第46話街中の戦闘

「あん?ふざけてんのか、クラス2ndごときが俺に勝てると思ってるのか?」


「ふっ、勝てるさ。貴様ごときに負ける訳にはいかないしな。」


俺はそう言ってダガーを鞘から抜き、胸の前でX字に構える。


「オニキス!武装展開!」


グラスコーが叫ぶと防具、そして武装が展開される。まるで巨木さえも砕けるようなガトリング砲を俺に向かって構える。


「ガキが!蜂の巣にしてやらぁ!」


銃身が回転する速度がだんだんと上がっていく。そこから、まるで炎のように弾丸が発車された。


「がっ!ハッハッハッ!どうした、守っないでさっさと来いよ!」


ガトリングの斉射を魔法障壁を展開しながら受け止める。


「民間人が邪魔だな。」


野次馬と化した民間人どもがウジ虫の様に涌いて出てくる。


「セリエ、魔法障壁を展開してくれ。邪魔な民間人が居たら本気を出せない。」


「あ?いい加減に、、、もう!解ったわよ。魔法障壁展開!」


青く光る壁がいきなり現れた事で何人か慌てていたが、直ぐに収まるりそれどころか、見物人がますばかりだ。


土魔法で障害物を形成しながら近づき、


「ひゅ!」


魔力を流したエレメンタルダガーをグラスコーに向けて投げる。


「んなもの!」


ガトリングをダガーに向けて撃つが、ダガーを弾くどころか正面から当たった弾が切られる始末だ。しかし、流石のエレメンタルダガーも何発も切り裂いていると、魔力が減り続ける。


「チッ!」


グラスコーに到達はしたが、奴の胸当てに刺さっただけだ。


「ひやひやしたぜ~、ガキ。さって~、何処にいるの!かな!!こんな時は、、、パイルバンカー!」


シューーー、ドォン!


奴はガトリングからパイルバンカーに武装を変え、俺が作った障害物を悉くぶっ壊して来やがった。


「残り、2つだよー!、、、そっちだ。」


シューーー、パイルバンカーのチャージ音が聞こえてくる。流石に巻き込まれたらひとたまりもない。


「目を瞑れよ!」


「あん?ぐぁーーー!!!」


奴の真下に行くようにフラッシュバンを投擲する。奴は俺の警告を無視して目を瞑らなかったようで、一時的に錯乱している。


「死ね!」


ダガーを喉元に突き立てるため、走る。


「音でわかんだよ!」


奴はパイルバンカーからガトリング砲に武装を変え、見えない目で乱射してくる。弾丸が迫り来る中、俺は地面を蹴り跳躍した。


(勝った。)


「ニヤリ。」


勝った。そう思っていた俺が馬鹿だった。奴は、見えないフリをしていたんだ。左目だけをかくし、右目は実際に見えない。空中にいる俺は回避行動が取れるわけも無く、ガトリング砲の斉射を喰らった。


「魔法障壁展開!」


何とか数発の被弾で抑え、魔法障壁を展開したが、それを撃ち破る程の弾幕で、俺の体が押し上げられる。


「パイル、バンカー!」


発射されたパイルバンカーが俺の胸へと近付いてくる。当たれば確実に穴が空くだろうな。


(私を使え、契約者。私を求めるんだ。)


「龍我、天成。」


何かに指示された様に、俺の口はそう呟いていた。意味など解るはずもない言葉を。


ドォン!


「死んだな。」


「なっ、なんなのよアレ!」


「死んだな、、、とか、思ってんだろ。残念、生きてるよ。シャドーマリオネット!」


「ぐぁぁ!何故だ!パイルバンカーは当たったはずだ!」


俺に背を向けたまま、グラスコーが叫ぶ。闇の魔法、シャドーマリオネットで俺の人形とかしたこいつは今、俺の姿を見るために振り向く事もできない。


「危なかった、命中する寸前で氷で作った偽物と入れ替わったんだからな。」


「あり得ない、だとしても逃れられるはずがない!」


説明が面倒になった俺はグラスコーを振り向かせる事にした。振り向いたグラスコーはさっきのセリエと同じ様に驚愕していた。


「お前、何なんだ。」


「5割、5割の本気さ。本当なら人間としての俺でお前を倒したかったんだが、流石に1stだな。強い。性根が腐っててもソルジャーだ。さて、こうしてみるか。」


龍鱗を展開して高速移動、少々今までしたことも無かったし、出来るとは思わなかった。本心は驚きを隠せない。しかし、今はコイツだ。俺はシャドーマリオネットの効果で奴の腕を肘で後ろに曲げる。


「止めろ、止めてくれ!腕が、もげちまう!頼む!」


「駄目だ、お前は王族への反逆行為を行った。言ったよな、万死に値すると。俺はお前を苦しめて殺すことにした。」


「あっ!あー!止めろ!やめろ!!!」


「止めなさいバロ。」


セリエの指示を受けた俺はシャドーマリオネットを止める。


「セリエ様、宜しいので?」


「良いも何も、折角の観光が台無しじゃない。私への不敬とかこの際良いわよ。正直、殴り飛ばしたいけど、バロ。貴方、子供が見ているわよ。」


セリエに指を指され、初めて気が付いた。俺の姿をじっと見つめている少年。流石に子供の前で人殺しはできない。


「後、その翼のこと説明してね。」


「翼?」


セリエに言われて初めて、翼が生えている事に気が付いた。同じ龍鱗で被われている龍翼、前までは跳ぶ事はできても飛ぶのは出来なかったのに。そして自分が言った龍我天成。この力、ますます謎が深まっていくな。簡単に解く事もできるし。


「まぁ、今は良いですね。さて、三人ともさっさと観光しましょうか。」


呆れ顔、驚愕、苦笑い。三人とも違った表情を浮かべていますが、関係ありません。呼ばれるまで、フォレスタを観光するだけです。

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