第55話要請〔オーダー〕

「さて、条件として提示するのは一つ。レグニッツァ森林地帯で起きている濃霧。これの原因究明、原因が自然現象や化学反応でない場合、速やかは原因の排除だ。」


カール市長の言葉は的確なのだが、少しばかり引っ掛かりを覚えた。


「言わせてもらうが、どう言うことだ?森林警備隊がいてレグニッツァ森林地帯の中に原因が存在できるものなのか?」


そう、森林警備隊は常にレグニッツァ森林地帯を駈け、モンスターの討伐や調査、森林地帯の管理を行っている。そんな森林地帯を知り尽くした存在の中を隠れる事ができるのか?


「我々も不甲斐ないとは感じている。しかし、濃霧はある一定の区間にしか存在せず、この中では計器は機能しなくなる。3日前に調査隊二個小隊を送ったが通信途絶。」


「なら、救助も含まれるのではなくて?」


「いや、彼等はどうでも良い。ランバース殿、君なら彼等の事を解るのではないかな?」


「、、、あぁ、心当たりがある。」


助ける必要が無い部隊、懲罰部隊の連中か。軍規違反者、犯罪者による混成部隊。セリエとマリンには喋らないでおくか。


「此方で最大限の支援も行う。必要な物が有れば言ってくれ。それで」


「坊っちゃん、お止めください!」


「五月蝿い、父さん!待ってくれ!」


俺達はは誰?と言った表情をしていると思う。しかし対談中に乱入とは、良い口実だな。


「先程カール・ルーファウス市長を父さんと言ったか?例え御子息と言えど、セリエ王女殿下を無視するとはな。カール市長、どう思いますかな?」


「確かに、これは我が息子と言えど許せる事ではありませんな。」


「待ってくれ!父さん!」


「黙れ!今は交渉中だ、口を出すな!」


「いや、俺は、、、」


面白い事になりそうだ。よく見たら、遊撃士の紋章。まさか、介入する気か?、、、後々使えるかもしれないな。助け船を出すか。


「良いだろう、セリエ様この男に口を開く許可をお与え下さい。少々、話を聞いてみたくなりましてね。」


「もぅ、良いわよ。セリエ・ラ・ターシェが命じます。カール市長が子、、、えっと名前は?」


「セリエ王女殿下、私の息子はマキウスと申します。」


「わかったわ。カール市長が子、マキウス。貴方に発言する許可を与えます。」


「はっ?許可とかなんだよ、俺は父さんとぐぶっ!」


「OKだ、貴様を不敬罪で処刑する。」


俺は遊撃士の首を掴んで持ち上げた。嫌な予感は的中だ。こいつ、セリエに向かって不敬を働きやがった。、、、護衛の目の前でだからな。死んで当たり前だ。


「待ってくれ!ランバース君!」


「ランバース君?何時から俺は貴様と仲良くなったんだ?カール・ルーファウス。」


「君は息子に発言の許可を殿下に求めたろう、ならば!」


「不敬を発言した遊撃士など、必要ない。カール・ルーファウス、貴様は俺に要請する事の情報をより集めるのが先決では無いか?」


「いや、、、しかし、、。」


「もう、止めなさいバロ。貴方、この頃変よ、私が陰口叩かれるのに慣れてるのは知ってるでしょうが!今更、面と向かって言われたところで泣きはしないわよ!」


「、、、優しいな、相変わらず。だが、元とは言えお前の影になるハズだった俺だ。まぁ、良いか。喋りすぎたな。オイ、遊撃士。次にふざけた事を抜かしてみろ、貴様の五体はバラバラになるぞ。」


「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!おっ、お前、、、。」


遊撃士は俺を睨み付きなぎら床に這いつくばっている。


「カール市長、情報は良い。俺は勝手にやらせてもらう。セリエ、マリン、副長、今夜は部屋に帰ってくれ。じゃあな。」


「お前は!」


「失せろ。」


「?!」


シャドウバインドを遊撃士にかけ、身動きを封じる。、、、俺の邪魔はさせん。俺の平穏の為に。その為に、セリエを。俺の、全てを守る。手段や、方法は必要ない。結果が全てを決めるのだから。







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