う意志がある！その為になら悪にも堕ちよう！」

「バロ、止めなさい。カール市長、私は貴方に乗せられたとは言え、自分の言葉を違えるつもりはありません。お兄様が束ねる派閥から暗殺者が来たのも事実、フォレスタ侵攻や我が国の力を利用した戦争を起こそうとする一派がいるのもまた事実。、、、そろそろ国に変革が起きても良い頃じゃない？」

「くくっ、くははははは！良いでしょう、この録音は消させて頂きます。セリエ王女殿下、これまでのご無礼申し訳ありません。」

「謝罪は受け取ったわ、でもそちらの誠意を見せて欲しいわね。」

「では、ランバース殿が提示した条件を全て飲ませて頂きます。しかし、此方の要請を一つ程、行って欲しいのですが。」

「確かに、それぐらいなら良いわよ。」

俺は、ペースを完璧に奪われフリーズしていた。セリエの謀叛、そうなったら処刑される。でも、結局そうはならなかった、つまり試された？カール・ルーファウスに？

物に当たりたい衝動を抑え、カール・ルーファウスの話を聞いた。