第49話〔閑話休題〕再戦ゾル=マデウス1

昨日はアレで終わり、宿を取って僕は休んだ。これが最後になるかもと思うと、不思議とぐっすり眠れた。もう、目覚めないかもと思えるほど深い眠りだった。朝食をギルドで食べ、オニキスにゾル=マデウスの駆動音をセットし、それと一致又は限り無く近い音を探す。正直、気の遠くなるような作業だけど一番確実だ。熱探知しようにも砦村はこの時期、深い濃霧に覆われて出来ない。音しか無いんだ。ゾル=マデウスが音を使って三半規管を乱す。それを知ってしまえば対策はできる。音を聞かなければ良い。寝て考えた、なんで僕とバロに聞かなかったのか。もしかしたら、戦闘音でかき消すことができる音なのかもしれない。それなら、音楽だ。僕はイヤホンを付け、音楽を流して地震が起こる時間をギルドで待った。皆が床に倒れるなか、僕は立っている。成功だ。地震が収まるまでに、ゾル=マデウスが出している音を見つける必要がある。


〔search〕


〔search〕


〔discovery〕


見つけた。モンスター生息圏中心部、奇しくも東バレタニア街道のだ。まったく反対側で同じように動いているなんて。


「行くか。」


アドベンチャーが倒れるなかをモンスター生息圏に向けて進む。もう、制式にアドベンチャーの対応は不可能だ。


「オニキス、バレタニアのバロ・ランバースに救援要請を送信。」


僕の戦友バロ・ランバースへ。

バロ、君の手伝いが無いなんて弱音は吐けない。ゾル=マデウス、この前の巨人が出現した。僕は今度こそ死ぬかもしれない。でも、ソルジャーとして任務を全うするつもりだ。

もし、僕が死んだら後は頼んだよ。

戦友ディスタ・マクレインより。






森は、西バレタニア街道のモンスター生息圏よりも鬱蒼としていた。Cランクのモンスターが多く生息している事もあり、何度も襲撃を受けた。流石に疲弊してしまうよ。


「もう、誰だよ。こんな実験か破壊をもう、組織か、他にも色々もう、、、。」


雑魚とはいえ何度も襲撃を受けると精神は疲弊してしまう。もう、愚痴ばかり出てくる。


「、、、。」


既に言葉を発する気も失せた。しかし、モンスターは何度も襲ってくる。僕が疲れて一度休憩を入れたその時、血だらけのモンスターの集団が僕の目の前に現れた。しかし、モンスター達は僕を無視し同士討ちを始めた。


「まさか、狂乱しているの?」


謎が溶けた。襲ってきたモンスターの中には比較的温厚な種もいた。それが全て襲ってきたんだ。


「もし、音が三半規管を乱す物だけじゃなかったら、、、。」


「ザコルマ!お姉ちゃんに何を!」


「くっ、動け!動いてくれ、私の体!」


「あああ!」


「くっ!何故君達がいるんだ!」


声の方に居たのは昨日の三人組だ。ノアと呼ばれた少年がモンスターと同じ様に狂乱し、確かエレナちゃんをその大剣で斬ろうとしていた。あと一歩遅かったら、、、間に合って本当に良かった。











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