第36話対巨人戦

「ランバース君!」


くそ、気付かなかった。ベヒモスじゃない、

こいつだったんだ。僕が視えたのは。

よりにもよって、、、組織の兵器だなんて。

、、、僕のミスだ。ベヒモスを倒して油断した。でも、倒す。ランバース君の手向けにするためにも。


「僕のチームメンバーをよくも、、、」


「!!!」


大きく振りかぶった手から巨大な岩が投げられる。避けるのは簡単だけど、避けたらランバース君に当たって、、、。


「くそ、」


「馬鹿が、、、フレイム。チェーンバインド!」


「ランバース君?!大丈夫なのかい?」


僕とランバース君の窮地を救ったのは、ランバース君本人だった。彼はフレイムで岩を溶かし、兵器をチェーンで動きを止めていた。そしてよろめく身体で立ち上がり、僕の前へと、ふらつく足で歩いて来た。


「ランバース君、駄目だ。逃げないと、、、。」


「逃げるわ馬鹿、腹に穴が空いた状態じゃ戦うなんてできないしな。」


よく見ると彼の脇腹には枝が刺さっていた。

吹き飛ばされた時に刺さってしまったようだ。、、、僕のせいで。


「さて、俺の検分だがあれは機械兵器だな。しかし、二足歩行か。まぁ、お前なら簡単に倒せるだろ。後、頼んだぞ。」


「まったくもって僕に有益な検分だね、わかった。本気で行くさ、だから休んでなよ。」


「ふん、任せた。」


彼はただそれだけを言うと、街道を歩いて行った。情報は貰えなかった、でもこれは僕が勝つと信じてくれているのかな。


「まったく、、、コマンダーとしての立場もあるんでね、倒させて貰う、、、雷纒。」


僕は魔法が苦手だ。ランバース君のように放出する魔法が使えない、しかし付与魔法は得意だ。雷纒、肉体に雷を纏って自分自身が雷となる、いくぞ。


「!」


腕だけでなく、足での凪ぎ払い。近くの木が真っ二つに折れ、地面はえぐれている。


「しかし、当たらないさ!」


雷を纏った僕を捉えることは不可能だ。

ましてや、図体ばかりの玩具には。


「サンダースラッシュ。」


斬撃に雷を乗せて斬撃を飛ばす僕の技、それを兵器の間接部に当てる。一瞬だけど動きが遅くなり、隙ができた。


「(今だ!)エクレールバスター!」


片手銃に雷の魔力をチャージし続けてきた。

それをレーザーの様に兵器に向かって照射した。片手銃、いやこの魔導銃だからできる事。銃口に金色の光が収縮され僕が引き金を引くのと同時に照射した雷の魔力をたどって

バァン!と周囲の物をなぎ倒しながら兵器に向かって突き進む。


「!!!!!!!!!」


兵器に当たり、極大のレーザーとその名中点に何本もの雷が落ちる。全てが終わり、土煙が周りに漂う。


「はは、流石に、倒れてくれるよね。」


もう魔力はすっからかんで何も出来ない。

そう、自分が酷い状態の時に限って、敵は元気何だから。


「!!!」


「く!」


何とか紙一重で避ける。土煙から出てきたのは片腕や装甲を失ってまだ動き続ける兵器の姿だった。避けて足を挫いてしまったようで、動くのも辛い。


「あ、、、流石にきついかも。」


「甘ったれるな!それでもソルジャーか!」


「ランバース君!」


僕を救ったのは逃げたはずのパートナーだった。一瞬にして兵器の認識外に僕を運んでくれた。ありがとうと言おうとしたけど、ランバース君の脇腹は血がにじんでいる。枝も抜いたようだけど、魔法で無理矢理回復したのが解る。こんなんじゃすぐに傷口が開いてしまう。


「何故戻ってきたんだ!君の身体は、、、」


「生憎、ランバースの家訓には仲間を見捨てるなとある。それに、ある程度は回復したしな。ほら、魔力を譲渡する。ある程度は回復するだろ。」


そう言って僕に魔力を譲渡してきた。膨大な量の魔力を一気に流されて気を失いかけたけど、今はそんな場合じゃない。


「足も治すぞ、リジェネジェーション。

後は俺にもだな、リジェネジェーション。」


瞬時に足の痛みが引き、僕は改めたランバースの実力を知らしめられた。


「後は頼む。」


「ランバース君!」


呼吸を確認し、ランバース君を木の根本に寝かせる。


「ありがとう、ランバース君。」


魔力の全てを僕に譲渡したらしい。はぁ、歳上としてコマンダーとして、まったく申し訳ないね。


「さて、それじゃさっさと仕留めるよ。」


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