第47話〔閑話休題〕ディスタは出会う。

時はバロがベヒモスを討伐した時まで遡る。




「せめて、バロが何処に住んでいるか。教えて貰えば良かったな。」


ソルジャーとして友人、僕に取って初めて出来た〔戦友〕バロはベヒモス討伐や、あの巨人の事をいつの間にかアドベンチャーギルドへと情報を流していてくれた。巨人の残骸はハーファシー辺境伯爵が回収したらしいし、

これも彼の人脈の成せる技なのかな。


「やぁ、何か依頼はないかい?」


「あっ、ディスタさん。すみません、ソルジャーなのにこんな雑用を。」


「雑用なんて言うもんじゃないよ。人手が足りないのは解ってるし。」


AやBランクの依頼は僕達ソルジャーに取っては片手間に終わらせられる雑用だ。でも、そこに住んでいる人達にとっては脅威度の高いモンスターには違いない。ソルジャーだからって、依頼を受けなくて良い訳じゃ無いんだ。


「バロさんに頼んだら要請〔オーダー〕はあるのか?なんて言われちゃって。 でも、煎れて貰ったコーヒーは美味しかったな。そこは高得点です。」


何が高得点なのかわからないけど、やっぱりこの受付の娘は面白いな。


「コーヒーか、次あったら煎れてもらおうかな。、、、ところで、依頼は?」


「はい!東バレタニア街道を進んだ先にある砦村にて不審な地震が発生しています。Bランクの依頼で、内容は原因の調査です。先行しているアドベンチャーが居ますので、情報共有をお願いします。」


「了解、それじゃあ受けようかな。」


なんて言ったのは3日前。砦村に向かう乗り合い馬車に乗っている。誰も乗らないから馬車の中ではだらけ放題さ。


「着きましたよ、起きて下さい。」


「ん?ふぁ~、お疲れ様でした。」


揺れることの無い馬車、やっぱりこの国は最高だね。御者に代金を支払って砦村のアドベンチャーギルドに入る。


「いらっしゃい、新人さん?此処にはオススメできる依頼は無いわよ。」


「そうだ、そうだ!餓鬼は帰れ!」


「「「ガハハハ」」」


正直、バロが居なくて良かったと思う。彼は多分、侮辱されるのが嫌いだろうし、何人か再起不能にしそうだし。


「おい、餓鬼で悪いか?」


「ちっ、筋肉バカか。てめぇには関係無いだろ。引っ込んでろ。」


「ノア止めなさい。皆さん、すみません。」


「いや、エレナちゃんは問題無いよ!ワリィのは餓鬼どもだ。」


「やるか?!」


まったく、止めた方が良いかな?


「お兄さん、弱そうだし関わらない方が身のためだよ。」


う~ん、女の子に心配されるほど弱い気は無いんだけどね。それに、見た感じ、僕に勝てるのはいない。この三人、パーティーメンバーかな?武器は一級品だけど実力が足りてない。


「殴りやがったな!」


「来いよ!」


はぁ、仕方ない。


「ソルジャークラス1st」


「るせぇ!黙れ!」


「お兄さん、気にすることはない。俺がコイツを叩き潰す!」


聞いてない。皆がこの乱闘騒ぎを楽しんでいる。、、、ソルジャーとして流石に看過できない。しょうがないけどね。


「ウォォォォ!」


「ラァァァァァ!」


取っ組み合いを始めた二人の足を蹴り、転倒させる。そして、右には剣を。左には銃を、それぞれ突き付けた。


「僕はソルジャークラス1st。これ以上は1stの権限として逮捕しなくてはいけなくなる。正直、逮捕も暴れられない様に足や腕を傷付けるなんて日常茶飯事だ。もう一度言うよ、このディスタ・マクレインに勝てる?」


「雷のマクレインだと!なんでソルジャーが此所にいる?!」


「ノア、謝りなさい。この方にも迷惑かけたのよ。兄さんなら、なんて言うか解るな。」


「、、、解ってる。他人に迷惑を駆けるな。だろ、一発殴られるだろうな。すまん!」


「うわ、ザコルマが謝ってる。」


「姉貴、殴って良いか?」


「ヘレン、止めなさい。私の言うことが聞けないのなら、、、」


「お姉ちゃん、ごめんなさい。(ちっ、)ノアもごめん(くたばれゴリダルマ)。」


「良いぜ(あん?)、許す(ぶっ殺す)。」


凄いなー、きっと姉弟なんだ。何故か凄い火花を散らしてる二人がいるけど、もう良いやこれを止めるのは止めよ。


「おい、マクレイン!なんでソルジャーがで張ってきたんだ!」


「ソルジャーがアドベンチャーの依頼を受けなくて良い理由は無いよ。僕は定期的に依頼を受けている。今回来たのは砦村に起きている不審な地震についてだよ。情報提供して貰えるかな?」


さっきまで喧嘩をしていたアドベンチャーはどうやら酔っていたみたいだ。酒臭い。でも、今はきちんと状況判断できているし、有能なのかな?


「解った、ただし文句言わないでくれよ。砦村に地震が起きたのは此処数日なんだ。しかも決まった時間におこる。俺達も携帯ぐらい持ってるからな。でもな、見つからないんだ。それどころか、携帯には地震なんて起きてない。そう表示されるんだ。マクレイン、あんたも起動してみろ。地震探知機だぞ。」


表示されない地震、そんな訳がないとオニキスの地震探知機を起動した。


「、、、3、2、1」


「なっ!」


立つことが出来ない程の地震が僕達を襲う。

しかし、長く続く事はなく直ぐに収まった。

慌ててオニキスを見たけど、地震が起きた形跡はまるで無かった。周囲も地震が起きた割には綺麗だし、訳が解らない。でも、これはもうアドベンチャーの仕事じゃない。


「ソルジャーの任務だ。」









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